私の研究日記(映画編)

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『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』(DVD)

2008-05-24 16:34:59 | な行
 DVDにて『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』を見た。2年前に映画館で観ているので、2度目の鑑賞。現在公開中の『第2章 カスピアン王子の角笛』を観るに当たっての復習である。

 『ナルニア』のように、現実世界の登場人物が幻想世界へ迷い込んでしまうという筋書きは、ファンタジーものの物語では、『不思議の国のアリス』や『ピーター・パンとウェンディ』以来の王道パターンである。最近読んだ『神秘の短剣 ライラの冒険Ⅱ』も、空間を切り取って作られた不思議な窓から、パラレルワールドに迷い込んでしまうという作品であった。

 このように、現実世界と幻想世界との往来が、割とありがちな設定であるとしても、『ナルニア』ほど素敵な幻想世界への入り口はないように思える。子供の頃、よく家の中の押入れやトイレの扉を前にして、この扉を開けたら別の世界だったらどうしよう?などと想像力を膨らませた経験があるからだ。『ナルニア』は、そんな子供の頃の想像を、映像技術を使って実現してくれる作品だ。大きな屋敷の中のある部屋に、いかにも意味あり気にポツンと一つ置かれた大きなタンス。そのタンスの扉を開け、中に入っていくと白銀の世界が待っている。何度観ても素敵な設定である。

 また、ファンタジーと映画いえば、映像の美しさも気になるところ。この点も問題はない。タムナスの住む雪の岩山、4人の兄弟たちを乗せた列車が走る平原と森のシーン、雪上の平原など、美しい情景が目に焼きつく。中でも、雪の降る森の中に一本のガス灯の建つシーン(ルーシーとタムナスとの出会いの場面)は詩的でとても美しいと思う。映像の美しさといえば、ファンタジー作品の中では『ロード・オブ・ザ・リング』がピカイチであると思うが、それほどでないにしても『ナルニア』の映像は十分に目を楽しませてくれる作品である。

 登場人物については、映画館で観た時も思ったが、4人兄弟の末っ子、ルーシー役のジョージ・ヘンリーの演技のうまさが目に付く。うれしい時、悲しい時の表情、泣いている時の声音などが自然で違和感を全く感じさせない。

 ストーリー全体を通してみても、落ち着いて最後まで楽しめる作品である。強いて不満を挙げるとすれば、一つは、魔女の誘惑にだまされてから、幽閉、救出、改心するまでのエドモンドを取り巻く状況。見ているこちらまで説教されているような気になる。次に、アスラン復活。絶望的な状況があっさりと取り除けられてしまうところが物足りない。もともと原作がキリスト教の影響を受けていることや、映画化をディズニーが手がけたということもあると思うが、大人が見るには、ストーリーが優等生的過ぎるのではないだろうか。

 おまけであるが、『ナルニア』のホームページ(http://www.disney.co.jp/movies/narnia/shell_content.html)に行くと、「あなたのタムナス度チェック」をすることができる。試しにやってみた所、「かなりタムナスさん」だった・・・。ご興味がある方は、ぜひチャレンジしてみて下さい。