パチスパイのチェックリスト再構築を終えました。今回のテーマの一つが「過剰の定義」でした。
そもそも「過剰」とは何か。
私は
「検証を忘れた足し算」だと思っています。
何が支持されているのか検証せぬまま、嫌われているモノを把握しようともせず、ひたすらに足し算を繰り返した結果訪れるもの。
それが「過剰」。
今のパチンコ台における、リーチや電飾を思い出してもらえると分かりやすいでしょう。
過剰な札のサイズや差し方の特徴。
過剰な挨拶の特徴。
過剰なPOPの特徴。
この辺を具体的な数値で定義しました。
過剰だからダメ、シンプルだからいいという話じゃない。個人的には過剰嫌いだけど、好きな人が多ければマーケットとしてアリだよね。一年以上の歳月を要してしまったのは、まさにこの点。
「過剰で高稼働」
「過剰で低稼働」
「過剰じゃなくて高稼働」
「過剰じゃなくて低稼働」
これら4カテゴリをどう扱うかという点です。
過剰な店舗でも稼働していれば、それを求める人が多いわけですから評価されなきゃいけない。さらに「過剰型(特化型)」か「シンプル型」かも判定しなきゃいけない。
稼働し、稼働し続ける運営が一番良いわけですから、私個人の趣味でシンプル型サイコーとか言っちゃいけないわけです。
例えば、上げ底や台車の複数使用ね。
アレ、個人的には大嫌いなんですよ。
でも稼働してるならOKでしょ。
「愛します!」といった作成者の思い入れの詰まった前のめりな広告も、稼働してるならOK。
でも、稼働してなかったらNGだしょ。
店舗の稼働を年単位で見た場合、上昇局面と下降局面があります。何かの施策を経て上昇局面へ移行する。そのまま伸びていくと、普通は「稼働してるんだからこのまま行く」となりますね。低稼働になった後も「原点に戻る」とか言って過剰さを上乗せしていきます。
台車は2段重ねになり、挨拶は大声から絶叫になり、1箱に3枚もの札を差し、会釈はドンドン直角になり、POPは思い入れ広告全開になる。稼働上昇局面で、過剰さを抑えねば、下降局面で、気持ち悪いほどの過剰さとなってしまうんです。
かねてより、過剰演出は信用取引と言ってきました。
稼働上昇時には3倍5倍という勢いで出玉感や盛り上がりを演出します。
ところが一転して下降局面になると、他店より3倍5倍というスピードで廃れていく。
そういう意味でも上昇局面で演出を引き算しなきゃいけない。
私が北海道のマルハン@厚別で悔しく感じたのは、この部分なんですね。
昨年、マルハン@厚別へ行った時、女性店長が低玉にして復活させたと聞きました。プルタブを集めた量でイベントを開くことで、客に「店だけじゃなく他の客へも協力してる」と思わせる仕組みに感動したりしました。
その時、「今こそ引き算のチャンス。稼働上昇局面でイベントや装飾を減らし、接客アクションを地味にする。POPも減らす」と、取材メモに書きました。
そしてこれが今年の様子。
驚くほどシンプルで無駄のない店内になっていました。
これなら稼働低下局面で、装飾やイベントを多いに足し算できます。
ああ、できてる。
すげぇ。
すげぇけど悔しい。
私が考えるくらいのことはとっくに考え、それを組織としてやる行動力もスピードも備わっている。
何度も言いますけど、過剰さを保持したままでは、失敗した時に取れるオプションを減らしてしまうのよ。「より大きな過剰」へ突き進むこととなり、全ての客からそっぽを向かれる。北海道の市場を見て強く感じました。
マルハンの中の人は、この記事を読み、鼻で笑うかもしれんね。
でもね。
何か心地よくもあるんですよ。
よーし負けねーぞ、みたいな( ̄▼ ̄;)
「問題発生を想定したオプションを複数用意しておく」
「複数のオプションを用意できる環境を整える」
「問題発生時は直感よりオプションを頼る」
失敗に対する備えだけでなく、その備えを生み出せる状況、実現できる状況にしておくというのは、事業主として独立し、失敗の上に学んだ数少ない真理です。