美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

前田常作

2007年10月15日 | 私の本棚
悲しいニュースがあった。


現代的な「マンダラ画」、前田常作さん死去
2007年10月13日19時49分(asahi.com)
 現代的な「マンダラ画」で知られる画家で、武蔵野美術大学長などをつとめた前田常作(まえだ・じょうさく)さんが13日、心臓発作のため死去した。81歳だった。葬儀は近親者で行う。お別れ会を後日開く予定。喪主は長男太郎さん。連絡先は武蔵野美大(042・342・6021)。
 富山県生まれ。前衛的画家として出発し、パリ留学を経て、記号化された人体を仏教の宇宙観を示す曼荼羅(まんだら)的な絵柄の中に構成する作風に転じ、一貫して現代的に解釈した仏教画に取り組んだ。代表作に「西国巡礼」「坂東巡礼」など。79年に日本芸術大賞、89年に仏教伝道文化賞などを受けた。



前田常作先生は大学院時代の私の恩師です。多くのことを考え、学ばせていただきました。
絵を描くことは自分の「魂を研ぎ出す」こと。今も大切に私の心にしまっている言葉です。
心からご冥福をお祈りいたします。


前田常作氏の言葉
 「私達の人生は、あるいは生活は、その大部分が闇に閉ざされているかのように思われます。その闇の中にあって光を求め続けるのが、私たちの人生であり、生活であり、何らかの光を求めずに生きている人は、おそらく一人もいないのではないかと思います。芸術もまた、然りでしょう。私は「闇から光明へ」という言葉を好んで使いますが、闇の中から一条の光を見出すのが、やはり芸術だと信じているのです。」

 「内なる光です。それは美しく荘厳であり、実に透明であります。いかし、私たちは、その光に容易には出会うことが出来ないのです。内なる光に出会うには、何よりも自分自身が内なる光に目覚めなければならないからです。」

 「デッサン(素描)とは、絵画における創造の母体を成すのです。デッサンには、その人が対象と最初に出会った瞬間の感動が、そのままに表現されると同時に、その人の有する生命の力と秩序が表出されます。すなわち、デッサンは、広い意味にいう「心」の表現です。心を如実に表現することは、実は大変難しいことですが、それが絵画のあらゆる可能性を内包する母体としてのデッサンの、本来あるべき姿ではないだろうかと思うのです。」

 「デッサンを行おうとする人は、自己を厳しく見つめる内省の力、心の修養と、内なる思想を高める努力が、不断に要求されるのです。しかし同時に、人はデッサンを通して自己を深く見つめ直し、心の研鑽工夫を成し、自分の美の原理を高めてゆくこともできるのです。そして、その過程で、人は新たなる自己の発見と変革という喜びを受けとることができるのです。」

 「心のデッサンがしっかりとできている作品は、画面から霊的な波動がひたひたと迫ってきて、見る者をその中に包み込んでしまうような力を持っています。それは、宇宙的な瞑想、あるいは、天地と描いた人とが一体になった、生き生きとした生命を感じさせます。・・・・・感動を受ける素晴らしい作品と、そうでない作品との違いは、描く人が心のデッサンを積み重ねてきたか否かに関わっているに違いないと思います。」



『心のデッサン』佼成出版社1989年
心のデッサン
前田 常作
佼成出版社

このアイテムの詳細を見る



『前田常作のアクリル画』河出書房新社1978年
前田常作のアクリル画 (アート・テクニック・ナウ)
前田 常作
河出書房新社

このアイテムの詳細を見る



『デッサン入門』新潮社1985年
デッサン入門 (とんぼの本)
平山 郁夫,前田 常作
新潮社

このアイテムの詳細を見る



『前田常作展カタログ』冨山県立近代美術館1989年
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 文化祭にむけて2 | トップ | 雑誌作り »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

私の本棚」カテゴリの最新記事