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「縄文時代の始まりはいつか」の議論

2019-03-05 20:24:49 | 古代
2018年2月8日ヤフーブログに投稿した記事より

「はじまり」はいつか、は「土器」の出現で定義されるのが普通で「定住」をもって定義するのは意味がないそうです。(「定住」の定義もいろいろでしょうし、そもそも「定住」は測定不可能なのでは。「定住性」の差異からくるバイアスがあり、正確な比較にならない、とあります)

まず、年代の測定方法として国際的に認められている方法は、放射性炭素(炭素14)年代測定法。

この測定方法が日本の考古学研究に導入されたのは、1950年と55年に夏島貝塚(神奈川県横須賀)の縄文時代の早期の層から出土した牡蠣殻と木炭を、ミシガン大学で測定、杉原荘介に報告されたものが最初だったそうです。

この結果、縄文時代早期が9500年前であること、縄文土器が世界最古の土器である可能性が指摘されたのが始まり。これ以降、日本考古学会ではかなり議論が巻き起こったそうです。

更には青森県東津軽郡外ヶ浜の大平山元Ⅰ遺跡の縄文時代草創期の土器製作時期が、通説よりおよそ4500年も古い1万6500年前と発表されたのが1999年で、しかもこの実年代は、ワシントン大学のスタイヴァ―らが炭素14年代を年輪年代や珊瑚年代を使って暦年に換算する国際較正曲線(INTCAL98)を使ったもので、つまり精度は現在の最高水準。

(因みに、縄文時代の年代は、草創期、早期、前期、中期、後期、晩期のように6つに分けられるそうです。)

これによって縄文時代晩期と弥生時代の開始期も当然、もっと古いということになるわけで、それまでの通説では紀元前5~紀元前4世紀頃であったのがそれよりも500年古い約3000年前、つまり紀元前10世紀頃であるということが2003年に国立歴史民俗博物館によって発表。

その年の日本考古学協会総会では、この発表に対する衝撃、当惑、賛成、反発、拒否など大変な論争だったそうですが、その測定方法の精度から(科学的な根拠として示されていることで)概ねこの1万6000年前から1万7000年前の辺り落ち着いてきているようです。

今でも、縄文時代のはじまりに関しては高校の教科書などの記述がばらばらで、「縄文時代の始まり」の(通説から)補正年代を認めない意見もあるそうですが、概ね反論には科学的な根拠となるものはなさそうです。

そもそも、縄文時代や弥生時代が通説より古かったことに対して日本の中に感情的に反発する人々がいるのは何故でなのでしょう。

詳しくは2017年内3回考古学協会総会で発表された以下の論文参照:
http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/10642/s/9519/

または:
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20120820.html

それから、第83回日本考古学協会総会のホームページに演題のプログラムが出ています。
参考まで。
http://archaeology.jp/convention/past-convention-2/sokai-2017_02/

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