季節の風物おぼえ書き

~季節の風習や行事を紹介しています~

お彼岸・暑さ寒さも彼岸まで…

2007年03月18日 | 春の風物

Photo007  三月の「春分の日」をはさんで、前後約三日ずつの一週間が「春のお彼岸」です。春分の日は昼夜の長さが同じで、太陽が真西に沈むため、仏教で西方遙かかなたに有るといわれる極楽浄土にちなんで、この日に仏事をするようになりました。

 この期間中、お寺では彼岸会という法要が行われ、読経・説法などをします。又、檀家の人たちはお寺で説法を説いたり、祖先の墓参りをし、だんごやぼた餅を作って仏前に供えます。

 同じく、「秋の彼岸」は、九月の「秋分の日」をはさんだ前後約三日ずつで、祖先を供養し、故人をしのんできました。

 参考:「日本人のしきたり」飯倉晴武・編著(青春出版社)

〔追記〕2009.3.21

 「春彼岸」飾りの写真を追加しました。これは、「流しびな」にヒントを得て作りました。我が家の新しい風習にしたいと思っています。

 桟俵に納めてあるお札は、「散華」(さんげ)といいます。お寺の法要の時にまかれますが、参拝者は自由に持ち帰れます。

 「散華」は、古来、インドで花や香を地にまいてその場を清めたり、供養したことに由来します。日本では、古くは蓮の花びらなどがまかれていました。今は、紙製の花びらや葉がまかれるようになりました。

 参考:日本大百科全書(小学館)


「ひな祭り」~女の子が、幸せにおおきくなることを願うお祭り

2007年03月02日 | 春・ひなまつり

 ひな祭りのいわれ①…昔の中国では、3月3日に水辺で身を清める習慣が有りました。これは日本に伝わり、桃花節(とうかせつ)ともいわれました。この祓いの行事に、日本古来の、平安時代から有る、「流しびな」の風習が、貴族の子女のひな遊びなどが融合してできた節句が、ひなまつりといえます。 (参考:A)
 ひな祭りのいわれ② …古代中国には、3月最初の巳(み)の日に川に入ってケガレを清める上巳節(じょうしせつ)という行事があり、それが日本に伝わり、さらに、室町時代の貴族の女の子たちの人形遊びである「ひない祭り」が合わさって、ひな祭りの原型ができました。今でも一部に地域に残る「流しびな」の.風習の由来になっています。やがて、近世の安土・桃山時代になると、貴族から武家の社会に伝わり、更に江戸時代には、庶民の間に広まっていきました。 (参考:B)
 ひな祭りのいわれ③ …ひな祭りが、3月3日と定まったのは、江戸時代の、徳川5代将軍綱吉のころと言われています。 (参考:C)
 「桃の節句」のいわれは …桃の木は、中国で悪魔を打ち払う神聖な木と考えられていたため、ひな祭りに飾られるようになったと言われています。こうして、江戸時代、一年の節目として重要とされた五節供の一つ、「桃の節供」が誕生しました。因みに、江戸幕府が定めた五節供は、1月7日の「七草の節供」(人日・じんじつ)、3月3日の「桃の節供」(上巳・じょうし)、5月5日の「菖蒲の節供」(端午)、7月7日の「七夕祭り」(七夕)、9月9日の「菊の節供」(重陽・ちょうよう)の5つです。 (参考:B)
 菱餅の色の意味は …薬効の有るものとして、には解毒作用のあるクチナシ、には血圧降下作用のある菱の実、には造血作用のあるヨモギを用いたという節もあります。(参考:A)
 白酒 …昔は、魔よけの力が有るとされる、米・麹・ミリンで作った「にごり酒」が使われていました。その後段々と、手に入りやすい「白酒」が飲まれるようになってきました。 (参考:A)
 ひなあられ …昔は、色とりどりの「あられ」を、野山で神様にお供えして、みんなで一緒に頂きました。 (参考:A)
 流しびな …昔、平安の貴族が、人形に身のケガレを移して流したのが始まりです。今でも、川や海に流している地方があります。 (参考:A)
 吊しひな飾り …静岡県東伊豆町稲取地区などで、江戸時代から伝わる、桃の節句の伝統行事です。娘の健やかな成長を願って縫い上げた厄よけの「羽子板」や、安産祈願を示す、「犬」などの縁起物を赤い糸に吊して、ひな壇の両脇に飾り付けます。 (参考:D)
100_0026100_0007100_0037100_0011  東京・西新宿の京王プラザホテルのロビーでは、5年前から、桃の節句に合わせて、吊し飾りを展示しています。高さ3㍍の木枠に、着物地を再利用して作った、色とりどりの細工がぶら下がり、通路脇の壁面などにも飾り付け、細工の数は、約3200個にもなっています。細工の一つ一つに、女の子の健やかな成長が託されています。エビは、長いヒゲや曲がった腰が不老長寿を表し、巾着は、お金が貯まるように。虫除け効果のある唐辛子は、娘に悪い虫が付かないようにということです。伝統的なひな飾りは、「段飾り」の様式が主流ですが、住宅事情や少子化の影響で、10年程前から、段飾りの代わりにする家庭が増えているようです。最近は、細工作りが手芸としても人気を集めています。 (参考:D)
   参考:A ぎょうじのゆらい(講談社)   参考:B 日本人のしきたり 飯倉晴武・編著(青春出版社)  
  
参考:C おしゃれ工房 2005.1月号(NHK出版)  参考:D 読売新聞記事 05.1.19,  07.2.4, 07.2.28  

「うれしいひなまつり」の歌は、レクイエム? …楽しい歌ですが、思いがけず意外な物語がありました。ブログ「歌の誕生秘話・エピソード」よりご覧下さい.

「ひな人形は触るもの」?…江戸時代に、女の子たちは、「ひな祭り」にお友達を招き、「ひな道具」でままごと遊びをしていたと言われています。その理由は、「成長して嫁ぐ日のための家事の稽古」と意味づけられていたようです。触れる前に手を清める習慣をつける稽古として、「手を清めてから触るもの」という、お作法の勉強にもなっていたとか。
 歴史から考えると、ひな人形は娘に触らせることで、家事や生活習慣を学ぶ機会になっていました。
「9月9日・重陽の節句にもひな人形を飾る」?…「ひな祭り」から半年後の、9月9日に再度ひな人形を飾るのを「後の雛」とされて、ひな人形を飾る習わしがありました。
 「重陽の節句」は、旧暦の9月9日に行われる行事で、「菊の節句」とも呼ばれ、「桃の節句」や「端午の節句」と並んで、大切にされてきました。
 「後の雛」は、大人が両親や自分自身の健康と長寿を祈願するものだったとか。
 現在使われている新暦の9月9日は、「菊」のシーズンと合わないことや、住環境の変化から、伝統行事への関心が薄れて、「後の雛」の習慣は、ほとんど知られなくなりました。
  
(2016.3.3 Infoseek楽天NEWS)

「ひな人形を飾る期間は」? 2016.3.4、TV番組で林先生が解説しました。