美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

中学生へのメッセージ

2006年02月17日 | 学校・教師考
「自分探しのチャレンジャー 」   (進研ジャーナル原稿2002年)


 「高等学校は皆さんに何を与えることができるのか」「皆さんは高等学校に何を求めるのか」この2つの問いの間に志望校が見つかるのではないでしょうか。
皆さんの中学校での3年間はどんな学校生活だったのでしょうか。勉強とクラブの両立を目指して毎日がんばった人。生徒会やボランティア活動で自分の力を出し切った人。中には英語や数学で苦労した人もいるかもしれませんね。それぞれの生活の中で、いろいろながんばりがあったはずです。そして今、皆さんは高校生活の3年間にいろいろな憧れや思いを抱いていることと思います。どうぞその憧れや思いを大切にしていてください。
高校時代に主体的に何かに取り組むことで、今までの自分の価値観や考え方が大きく変わります。多くの人にとってそれはクラブ活動であり、あるいは、自分でテーマをもった勉強であると思います。それらを通してのいくつもの感動、やりがい、実感の中に皆さんの自分探しが始まるのです。自分探し、これは何も高校時代に限ったことではありません。大学時代、社会に出てからもずっと続くテーマです。しかし、高校3年間が自分探しに大きな影響を持ち、時には一生を左右するぐらいの出会いがあるのです。やりたいことに思いっきり打ち込むことで自分探しを展開する。高校時代がそんな3年間であってほしいと心より願います。
 さて、今、世の中はいったいどうなっているのでしょうか。1989年、戦後東西冷戦の象徴であったベルリンの壁が取り払われ、軍事用に開発されていたインターネットの技術が民間に開かれたとたんに、私たちの生活は大きく変わってきました。情報社会の到来です。情報のスピードが今までの価値観を大きく変えようとしているのです。そんな時代に日本の中だけで、政治・経済・文化等を考えられなくなりました。世界的視野、地球規模で物事を考えることが求められています。グローバルな思考のできる人を社会は求めています。
「自分探し」と「グローバルな思考」この両方を結びつける装置が高等学校なのです。教科カリキュラムや先生との出会い、学校行事やクラブ活動での質の高い経験、そして、学校の様々な設備、それらすべては皆さんが現代を生きる力を獲得するきっかけとなり、人生設計を自覚するきっかけとなる装置だと考えてください。
 皆さん一人一人に個性があるように、私学には個性があります。どの私学にも建学の精神が必ずあります。100年以上の歴史を持つ伝統ある学校でも、その建学の精神を今の時代に解釈し、教育活動に展開しています。それが私学の私学たるゆえんです。公立高校がデパートだとしたら、私学は専門店だといえます。何でもかんでもありますよというのではなく、例えばカバンを買うのだったらこの専門店に行ったらデザインや質のいいものが必ず見つかるという安心感があるように、この学校に行けば自分のやりたいことが高いレベルで実現できる、この学校だからこそこの学びができるというそんな私学が必ずあります。
 「その学校でいい」ではなく、「この学校がいい」「この学校で自分を鍛えたい」という強い熱意を皆さんの心の中に育ててください。熱意は皆さんを素晴らしいチャレンジャーにしてくれます。高校入試は人生のひとつのチャレンジです。チャレンジする気持ちが皆さんを大きく成長させてくれますし、目標に向かって努力することが苦しくなくなります。チャレンジすることの尊さと価値は必ず皆さんの財産になります。そして、そのチャレンジの延長線上に高校生活があり、皆さんの大いなる飛躍があるのです。さあ、自分探しの旅の出発です。
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