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その9 ガビチョウの郷愁  里山の原風景に思う

2013-06-11 | フィールドノート(多摩丘陵)
久しぶりに、鳥の話をしよう。
僕の行動は、春3月中旬~5月の連休明けまでは、主に花を。5月~8月までは虫を。9月~11月は、ドングリや木の実を。そして12月~3月は鳥を中心に見ていることが多い。街中の緑地や里山では、夏場より、冬の方が鳥の種類が多く、しかも見易いのだ。
というわけで、春~夏にかけては、鳥の話題が少なくなる。

さて、ガビチョウという鳥を知っているだろうか?
もともとは、中国や東南アジアに生息する鳥だが、飼い鳥として持ち込まれ、逃げて野生化した鳥だ。その特徴は、何といっても鳴き声。大きな声で鳴くので、とにかく目立ってしまう。よく「この鳴き声は何ですか」と聞かれる。「ガビチョウと言います!」と答えると、「いい声ですね~。」などと返事が返ってくる。そして僕は一瞬違和感を感じてしまうのだ…。

違和感の原因は、ガビチョウが外来種だからなのだろう。そこに、一種の嫌悪感がないと言えば嘘になる。
しかも、特定外来生物として指定されているのだ。特定外来生物とは、環境省のホームページより引用すると、

この法律の目的は、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することです。
そのために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。


というものである。

冷静に鳴き声を聞くと、ややきつ過ぎるものの、確かに美しい声である。しかし、その声を聞いた途端、本来生息すべき「ウグイスやオオルリ、キビタキなどの鳥に影響を与えないだろうか。」と考えてしまう。そんな思いが、ガビチョウの鳴き声を、美しい声→うるさい声 へと変貌させているように思う。

人間が持ち込み、逃げて野生化した鳥を疎ましく思う。 ――勝手だな…。

6月6日。多摩丘陵の谷戸で、ガビチョウとの接近遭遇があった。大きな声で鳴くその姿が、モウソウチク(孟宗竹)の枝先にあった。写真を撮りながら、ふと思う。 ――里山の日本的な景観の中に堂々と入り込むとは!

 
ガビチョウ 2013-06-06 多摩丘陵

しかし、よく考えると、モウソウチクは中国原産。諸説あるが、日本には移入され広まったのは、1000年ほど前のことだという。ガビチョウからするならば、遺伝子の中に生き続ける故郷への思いを感じ、ホッとしているところかもしれない…。
事の良し悪しはともかく、我々が、モウソクチクを日本的な景観と感じるということは、何十年、何百年先には、ガビチョウの声は《日本の里山の原風景》と思えるような日が来るのだろうか。


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