小僧

2007-02-21 00:30:49 | ひとりごと

昔々、その昔


幼稚園年長で50Mクラスまで上がってきた小僧がいた。


いつもいつも1時間の教室中に4回も5回もトイレに行く。


しかも、プールサイドから私の横に来ては黙って立っている。


トイレに行きたいと分かっていながらも仕方ないので、どうしたかと尋ねる。すると一言、トイレと言う。そのうち私も面倒臭くなってきたので、小僧が横に来るとコッチからトイレかと言うようにしてやると、無言で1度だけ頷くようになった。


小学生になって、育成コースを経て、選手になって再び私が担当する頃には、私からお前はトイレに住んでおけ!と言われるくらいのトイレの達人となっていた。


 


そして小僧が競泳と同時に夢中になっていたスポーツがあった。それはサッカー。


真面目でちょっと茶目っ気もあったが小僧だが、上のエピソードが物語るようにとてもシャイな小僧だった。


そんな小僧が5年?6年?の時、私にこう言ってきた。


 


先生、今度、豊田スタジアムで試合をする。


自分が伝えたいことをきちんと相手に伝えられるようにと、いつもならば、だからなんだ?と切り返すことが多い私だが、この時だけは小僧の少ない発言(会話)に対してこう返答した。


よし、じゃあオレ見に行く、絶対行くからいつ行けばいいかと。


すると小僧は嬉しそうに日にちを教えてくれた。


もちろん、ちゃんと見に行ったが当日は小僧と会えなかったので、練習に来た時に2試合を見た感想を小僧に伝えた。


 


そして中学に進学する際に、本人やお母さんと話をして、悩みに悩んだ末に私はサッカーを優先してはどうかと彼に伝えた。


もうスイミングにはほとんど来れないこともその時点で本人は分かっていたはずなのに・・・。


私にこう言った。


週に1度くらいはちゃんと来るから、選手のままで籍を残しておいてくれと。


何度か保護者とも話をして、辞めても泳ぎに来たっていいんだからと籍を残したままでもいいのかと確認しても、本人がどうしてもというので迷惑でしょうがいいですかと言われたが、結局なかなか来ないので保護者に許可をもらい、籍から外した。


 


そんな小僧がひょっこりと現れた。


先生、M高校に推薦で合格しましたと。


わざわざそれを私に報告するために来てくれた。


嬉しかった。


いろんな話をした最後にビックリするようなことを小僧に言われた。


先生、高3でサッカー引退したらバイトさせて欲しいと。


・・・。


嬉しかった。


本当に嬉しかった。


小僧もあの場所にいた一人・・・。


 



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