散歩路地《サンポロジー》      毎日が発見! 身近な自然が見えてくる!


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春雨に 濡れて可愛さ 知る私  -ヒトクチタケー  

2014-04-22 | フィールドノート(多摩丘陵)
数日前までは、天気予報は雨だったのに…。

朝起きてみると、晴れているのです。天気予報を見ると、2時頃までは晴、その後曇り始め、夕方には雨の降る所も…。 と言うではありませんか。このところ、仕事もちょっと忙しく、時間が取れた時は、天気が良くないという悪循環が続いていたため、この機を逃してはと、急遽多摩丘陵に出かけることにしました。
この春狙っていた、コツバメとトラフシジミ(春型)の写真を撮るのが目的です。

ですが…、いざ現地についてみると、何やら天気が怪しいのです。たまに陽が射す時間もあるものの、雲がどんどん増えてきて、お陽さまを覆い隠してしまうのです。


わずかな陽射しに輝いたカツラの新葉 2014-04-21 多摩丘陵

それでも、せっかく来たのですからと、歩きはじめました。

残念ながら、コツバメも、トラフシジミも見つけられませんでした。コツバメは、春しか出ないので、多摩丘陵での確認は、今年はもう難しいでしょう。こちらは、来年の楽しみに…。
余談ですが、若い頃は、写真を取り逃がすと、悔しくて仕方なかったのですが、最近は、『また来年の楽しみができた』と思えるようになってきました。どんどん時間が無くなるのに、こういう心境になるのは、なぜなのでしょう。

目的は果たせなかったのですが、何種類かのチョウがみられました。ナミアゲハ、キアゲハ、モンシロチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ。これらは、すべてこの春羽化したチョウ達。それから、テングチョウ、キチョウ、ルリタテハ、アカタテハ。この4種は、成虫の姿で冬を耐え抜いたチョウです。翅の傷み具合が、越冬の厳しさを物語っているようです。

 
成虫越冬したチョウ ルリタテハ(左)とアカタテハ 2014-04-22 多摩丘陵

雑木林の林床には、チゴユリやホウチャクソウが咲き誇っています。そして、日当たりの良いところには、ジュウニヒトエが咲き始めていました。


咲き始めたジュウニヒトエ 2014-04-22 多摩丘陵

谷沿いに出ると、ツボスミレやタネツケバナの白い花が目を引きます。その先をチラチラ飛ぶものが…。双眼鏡を目に当てると、カワトンボでした。


今年初めてのカワトンボ 2014-04-22 多摩丘陵

12:30。ますます、空が暗くなってきました。風も強くやや湿ってきたようです。トウキョウダルマガエルの鳴き声が目立つようにもなりました。天気予報よりだいぶ早く雨になりそうです。今日は雨具を持ってきていないので、そろそろ引き上げないと危なそうです。駐車場までは結構あるので…。
と思ったところで、立枯れたアカマツにキノコがたくさん付いているのが目に入りました。「空が青ければな…。」と思いつつ、下から煽るようにカメラに収めて見ました。さあ、本当に危ない。急ぎ足で駐車場へ。

残念ながら、最後の5分間ほどは、春雨に濡れながらということになってしまいました。「あそこでヒトクチタケを見つけちゃったから」ですかねぇ。

  ヒトクチタケ 2014-04-22 多摩丘陵

運転をしながら思い出すと、ヒトクチタケがだんだんかわいらしく思えてきました。この可愛らしさは、5分間の春雨には代えがたいものですね。




スミレに会いに、今春最初の多摩丘陵

2014-04-11 | フィールドノート(多摩丘陵)
『その瞬間、僕はかなり長い間、多摩丘陵のナガバノスミレサイシンの花を見ていないと思いました。』

この春最初の多摩丘陵。4月前半は、何といってもヤマザクラとスミレでしょう。



ヤマザクラ 2014-04-09 多摩丘陵

スミレの一種ナガバノスミレサイシンと言う、気品のある花の咲く場所まで足を運んだのですが…。 花は、咲いていませんでした。やや遅いとは思ったのですが、今年は花の咲き始めが若干遅そうだったので大丈夫だろうと高を括っていたのです。甘かった。


ナガバノスミレサイシン かすかな痕跡が 2014-04-09 多摩丘陵

その時、冒頭のような思いが頭をよぎりました。
ナガバノスミレサイシンは、多摩丘陵では、3月末がピークです。しかし、ここ数年、年度末は仕事が忙しく、なかなか足を運んでいられなかったのです。

自宅に戻って写真を調べてみると、高尾山で2011年に見ていますが、多摩丘陵では2010年4月1日が最後でした。と言うことは、2年間見ていなかっただけなのです。長く思えるのは、思い入れのせいでしょうか。

さてこの日は、先のナガバノスミレサイシンとアオイスミレは花を終わらせていたのですが、ニオイタチツボスミレ、マルバスミレ、ノジスミレ、アカネスミレ、ヒカゲスミレ、コスミレ、そしてタチツボスミレと、7種類のスミレに会うことができました。
残念ながら、スミレと、ツボスミレは、まだ開花していなかったようです。

僕は、すでに30年以上、多摩丘陵を歩き回り、19種類のスミレを確認しています。そして、それを見分ける資料を作っているのですが、これも、極めてローカルなものだけに、些細なところで、毎年新バージョン改定しています。
たとえば、これまでの多摩丘陵で見付けたコスミレは、いずれも葉の裏が紫がかっていたので、それも見分けのポイントにしていたのですが、今年見つけたコスミレは、全く紫色がかっていないのです。早速訂正しました。



多摩丘陵のスミレ 2013バージョン 両面コピー二つ折りでA5版の冊子状になります。

そんなわけで、毎年使命感を燃やしてスミレを見て歩いているのです。

さて、それでは、あとは4月9に見たスミレなどを紹介しましょう。


マルバスミレ 2014-04-09 多摩丘陵
 
ニオイタチツボスミレ左と、ヒカゲスミレ(タカオスミレ) 2014-04-09 多摩丘陵

タカオスミレは、ヒカゲスミレの一種で、葉が赤みを帯びるものをいいます。多摩丘陵には、タカオスミレが多く、僕はヒカゲを2回しか見たことがありません。

 
コスミレ左とオカスミレ(アカネスミレ)2014-04-09 多摩丘陵

アカネスミレは植物体に毛がありますが、無毛のものをオカスミレと言います。多摩丘陵では、オカスミレの方が多いと思います。


タチツボスミレ 2014-04-09 多摩丘陵

最も普通に見られるタチツボスミレですが、これは咲いていた場所がちょっと変わっていました。
いかにも里山らしいのです。


クヌギの大きな株上に咲くタチツボスミレ 2014-04-09 多摩丘陵

見事な株ですよね。まるで王座の上に腰かけているような感じです。

後はおまけ。


シュンラン 2014-04-09 多摩丘陵


この株はとても大きく、花が6輪も付いていました。

 
シオヤトンボの脱殻左と、羽化したての成虫 2014-04-09 多摩丘陵

早いですね。もうトンボが出始めていました。

春の里山は、景色がどんどん変わります。特に4月は1週間で見違えてしまいます。なんとか来週も足を運びたいものです。







桜の花吹雪の下で…。世田谷のスミレ

2014-04-08 | 僕の散歩道
桜は、満開を過ぎ、見事な華吹雪になってきました。


満開を過ぎたサクラ(ソメイヨシノ) 2014-04-08 世田谷

桜の花びらで、白くなった地面に目を向けると…。


さて、何が見えますか 
ちょっとわからない?
では、もう少し寄ってみると…。


ところどころに見える緑色は何でしょう。
もう一歩近づいてみましょう。


これでわかってもらえたでしょう!

丸い葉っぱに白い花びら。ケマルバスミレです。


ケマルバスミレ 2014-04-08 世田谷

スミレと言えば、スミレ色という言葉まであるくらい紫色が定番ですが、白もまた美しい。僕は結構好きなのです。
前回までに、タチツボスミレと、ノジスミレを見つけていましたが、これに加えて、今日は3種類を見ることができました。
と、今原稿を書きながら、今日見つけたのは、全部白いスミレだと気が付きました。
次を紹介しましょう。


アリアケスミレ 2014-04-08 世田谷

このスミレを始めてみたのは、里山のクリ畑でした。世田谷で見付けたのは、駐車場のフェンス下など、比較的人工的な環境。今回のは、川沿いの歩道のコンクリートの割れ目。
いったいどういう好みなのかわかりません。


ツボスミレ(ニョイスミレ) 2014-04-08 世田谷

ツボスミレは、かなり小さなスミレ。世田谷で見るのは、この写真のような、茎がやや寝た感じの個体が多いのですが、多摩丘陵では、結構茎が立っていて、もう一回り大きな花をつけています。ちょっと違った系統なのでしょうかね…。

それからもう一つ。


ニオイスミレ 2014-04-08 世田谷

こちらは、Viola odorat と言うスミレで、ニオイスミレと言われています。栽培種が野生化したもので、昨年まで見られなかった公園の一角で見付けました。ちょっと残念です。最近では、里山にまで見られるようになっています。側弁(5枚の花弁のうち左右に位置する2枚)の付け根にモサモサと白い毛が生えているのが特徴的です。

明日は、今季初めて多摩丘陵に出かけるつもりです。また違うスミレを照会できると思います。





スミレと、カタクリと、野イチゴの話になってしまいました。

2014-04-03 | 僕の散歩道
サクラだけが花見ではありません。
天を覆い咲き誇る桜の木の下で、踏みつけられそうになりながら咲く野の花も、またおつなものです。


天を覆うソメイヨシノ 2014-03-31 世田谷


僕のフィールドワークの対象は、季節と共に変わってゆきます。
春3月~5月は、主に花を。5月~9月が虫。9月~11月はドングリ。そして冬は鳥です。もちろんこれだけではありませんが、その時期時期に僕なりに楽しめるものを見て歩いているうちに、これが習慣のようになってしまいました。といっても、かたくなにこの習慣を守っているわけではありません。これを再構築したくなるような、魅力的な出来事に出合えればと、絶えず触手を伸ばしているのですが…。

さて、前回のログで、スミレを見て歩くということを書きました。といっても、これまでに僕が見たスミレは約30種。変種や色変わり、外来逸脱種を含めても50種にはならない程度です。それでも、僕の棲む周りに8種類もの野生スミレが咲き、僕のメインフィールである多摩丘陵では、これまでに19種類ノスミレが確認できています。これを毎年一つ一つ見て歩くのは、年に一度懐かしい友達と会っているような楽しみがあります。

今年のスミレ第1号は、3月25日のことでした。
仕事に向かう途中、世田谷の住宅地内の道を歩いていると、アパートの前にコンクリートの割れ目に紫色の花が…。近づくと、それはコスミレでした。我が家の近くでも、やはり古いアマートの石段で咲いていたのですが…、親、コスミレは古いアパートが好きなのでしょうか? そころが、アパートが取り壊され、その後姿が見えなくなりました。
・・・あっ!
と言うことは、僕の家のそばでは8種と言っておりましたが、現在は7種なのだと言うことに、今気が付きました。


コスミレは古いアパートがお好き? 2014-03-25 世田谷



こちらは我が家の近所にあったコスミレ 2001-03-25 世田谷


それからこちらは、ノジスミレ。ただし、多摩丘陵でよく見るノジスミレは、植物体全体に微毛が生えているのですが、世田谷の葉、ほとんど無毛でした。東名高速の東京(用賀)インターの周りで、結構見られます。ほとんどが、コンクリートの割れ目に咲いています。


東名高速下の歩道に花を咲かせるノジスミレ 2014-03-31



このほか、目立つ花をいくつか紹介しておきましょう。


カタクリ(植栽) 2014-04-01 世田谷


カタクリは、僕の家の近くにある2カ所の公園・緑地で見られます。いずれも植栽されたもので、できることなら、野生のものが見たいのですが、都界では無理ですね。まあ、春の花の象徴的存在ですので…、まあちょっと嬉しいかな。


クサイチゴ 2014-04-01 世田谷


モミジイチゴ 2012-04-12 多摩丘陵


こちらはいわゆる野イチゴ。クサイチゴは、ちょっとミントのような香りがある独特の味です。モミジイチゴは、3月28日に開花を確認していたのですが、写真を撮り忘れました。参考に多摩丘陵のものを乗せてあります。
モミジイチゴは、僕がこれまでに食べたのイチゴの中で、2番目においしいイチゴです。一番おいしかったのは何か…、それは、とりあえず伏せておきましょう。いずれ機会があったら紹介します。
あっ、すみません。花が咲いたばかりだと言うのに、思わず実の話をしてしまいました。

これからは、どんどんフィールドへ出かける機会が増えそうです。春の便りをたくさんお送りするつもりです。