ファミリー メンタル クリニック

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要するにひとりごと・・・

学習された無力感

2008年12月11日 | 児童精神医学
ある自民党の議員は日本戦後教育が日本をダメにした!と日教組を批判していた。
しかし、ある意味ではこれほど独裁政党にとって都合の良い国民になるように教育してくれた!と日教組に感謝すべきではないだろうか。(誤解されると困るので言い訳をすると、日教組を批判しているのでなく自民党を批判した文章です。日頃読んでいる人は分かると思いますが。)

サブプライム問題で日本はじたばたしない筈だったのに、フタをあけると大手企業なかでも製造業を中心に非正規雇用切りが露骨に始まっている。経団連会長のお膝元でも!
ヨーロッパならデモを超えて暴動となっていることだろう。

政治とはその道の専門家である政治家が行うものと、無意識に教育されてきた。コイズミ氏のようにちょっと毛色の違う人たちがヤクザな世界に近い形で政治に手を染めるというニュアンスもある。
会社員が弁護士が政党に入り、そこから政治を行い、任期が過ぎると普段の生活に戻るようなことは見られない。
政治家が一つの職業となった。真っ当なサラリーマンはそんな何時首を切られるか分からない世界に足をつっこんだりはしない。
そんなおかしな感覚を持っている日本人が多い。

政治と生活の乖離だ。

どんなことがあっても暴動が起きない国民だと政治家も官僚も安心しきっている。
秋葉原の事件も社会的な病理だと思うが、個人のレベルで葬り去られてしまいそうだ。
あれだけの事件でありながら、もうニュースでは一切扱うこともない。

政治に、世間に何を期待してもダメだという絶望感。無力感。hopelessness.

通常 精神科医が学習された無力感という言葉を使うときは、幼児期から親に虐待された子どもの心理状態や、DVの被害に遭っている配偶者の心理状態を説明するときだ。
頼るしかない相手に虐待を受け、自分なりに耐えていくしかない状況下で生き延びるための、決死の防衛的な対策だ。

自分たちの1票なんかで何も変わるわけはない・・・・そんな風な無力感が植え付けられた戦後政治は、ある意味では大成功だったといえるだろう。


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