ファミリー メンタル クリニック

児童精神医学,サッカー,時にテレビや映画、Macのネタ。
要するにひとりごと・・・

心の課題 白石潔 読み返している講義前

2015年10月23日 | 児童精神医学
同書 p43

多動

落ち着きがなくて,一見集中力に欠けた,よく動き回るタイプです。
このような子ども達は、感受性が鋭く,優しく、他人に敏感で、傷つきやすいのですが、不安がかなり強く,安心感を持つことが出来ません。
何をやっても持続せず、気移りし、集中力に欠けます。
早熟とも言えるような知性を示し、大人を驚かせたり、大人顔負けの表現や在り方を示すこともあります。
 おっちょこちょいの不器用さで愛嬌もあるのですが、衝動性のコントロールがうまくいかず、激しい在り方が目立ちます。
抑うつ的な母親を満足させようと、色々なことをやりますが、結局失敗し、かえって手がかかってしまい、母親をうんざりさせます。
しかしこの失敗によって子どもには、かえって母親との関わりが保証されているという逆説的な事態が生じてしまいます.
この逆説性は、母親を性心的にも肉体的にも疲れさせ、母親の抑うつを強化し、嵩じてストレス性の高い母子関係を再生産します。
その結果、子どもの依存(甘え)は満たされず、母親は抑うつ的で無力感にさいなまれます。
最悪の場合は、母親は子どもへの関心を示さなくなり、子どもはダメなことばかり何度も繰り返す問題児になってしまいます。


このような臨床を俯瞰的に見たコメントは、近年の発達障害関連書籍では あまり見たことがない。
ADHDが脳神経系の発達凸凹であるというリクツも分かる.
が、親子関係、主に母子関係の抑うつ的な側面を描写したものは見ない。

確かに高山恵子氏などは 母親が抑うつ的になっていることをサポートするシステムが必要だと言うことも考えているようだが.
精神分析的な土壌から,発達障害に関して,親子関係を述べている本は少ない。

白石氏の同書では、短い文章で、奥行きの深い文体が際立つ.
氏の講義で聴いた白石小年の在り方が、浮かび上がってくる.
著者自身も意識しているだろうが。

また、幾つか抜粋しながら印象・感想をブログで小出しに述べていくことにしよう。
覚えていたらね。

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