湯めぐりシリーズNo.37
平成17年1月9日(土)~10日(日)
旅館 ひかり温泉 有珠郡壮瞥町盤渓28-3 0142-65-3000
泉 質 含硫黄―ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸温泉
(硫化水素型)(旧含石膏―食塩 硫化水素) (中性低張性高温泉)
泉 温 65℃
浴 場 内風呂男女各1、岩風呂男女各1、家族風呂1)
適 応 症 浴用 神経痛、筋肉痛、五十肩、関節痛、うちみ、くじき、運動麻痺、糖尿病
飲用 慢性消化器病、糖尿病、慢性胆嚢炎、胆石症、痛風、肥満症、便秘
宿泊料金 ¥5,000
よく言ったり、聞いたりする言葉に「鄙(ひな)びた宿、鄙びた温泉」…という。広辞林で調べてみた。
鄙びるとは「いなかびる」「いなかめく」…いなかの地方という意味だ。
この度の「ひかり温泉」は、それにぴったりの湯宿だ。開業が1883年というから120年もの歴史を
刻んだ伝統ある温泉旅館である。
前身は「伊藤温泉」で、5年前にいまの湯守に代わった。
建物や部屋はいかにも古く、当時の宮大工に造らせたという面影が建物のそこかしこに残っている
とはいえ、老朽化が進んでいる。温泉は、自前の源泉100%で湯量もある。
内風呂は「ぬるめの湯」と、「あつめの湯」の二槽からなり、好みで入浴すればいい。
ほかに、じゅうぶんな広さがある男女別の岩風呂がある。
むかしの伊藤温泉は、運動麻痺や筋肉痛に効能があり、杖をついて訪れた人は、杖を忘れて帰り、
杖の山ができた。車いすでのお客は歩いて帰った…という伝説の湯宿だ。
50年ほど前、同じ評判の宿が、この伊藤温泉(ひかり温泉)、薄別温泉(現定山渓佳松御苑)、
新見温泉で、効能抜群として名をなした。
この湯宿は、湯治客が主で、今宵の食事つき宿泊客はわれわれ二人きりだ。
夕食、朝食とも、宿のご夫婦、ご主人の実家の父親と一緒の食席だ。
南幌出身のご夫婦の料理は田舎風で、温泉旅館の投宿者向けとはいいがたい。
二日酔いだというご主人に晩酌のお相手をしてもらいながら、宿のことやお湯のことを色々拝聴した。
湯主の伊藤温泉のおばあちゃんはまだ健在で、湯権が譲渡されていないこと、町役場と行政面での
営業権確保のことや、道路拡張の問題…酒量がすすむにつれ打ち明ける。
しかし、われわれには関知しないこと。
チェックアウトの際、料理に使ったり、お茶やコーヒーの味がよくなるからと、徳舜瞥岳の伏流水と
飲用の温泉湯をペットボトルに入れて持たせてくれる。
こんなところに、鄙びた宿の潤いを実感する。
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