美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

教育雑感

2016年02月18日 | 学校・教師考

2016年度高校入試が終わりました。本校はA方式入試、B方式入試と二つの狙いの違う入試を実施しています。

1993年より導入したB方式入試は、関西学院高等部の社会へのメッセージでもありました。高等学校が大学受験の合格者数だけで比較されてしまう今の世の中ですが、偏差値の尺度だけでは測れない生徒の能力や姿を評価して、関西学院高等部で教育していきたいという考え方のもとに創り上げた全く新しい考え方の入試で、当時は大変革でした。中学校の先生方からも多くのご教示をいただきながら、兵庫県私学連合会との度重なる調整をしながら、あるいは部内の反対を説得しながら創り上げていった入試です。

この十数年で兵庫県の私学情勢もかなり変化してきました。

6年一貫教育で大学受験を目指す多くの私学は、中学3年生で高校1年生の課程に入り、高2で高3の課程までを修了、高3では大学受験に向けての演習を行う…  そんな学校が増えたと思います。

関西学院中学部、高等部は学年を超えての授業の先取りはしません。学年ごとの教科書を使って授業展開をしています。しかし、それぞれの単元で上の学年で扱う内容に踏み込んでいったり、実験や演習を多く導入しながら、一人一人の理解や思考を深めるような教科指導を考えています。

特に関西学院高等部では大学受験のための演習という事ではなく、今、よく言われている「アクティブラーニング」の学びの実践が昔から行われています。問題解決能力は、実際に自分が働きかけて、感じて、考えて、判断して、時には間違えて…、そして、見直し… を繰り返しながら獲得できる能力です。机上にかじりついて試験問題を解く能力とは一線を画するものです。

グローバルというキーワードで、文部科学省主導で全国の大学改革が進められています。

大阪では先日、大阪府大と大阪市大の統合が決議されました。マンモス校が誕生します。一般的にマンモス校は、実績を上げる一部の学生の陰で、多くの学生は放置されます。個人を大切に活かした人材教育を進めたいと考え、その効率を上げようとすると、多くの普通の個人にまで手が回りません。

関西学院大学も昔から比べると学部が増えて大学の規模は大きくなりました。関西学院中学部・高等部も男女共学となり生徒数が増えました。そんな環境の変化はありますが、普通の個人が豊かに学び、平和を築き上げる社会の大切な一人として生きていく。活き活きと生きていく。そのための教育であるべきだという見識は変わることはありません。入学した生徒全員が、豊かに学び、チャレンジし、失敗しても間違えてもそこからより深く思考し、新たな自分を育んでいけるような、そんな教育実践を考えていきたいと改めて感じています。

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