日本で、昨年9月に公開された『題名のない子守唄』のDVDが、ようやくリリースされたので、即購入し早速鑑賞。
大好きなジョゼッペ・トルナトーレ監督の作品である。
舞台は、北イタリアのトリエステ。高校世界史では、「未回収のイタリア」などと説明される都市。作品では、美しい町並みの様子を見ることができる。
あらすじは次の通り。「北イタリアのトリエステにやって来た異国の女イレーナが、金細工の工房を営むアダケル家のメイドに雇われる。それは周到に策を講じて手に入れた念願の職場だった。完璧な仕事ぶりですぐに主人夫妻の信頼を得ると、最初こそ手を焼いていた彼らの4歳になる一人娘テアの心も確実に掴むのだった。しかし、テアを慈しむイレーナの本当の目的を知るものは誰もいない。さらに、忌まわしい過去の黒い影が忍び寄る」(⇒goo映画)。
物語は、いかにも秘密めいた部屋で、仮面をつけた裸の女の品定めが行われるという、主人公イレーナの回想シーンから始まる。インパクトのある描写に、冒頭から度胆を抜かれる。
しかも、これ以上にどぎつい回想シーンが、物語の随所に織り込まれており、『ニュー・シネマ・パラダイス』や『海の上のピアニスト』からは、とても想像がつかない。回想は、特に女性が観るには辛いものばかりだと思うが、イレーナの背負う過去が、いかに暗いものだったかを物語っている。
ちなみに、こうした回想シーンは、断片的かつ時系列もばらばらに織り込まれており、その時点では何を意味しているのかとても分かりにくい。回想を一つ一つ繋ぎ合わせて行くと、物語の中盤を過ぎた辺りで、ようやくイレーナの過去の全貌が見えてくる。
謎は他にもある。なぜイレーナがアダケル家に忍び込んだのか、なぜイレーナは無理をしてまでアダケル家の家政婦になったのか、理由はなかなか明らかにされない。
そもそも原題の“La Sconosciuta”(見知らぬ女)からして、ミステリアスなネーミングであるが、これまでのジュゼッペ作品とは違って、ミステリー性の濃厚な作品であるといえよう。
とはいえ、全ての謎を解くカギはすぐに見つかる。アダケル家の一人娘テアである。テアに対するイレーナの眼差し、優しさ、厳しさを見ていれば、謎は自然に解けてくる。イレーナとテアの関係には、トルナトーレ監督の作風が良く現れている。
最後の15分間にはやはり圧倒された。全ての謎も明らかになり、ようやくイレーナにも幸せの兆しが見えてきたと思われたのが、途端に大どんでん返しが起こる。
この15分間は、涙を止めることが出来ない。結局幸せを掴むことができなかったイレーナがテアに別れを告げるシーン、さらに成長したテアとの再会のシーンは思い出しながらも目頭が熱くなる。きつい描写が多かった分、こうした場面が非常に際立ち感動的である。
2度目の鑑賞であったが、1回目と同様全く飽きなかった。とても良い作品である。
大好きなジョゼッペ・トルナトーレ監督の作品である。
舞台は、北イタリアのトリエステ。高校世界史では、「未回収のイタリア」などと説明される都市。作品では、美しい町並みの様子を見ることができる。
あらすじは次の通り。「北イタリアのトリエステにやって来た異国の女イレーナが、金細工の工房を営むアダケル家のメイドに雇われる。それは周到に策を講じて手に入れた念願の職場だった。完璧な仕事ぶりですぐに主人夫妻の信頼を得ると、最初こそ手を焼いていた彼らの4歳になる一人娘テアの心も確実に掴むのだった。しかし、テアを慈しむイレーナの本当の目的を知るものは誰もいない。さらに、忌まわしい過去の黒い影が忍び寄る」(⇒goo映画)。
物語は、いかにも秘密めいた部屋で、仮面をつけた裸の女の品定めが行われるという、主人公イレーナの回想シーンから始まる。インパクトのある描写に、冒頭から度胆を抜かれる。
しかも、これ以上にどぎつい回想シーンが、物語の随所に織り込まれており、『ニュー・シネマ・パラダイス』や『海の上のピアニスト』からは、とても想像がつかない。回想は、特に女性が観るには辛いものばかりだと思うが、イレーナの背負う過去が、いかに暗いものだったかを物語っている。
ちなみに、こうした回想シーンは、断片的かつ時系列もばらばらに織り込まれており、その時点では何を意味しているのかとても分かりにくい。回想を一つ一つ繋ぎ合わせて行くと、物語の中盤を過ぎた辺りで、ようやくイレーナの過去の全貌が見えてくる。
謎は他にもある。なぜイレーナがアダケル家に忍び込んだのか、なぜイレーナは無理をしてまでアダケル家の家政婦になったのか、理由はなかなか明らかにされない。
そもそも原題の“La Sconosciuta”(見知らぬ女)からして、ミステリアスなネーミングであるが、これまでのジュゼッペ作品とは違って、ミステリー性の濃厚な作品であるといえよう。
とはいえ、全ての謎を解くカギはすぐに見つかる。アダケル家の一人娘テアである。テアに対するイレーナの眼差し、優しさ、厳しさを見ていれば、謎は自然に解けてくる。イレーナとテアの関係には、トルナトーレ監督の作風が良く現れている。
最後の15分間にはやはり圧倒された。全ての謎も明らかになり、ようやくイレーナにも幸せの兆しが見えてきたと思われたのが、途端に大どんでん返しが起こる。
この15分間は、涙を止めることが出来ない。結局幸せを掴むことができなかったイレーナがテアに別れを告げるシーン、さらに成長したテアとの再会のシーンは思い出しながらも目頭が熱くなる。きつい描写が多かった分、こうした場面が非常に際立ち感動的である。
2度目の鑑賞であったが、1回目と同様全く飽きなかった。とても良い作品である。
この巨匠が、その名に安住せず、このような作品に挑戦する姿は、拍手喝さいです。
「拍手喝さい」。まさに仰る通りです。監督は現在52歳ということですから、まだまだ名作を期待できそうですね(^_^)。
これまでのトルナトーレ監督の作品とは
だいぶ違いましたよね。
最後は、やっぱりトルナトーレと
思いましたが(笑)
良いラストシーンでしたね。
コメント頂き誠にありがとうございます。
終わってみれば、トルナトーレ監督らしい作品といえますね。
おっしゃる通り、ラストは涙、涙です(笑)。
良い作品でした。