レジン床義歯の精度について

2012-02-06 18:35:38 | 義歯
レジン床義歯の重合精度を再確認してみました。
ウチも商業ラボなので企業秘密に属する事は書けませんが、そこは笑ってお許し頂ければ、と思います。

とりあえず、

1、「レジンは加熱重合タイプ」
2、「ショットタイプの填入」
3、「低温・長時間の重合ではない」
4、「水を重合に使用している」
5、「圧力鍋・電子レンジは使っていない」
6、「重合時間は大体20分くらい」
7、「法律上使ってはイケナイものは一切使用していない」

ということは明らかにしておきます。
なお、重合システムは当ラボ独自のもので、長い時間をかけて改良を重ねて現在に至っております。

重合後、応力開放してから開輪しました。


矢状断面での適合チェックのために正中付近から模型ごとカット。
当ラボでは、上顎義歯の精度を見極めるには必ず矢状断面でなければならない、と考えています。後縁が反って不適合だったり、口蓋の最深部が浮き上がっているのが丸見えになりますから、矢状断面の適合チェックは非常にシビアです。
後方からの横断面のカットモデルはあちこちで見かけますが、正直言って大して参考にはなりません。上顎義歯の適合を見せたいならやっぱり矢状断面を見せなきゃ。


断面にトリーマーをかけて適合状態を確認します。
かなり良好です。


粘膜面はちゃんと分離剤を効かせています。片方の石膏模型を外しましたが良好に分離しました。世間にはホンマに分離剤ちゃんと使っとるんかいな?、という疑わしい画像も事実ありますから。
あと、応力開放済みというのもポイントですね。応力を開放してないと口腔内セット後に変形しますから。
義歯の変形は3次元的なものなので、粘膜面も咬合関係も同時に狂ってしまいます。
応力開放すると若干適合は甘くなる傾向がありますが、やはり必須の作業と言えます。
ただ、その方法が悪いと劣化して粘りがなく割れやすい樹脂になってしまいます。
低温・長時間の重合をしないのはそういう理由からです。すでに劣化しているものを新品として納品するというのもどうかと思うのです。


ともあれ、レジン床義歯の重合精度をコンスタントにキープするのはなかなか難しい事です。
実を言うと上の断面画像もごくわずかですが口蓋部に隙間があります。
納得のいかない部分もまだあるのですが、さらなる適合性の向上を目指したいと思います。






EVANSPRO Dental Laboratory
コメント
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