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日本人として日々の暮らしの中で思うこと、知りたかったこと

ハリス元太平洋軍司令官の「駐韓大使起用」が意味するものは

2019-03-11 22:16:41 | 韓国・北朝鮮
2018/4/26(木) 午後 0:18

ハリー・B・ハリス元太平洋軍司令官(1956年8月4日~)は横須賀生まれ、母上が日本人という日系アメリカ人で、アメリカ海軍史上初めてのアジア系(日系)の大将(2014年9月指名、12月就任)で、尖閣諸島の防衛に関しては「中国を名指し」で、日米安保の適用対象であると明確にけん制するなど、日本人にとっては心強い日系アメリカ人の海軍大将だったが、先頃退任され、次期オーストラリア大使に指名予定と発表されていた。

ところが、4月24日、米の複数のメディアによれば、トランプ政権のポンぺオ次期国務長官(現CIA長官)が、ハリス氏をオーストラリア大使ではなく1年以上空席の続いている駐韓大使に指名するよう変更を求めたそうだ。

ポンぺオCIA長官は3月30日から4月1日の復活祭の連休を利用して極秘に北朝鮮を訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長と直接会って、5月か6月に行う予定とされているトランプ大統領との米朝会談の地ならしを行ったそうだ。ハリス氏が太平洋軍司令官としてこれまで北朝鮮の核・ミサイル問題への対処にあたり、北朝鮮問題に詳しい人物であることから、彼を駐韓大使に据えることで、米朝首脳会談が実現した場合に本格化する非核化を巡る米朝交渉に備える狙いがあるとみているようだ。

果たしてそれだけだろうか。

実際に米朝首脳会談が開かれるかどうかはまだ確定しておらず、ボルトン米大統領補佐官は指名される3日前の3月、自由アジアラジオのインタビューの中で「北朝鮮は過去25年間、合意と違反を繰り返したため(核放棄の意思は)懐疑的」とし「北朝鮮の時間稼ぎに二度と騙されることがあってはいけない」と語り、そして「大統領も時間を浪費しにそこへ行くのではなく、北朝鮮が核兵器をどのように早期に除去するのか、具体的な方法について議論しに行く」と強調。首脳会談の議題については「13~14年前のリビアのように北朝鮮の核兵器と装備を包装してテネシーオークリッジ研究所に移す議論をしなければならない。」とし、「そうでなければ(北朝鮮の意図は)運搬可能な核兵器をずっと開発するという目標のための偽装」と述べたそうだ。

ボルトン氏の主張は、完全な核廃棄後に支援するという「リビア方式」以外には認めないという主張なのだ。

リビアは2003年に米国と合意後に2005年まで検証を経て全ての核物質及び装備の廃棄を受けた後、原油輸出制裁解除と国交正常化をしたが、42年間リビアを率いてきたカダフィ政権は6年後に「ジャスミン革命」で崩壊し、NATO軍の支援を受けた反体制派によって2011年11月にカダフィ大佐は拘束され殺害されている。


ボルトン氏はブッシュ政権当時、外交政策を牛耳った「ネオコン」の一人で、ブッシュ政権当時「イラク、イラン、北朝鮮」を(テロリストへの核兵器の拡散すらしかねない) 「悪の枢軸(Axis of Evil)」と名指ししており、米朝首脳会談で北朝鮮が「リビア方式」での核の完全放棄を受け入れなければ、米朝首脳会談は物別れとなる可能性は高いようなのだ。

金正恩朝鮮労働党委員長は北朝鮮の体制崩壊と自分自身への(「斬首作戦」などによる)生命の危険を最も恐れているわけで、カダフィ大佐の轍を踏むことは避けるであろうから「リビア方式」をのむとは思えない。従って専門家によれば米朝首脳会談が実際に開かれる可能性は現時点で半々かそれ以下との見方である。

仮に米朝首脳会談が行われて物別れとなった場合はアメリカ軍の軍事的行動の可能性が高まるとみられており、この時期に、これまで空白が続いていた次期駐韓大使にハリス氏を指名すべきという意図は、万が一有事の際、在韓米軍と韓国軍両者の「戦時作戦統制権」を在韓米軍の司令官がもつという米韓のとりきめ(2014年に朴槿恵政権時に「戦時作戦統制権」の韓国軍への移管を延長しているため)があることや、有事の際の在韓米軍関係者(家族)、在韓邦人その他の外国人の韓国国外への退避の問題からも、アジア太平洋軍司令官のハリス氏の(大使としてよりも)むしろ軍人としての経験や能力に注目してのことのように思える。

 明日の南北首脳会談で「朝鮮戦争の終結宣言」を文在寅が急いで宣言するとすれば、それは「朝鮮半島の統一」への道を開く前にまず、米軍による軍事行動を防ぎつつ、在韓米軍の朝鮮半島からの撤退や、同時に「戦時作戦統制権」の韓国軍への移管を早期に行いたいという意図があるからではないだろうか。



コメント

どんな案件でもタカ派とハト派があって、北朝鮮に対して韓国がハト派の動きを示す中で、タカ派のボルトン氏には完全な核廃棄後に支援するという強い姿勢を持って対処してほしいです。

北朝鮮が核やミサイルを放棄することはないでしょうが、北朝鮮に政策転換を促すためにも制裁を強めていく必要があると思います。
2018/10/25(木) 午後 11:16 泉城


> 石田泉城さん
こんばんは。コメントをありがとうございます。北朝鮮の核廃棄には米国の識者は懐疑的な見方が圧倒的ですが、何故かトランプ大統領は米国本土に届く長距離ミサイルの開発をストップすることで事実上の核保有国として認めてしまうつもりなのか曖昧ですね。核の廃棄費用が莫大で誰が負担するのという現実の問題があるようですが、先日のASEMでもはっきりと核放棄がなければ経済制裁の解除をしないことを宣言していましたね。政策転換を促せればよいのですが。
2018/10/25(木) 午後 11:29 kamakuraboy

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