ファミリー メンタル クリニック

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情報提供書 かつて紹介状と言っていたけどなあ

2015年09月17日 | 児童精神医学
大学病院で研修していた頃,大学病院を受診する患者さんは、紹介状持参で初診の人が多かった.
まだ当時は紹介状がなくても受け付けていた。
今や、大学病院などは紹介状が原則必要で,持参してない人は罰則ではないが、別途料金が必要となるようだ。
3000円とか5000円とか.病院によって違うが。

最近R病院、R大病院に児童精神科の診察を受けたいので,情報提供書が必要だと電話が多い。
ただでさえ、仕事を増やしたくない俺は,できればそんな事務仕事を増やしたくない。
ただ、上の別途料金がかかるので、患者さんの負担を減らしたいからと云う態度なら,100歩譲ってやっても良い。
けれど、R病院もR大病院も紹介状を出せと云う割に返書が来ない。

恐らく3000円、別途料金の負担を減らしたくない親切心から、紹介状を依頼するのだろう。
そうでもなければ、自分で紹介状出せと支持しておきながら,返事を書かないなんて、そんな仁義を欠く医者がいるとは思えない。
言葉は悪いが、業界は仁義で成り立っているからだ。

要するに紹介状を持ってくれば安くなるからって事だろう。だから形式的にちらっと目を通すだけなのだろう。
そんな形式上のことで、忙しい大病院の医師が返書を出す理由もない。

しかし、情報提供書と紹介状のニュアンスは全く違う。
紹介状という意識は,御高診依頼の意味合いが大きい。

俺のような一町医者が診断治療するには難しい症状なので、ここは大学病院に,または大病院にお願いします.
そんな位置づけが紹介状.

しか~し この2,3週間俺が書いているのは何だろう?
下手すると2年以上も、診察したことのない患者さんが、唐突に情報提供書を(いついつまでと期限を指定して)書いてくれと電話してくる。
もちろん、子どもの患者さんなので 保護者が電話するのだけど。

勝手に受診を中断し,そんなに他の病院で診てもらいたいなら,2年前のその時点で、転院を希望してくれると良い。
このところ忙しい.
残念ながら子どもの患者さんでも 初診こそ40分場合によっては1時間近く診察するけど,2回目からは15分,10分、5分 となっていく。

それなら、医者の数も多く、時間がとれる病院、心理士、PSWも治療に参加しチーム医療をする病院を紹介し転院を、こちらから勧める。
しかし、最低でも半年,長いと2年も診察していない患者さんを紹介するには、責任がとれない。
要は,「紹介状」は書けません.
と言うことだ。

ま、強いて情報提供と云うのなら、

「半年前が最終診察につき、提供できる情報はございません。」

1行だけ書かれた文書の方が,情報量としては多いだろう。

相手は大病院なので、予診は研修医がするし、心理士・ケースワーカーがしっかりと家族状況も問診することだろう。
そして、こんな1行しか書いてない情報提供書って何だろう、
書いた医師の陰性感情も読み取ってくれるだろう。
こちらの方が,治療上有効だと思う。
転移構造まで紹介状に浮かび上がってくる.
完璧だ!

宝くじで3億円当たったら,クリニック閉店して,スペインに移住しようと考えている俺が言うのもアレだけど・・・

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