ストレスケア.comでストレスについて記事を見つけた。。。
●ストレスって何?
1 ストレスとストレッサーとは
「ストレス」とは、例えば、ボールに圧力がかかって、ひずんだような状態のことをいいます。
このとき、ストレス状態を引き起こす要因を「ストレッサー」といいます。
図の「人間関係」や「仕事の忙しさ」や「気温の変化」などが「ストレッサー」に当たります。
「ストレス」とは、「ストレッサー」が加わって、「心身に負荷がかかった状態」と考えてもいいでしょう。
●ストレスのない状態
●ストレスのかかった状態
2 ストレスという言葉の始まり
もともとは、物理学に使われていた言葉ですが、カナダの生理学者であるハンス・セリエ博士がが1936年にイギリスの雑誌「ネイチャー」誌に「ストレス学説」を発表したことから、この言葉が使われ始めました。
3 ストレスをなくすことはできるの?
残念ながらストレスをなくすことはできません。生きている限りストレスは続きます。
といいますのは、ストレスとは、本来、生物が外的あるいは内的な刺激に適応していく過程そのものを概念化したものだからです。つまり、気候が変わればそれに適応し、飲み水が変わればそれに適応し、心理的なショックを受ければそれに適応していく、そうした環境に適応していく時の反応とプロセスのことをストレスというのです。
睡眠中にもストレスはあります。たとえば、睡眠中に寝返りをうつのは、体の特定部分にストレスがかかりすぎているためです。ストレスを分散するために、体は自然に寝返りを打とうとします。また、急に温度が冷えたりすれば、それもストレスとなります。たいていは、睡眠中であっても、体が自然に布団をかぶって、寒さから体を守ろうとします。
このほか、「嫌な夢を見て、突然目が覚めた」という経験を持っている人もいるでしょう。そんなときには、心臓が激しく鼓動を打っているのを感じる場合もあるかもしれません。これは、夢がストレスとなっている状態です。
つまり、睡眠中でも人はストレスを感じ続けているのです(むしろ、ストレスを感じられなくなってしまったほうが、調節ができないのでリスクが高まります)。
我々の意志とは関係なく、自然環境は常に変化していますし、我々の心や体も自分ではどうにもならないくらい急激に変化することがあります。こうした外的・内的環境の変化に適応していくということが、とりもなおさず「生きる」ということですから、「ストレス」という言葉は「生きる」という言葉の同義語と考えてもいいくらいなのです。
4 「ストレス学説」が画期的だったわけ
セリエ博士の「ストレス学説(ジェネラル・アダプテーション・シンドロームともいいます)」が画期的だったのは、刺激の種類に関係なく、その刺激に適応していくときの反応とプロセスは同様のものを示すということ発見したことにありました。
もちろん、当時の医学界では「ストレス」という言葉とともに、そんなに簡単に受け入れられる学説ではありませんでした。
無理もないかもしれません。セリエ博士は、どんな病気でも同様の症状を示しているという点を強調したのですから(syndrome of just being sick『まさに病気である症候群』)。それならば、どんな病気でも同じ治療法が成立するということにもなります。当然医学界で簡単に受け入れられるはずはありませんでした。
また、私たちが一般的に考えてみても実に不思議なことを発見しています。人間は、「悲しみ」でも、「喜び」でも同じ反応プロセスをたどってその刺激に適応していこうとするいうのです。なかなか信じがたいことです。
ただし、「悲しみ」と比べると「喜び」のほうが、心身に与える負荷は相対的に少ないことが分かっています。
<コラム ペットにもストレスはある?>
家庭で飼っているペットにもストレスはあるのでしょうか。もちろんあります。元々ストレスの発見は人間ではなく、ネズミの実験から発見したものです。それをセリエ博士は人間にも当てはめたのです。さらに、セリエ博士は植物にもストレスはあるといっています。
5 「良いストレス」もある
上記の「ストレス」という言葉の元々の始まりからもおわかりのように、ストレスとは刺激に対する反応ということもできます。その反応には、悪い反応もあれば、よい反応もあります。ストレスには「悪いストレス」だけでなく「良いストレス」もあるのです。
■良いストレス
(eustress)
「良いストレス」とは、例えば、目標、夢、スポーツ、良い人間関係など、自分を奮い立たせてくれたり、勇気づけてくれたり、元気にしてくれたりする刺激とその状態です。
こうした「良いストレス」が少ないと、人生は豊かにはなりません。
■悪いストレス
(distress)
「悪いストレス」とは、例えば、過労、悪い人間関係、不安など、自分のからだやこころが苦しくなったり、嫌な気分になったり、やる気をなくしたりするような刺激とその状態のことをいいます。
(本来は、項目1のように「ストレッサー(原因)」と「ストレス(結果)」は分けて考えるべきですが、複雑になるため、ここではいっしょにまとめて「良いストレス」「悪いストレス」としています)
6 受け止め方で違ってくる
同じストレッサーでも、受け止める人によって「良いストレス」になるか「悪いストレス」になるかが大きく異なってきます。
例えば、スポーツの好きな人には、スポーツはよいストレス状態を引き起こしますが、スポーツの嫌いな人には嫌な気持ちを起こさせるということがあります。
あるいは、ある目標や期限をバネにしてがんばる人もいますが、同じ目標や期限を、しかたなく果たさなければならないノルマ、迫り来る締切と感じて自分を苦しめる人もいます。
<コラム 食事もストレス?>
実は、「食事」もストレッサーの中に、定義されています。食事をとることによって、エネルギーの補充ができ、気分も良くなり、元気になりますから、通常は「良いストレス」として働きます。しかし、「良いストレス」ではあっても、胃腸には負担がかかっています。食べ過ぎたりすれば、負担のほうが大きくなって、苦しくなって、本当にストレスになってしまいます。
また、食物アレルギーを持っている人にとっては、食事は、生命を左右するほどのストレッサーとなることがあります。
何気なく行っている食事ですが、よく考えてみれば、「異物を体内に取り込んでいる」わけですから、異物がストレッサーとして、悪い働きを引き起こしても不思議ではありません。楽しいはずの食事でも、「良いストレス」になることもあれば、「悪いストレス」になることもありうるのです。
7 ストレスがなさすぎても問題
ストレスの量と生産性の関係を見てみますと、下図のように、ストレスレベルが高すぎても、低すぎても生産性は落ちるということがわかっています(ヤーキズ・ドッドソンの法則)。ですから、人生には適度なストレスが必要と言えます。
8 適度なストレスを
前述のセリエ博士は、「ストレスは生活のスパイスである」と言っています。
適度な「良いストレス」を持つようにし、その一方で、「悪いストレス」は、できるだけ少なくし、あるいは、何とかそれに対処していくこと(ストレスを解消する、受け止め方を変える、など)が重要です。