ノンクラスプデンチャーについて

2008-12-08 15:54:07 | 義歯
最近なにかと話題のノンクラスプデンチャーですが、去る14日に(株)ニッシンさんから新しい樹脂が出たということで講習会に出かけてきました。
4~5年前にノンクラスプデンチャーを初めて見たときは「?????」という感じでしたが、業界で一定の評価を得るに至っています。今やノンクラスプデンチャーは貴重な成長株として認知されていると言っても過言ではないでしょう。
実際、口腔内のノンクラスプデンチャーは驚くほどキレイで患者さんの満足度も高いのですから。
その事実を考えると、もはやノンクラスプデンチャーはギミックとは言い難いと思います。私は、れっきとした審美補綴のひとつとして捉えています。

 さてさて、今回発表された樹脂はというと・・・。
意外にもPETの親戚ということでまず驚きました。うーん・・・、確かにPETなら破折したりちぎれたりしないでしょう。
特色ははポリカーボネートとナイロン系の中間程度の物性で即重が接着する性質を持ち、低温のショットのためフィットが良い、といったところです。
なかなか魅力的な説明でしたが、臨床ではまだ使われていない樹脂なので、やってみないことには見当もつきません(ちなみに、歯科界でPET系は今回が初めての認可となるそうです)。
年が明けて落ち着いたらまずサンプルを作って見ようと思っています。

 近頃、ポリアミド(ナイロン)系の義歯用樹脂が厚労省からようやく認可を受けたということで、今後は各メーカーから「雨後の筍」のごとく商品が発売されるものと予想しています。
それ以外にも熱可塑性アクリルレジン(こちらも既に導入済みです)なども発売されており、先発のポリカーボネート系も含めると熱可塑性樹脂にもずいぶんと選択肢が増えました。

 当ラボでは、ノンクラスプデンチャーにはレイニング(ポリカーボネート系)とポリアミド(ナイロン)系を症例に応じて使い分けていますが、けっこう極端な一長一短があります。
硬質でやや調整が難しいけれども仕上がりが良くてキズがつきにくく、即重レジンで修復できるのがポリカーボネート系の特徴です。
また、即重レジンで修復はできないものの柔軟でセットしやすく、疲労に強くて破折しにくいのがナイロン系の利点です。

どちらも研削・研磨のやりにくい樹脂ですが、特にナイロン系の研削・研磨性の悪さと言ったらもう・・・大変です。

現状ではどの樹脂が良いかと考えるより使い分ける方が良さそうだと思いますが、前出の新しいレジンがポリカーボネート系とナイロン系の中間の性質を有しているという事で期待してます。後発の樹脂は先発のいいとこ取りがどれだけ出来ているか、ですね。

しかし、ラボ屋の本音としてはいくつものレジンを使い分けるということより1つに統合するというのが理想ですからメーカーさんには扱いやすく、破損時修復がたやすく、どんな症例にも対応できる「超弾性樹脂」を開発してもらいたいものです(難しいでしょうねー)。
経営者の立場で考えると、乾燥温度も各樹脂まちまちな上に(大きな樹脂乾燥器が1台では済まない!!)今後は多種類の樹脂を持たなければならないので、在庫が増えて大変なんですから。

2008年も波乱のうちに終わろうとしています。
当ラボはおかげ様で今年無事に20周年を迎えることができまして、お得意先様をはじめ関係各位には本当に感謝の念で一杯です。この場をお借りしまして厚く御礼申し上げたく存じます。
 来たる2009年は厳しい時代の幕開けとして未来永劫に記憶される年になるなんて言われている昨今ですが、当ラボは今までにも増してポジティブかつエキセントリックにやっていきたいと思っております。とにかく頑張るのみです。

それでは皆様、良いお年を!!



EVANSPRO Dental Laboratory


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