美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

一隅を照らす

2009年05月25日 | 学校・教師考
安岡正篤氏は、天下国家をあれこれ論じるよりもまず自分がいる場所を明るく照らせる人間に、という意味を込めて「一燈照隅・萬燈遍照」と語ります。

 おのおのがそれぞれ一燈となって、一隅を照らすこと。この「一隅を照らす」は、伝教大師がその著『山家学生式(さんげがくしょうしき)』のなかに、提唱しておることです。
 なんで片隅を照らすなどと、心細いことを言われたのか・・・とよく考える人がある。大光明を放つとでも言ってもらいたいところです。しかし聞くだけなら愉快だが、人間みずから大光明を放つことなど、どうしてなかなか出来るものではない。
 つまらない人間も「世界のため、人類のため」などと言います。あれは寝言と変わらない。寝言よりももっと悪い。なにも内容がない。自分自身のためにも、親兄弟のためにも、ろくなことができない人間が、どうして世界のために、人類のために、なんて大口きけるか。
 それよりも、自分か居るその場を照らす。これは絶対に必要なことで、また出来ることだ。真実なことだ。片隅を照らす! この一燈が萬燈になると「萬燈遍照」になる。こういう同志が十万、百万となれば、優に日本の環境も変わりましょう。

(安岡正篤『青年の大成』(致知出版社刊)より)


現在の関西学院中高部の基礎を築いた矢内正一先生の著作に『一隅の教育』があります。
本物の人間を育てるために大切な精神。人間としての内面の充実。今の教育が忘れかけているこの精神。「一隅を照らす」ということの持つ深い意味を今一度心に刻みたいと思います。
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