弊所では毎月1回、技術担当者(弁理士等)が全員参加で勉強会を行っています。その月の担当者がテーマを選んで簡単な発表を行い、質疑応答・意見交換を行うというものです。内容は知財に関するものであればOKとなっています。今月のテーマは生成AIを活用した明細書作成でした。
業務効率化・人手不足解消に生成AIを利用することが業種を問わず近年話題になっています。知財業界でも生成AIの利用が注目を集めていると思います。今回、勉強会で提供された情報や意見交換を通じて分かったことは、経験が必要とされるクレーム作成等の業務は現状では生成AIでは困難であり、利用するのであれば守秘性を担保した上で補助の補助といったレベルの利用になろうというものでした。
例えば、担当弁理士が明細書作成の元になる情報としてクレームを生成AIに与えた場合の実例を提供してくれたのですが、一応明細書・図面の生成は可能のようでした。しかし、実用に耐えうるものかどうかは疑問であり、しかも試した例は電気・機械分野の発明でした(化学・バイオ分野では困難と思われます)。また別の観点では、新規性がある情報を生成AIに入力することは守秘性の点でも問題となります。一方で、発明の背景部分の作成や明細書の初期ドラフトの作成、さらには打合せの議事録作成については利用価値はありそうでした。
このように現状では明細書作成のコアな部分を生成AIで代替或いは補助することは難しそうですが、周辺の業務はAIを利用することで業務効率化を図ることは可能のようです。そうすると守秘性や業務効率の観点からAIを利用できる業務を絞り込み、業務効率化を図ることが当面の課題になるように思われました。
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