令和5年4月から期間徒過後の回復要件が緩和され、審判請求時の分割出願について審査の中止が認められるようになりました。
期間徒過後の回復要件については改正前は「正当な理由」が求められましたが、厳格に適用されていたため、従来の要件で回復に至ったケースはかなり少なかったと思われます。改正後は「故意によるものではない」基準となるため、社内決定がすでになされ故意に期限徒過した場合などを除き、回復できる件が増えると考えられます。
審判請求時の分割出願については、審判請求のバックアップとして分割出願する出願人が多く、分割出願の審査中止は出願人の選択肢が増えることになります。実際、分割出願は親出願の出願日との関係から分割日から30日以内に審査請求をしなければならず、審判における親出願の審査経過によっては審判と並行して分割出願の審査も進行することになります。分割が親のバックアップにある場合には特許庁の審査が無駄になる可能性があり、一方で出願人の負担も軽減するので、この点でもよい実務改正と思います。