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小室直樹を読む 天皇恐るべし を読む

2010-02-25 10:52:14 | 日記
第八章 日本皇道の失墜
保元の乱はわずか一日で決着がつき、後白河・関白忠通派の完勝。

敗北した崇徳上皇は仁和寺に幽閉されていた。

小室は「保建大記」をたたき台にして先に進む。

保元の乱後の倫理破壊はさらにすすむ。
敗戦後、
崇徳は幽閉
頼長は流れ矢にあたり死亡
源為義、平忠正は自首してきた

後白河派の戦後処理は厳しいものとなった。

清盛は 「叔父」忠正を死刑にした。
これはライバル源義朝を倫理破産させる陰謀であった。

死刑にするほどの事でもない「叔父」忠正を死刑にする事で、平家のけじめをつける。
すると、ライバル源義朝は 「父」為義 を死刑にせざるを得なくなる。

義朝は天皇に「父」の助命嘆願をした。
天皇は許さなかった。

義朝は郎党鎌田正清に命じ、「父」為義を殺させた。

これにより、義朝は父殺しの倫理破産人となった。
それと同時に父殺しを命じた朝廷もまた倫理破産した。

栗山潜鋒は論じていう

義朝が保元の乱において、父と敵味方に別れ戦ったのは、朝廷のためにしかたないことであった(義朝、勤王の日に当たりて、父に抗せざるを得ず・・)

しかし、戦乱が収まり父が自首してきたときに、父を殺すという道はない。
天皇がどうしても殺せといった時、なぜ勅命に抗し自分も共に死刑にならなかったのか
(禍乱既に平らぎ、其の父、我に帰す。なぜその子従りて之を殺すの道有らんや。君命に方い、与に倶に死刑といえども可なり)

小室はこれを受け
鳥羽上皇が「天倫の序」を蹂躙したことで、根本規範が解体した。
皇位継承を乱した事で、皇位という国の根本が揺らいだ。

その結果あらゆる倫理が融解をはじめた。
その現われが「保元の乱」であり、その戦後処理における人倫破壊である。

義朝の父殺しは、すでに骨がらみになっていた急性アノミー(根本規範の融解)の象徴的現象である。

栗山潜鋒は論じていう
国が滅びようとしている時には、正大はしぼみ、人々は道徳を忘れる。義朝が父をかばいきれなかったのも、この理由による(蓋し、邦まさに廃せんとするや、正気萎惰し、人心道をわする。)

北畠親房もその著書「神皇正統記」で論じて

義朝は、先祖代々朝廷に仕えた武士である。保元の乱の戦功もおおきい。
朝廷がその義朝に父の首を斬らした事は大変な誤りである。

今まで、中国にも日本にもこのような例はなかった。
 この誤りにより、天下の名行がやぶれた(規範が解体した)。

保元・平治の乱以来、天下が乱れ内乱が盛んになり、皇位は軽くなった。
いまだ太平の世にかえらないのは、この名行が破れたからである。

・・・と

「天倫の序」の乱れにより国の根本規範が揺らいだ。
その結果人倫が融解を始めた・・・

第八章 日本皇道の失墜 はここで終わります。

次ぎは 第九章 摩訶不思議なるもの を読みます