エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

より奥深き日高の静峰・・・日高大山(1361m)

2019年08月09日 | 山紀行 (日高山系)
困難と思われた奥深き日高の静峰に新ルート
灯台下暗しの情報・・・日高大山(1361m)
■ 山 行 日    2019年8月4日(日)~6日(火)  2泊3日
■ ル ー ト    上アブカサンベ沢川支流里半沢~大山南西尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー     夫婦登山№25 KGさん
■ 登 山 形 態     沢登り&藪漕ぎ
■ 地 形 図    1/25000地形図  「岩清水」「日高大山」
■ 三角点・点名   三等三角点 点名「尖山 トガリヤマ」
■ コースタイム    1日目 5時間15分
           2日目 登り 6時間20分  下り 4時間35分
           3日目 4時間35分

<1日目>
08:50        ペンケアブカサンベ林道ゲート出発
09:10        シュンベツ川出合(渡渉)
09:20~25     高見発電所支水路水路橋の下
10:20        C280入渓
11:50        C320下川山直登沢出合
12:55~13:05  C350付近ゴルジュの高巻き
13:15        C380里半沢出合
14:05        C460右岸 テン場 C1

<2日目>
05:50        C1出発
07:00~10     C650三股(本流へ)
07:30~40     C720~C750 S字状のゴルジュ乗越し
07:50        C790二股 左へ (右は50m以上の滝)
08:20        C830二股 左へ
09:00        C950付近から小尾根に取付く
10:00        C1050小尾根のポコ(肩)
10:35~45     C1150尾根上
11:45        C1300頂上南西尾根の肩
12:10        大山(1361m)頂上

12:40        下山開始
14:25~30     C950沢出合
17:15        テン場 C2

<3日目>
06:15        C2 下山開始
06:45~50     上アブカサンベ沢川出合
07:00        ゴルジュの中通過(他高巻き)
08:00~05     下川山直登沢出合
09:15        ペンケアブカサンベ林道出合
10:00~10     高見発電所支水路水路橋の下
10:25        シュンベツ川出合(渡渉)
10:50        ゲート(駐車地)


★ プロローグ、身近な開拓者に感謝・・・
道内の標高1000m以上の全山を夫婦で目指そうと思ったきっかけの一つに
八谷和彦氏の著書、新版ガイドブックにない「北海道の山々」があり、私たち
の教本になっている。その中にも日高大山の登行記録が掲載されているので、
参考にして頂きたいが、当初から白紙の状態でこの山の登行ルートを模索して
いて当時(2005.8)から登行情報の全くない山であったと記されている。
今回私たちが選んだルートも八谷氏は、上アブカサンベ沢川入口まで林道が約
20㎞あり、まる1日かけて歩かなければならないと記していたが、現在はそ
の入口まで車で走る事が出来、上アブカサンベ沢川沿いの林道を出来るだけ使
って上アブカサンベ沢川~里半沢を遡行するルートを辿れば、山中2泊の行程
で踏破出来ることが分かった。

今回同行して頂いたKGさんは、私の山の師匠であり私生活でも30年近くの
お付合いになる大先輩である。今も山に臨む気力と体力づくりは欠かさず超マ
イナーな名も無き山を求めて独り歩いている事に敬服している。この山に関し
ても穴があくほど地形図を読み尽くし、林道の偵察まで独りで出掛けるほど慎
重で大胆な行動力の持ち主である。

名目のリーダーは私になっているが、実質KGさんに頼っているのは私であり、
いつもながら情けない挑戦なのかも知れない。
さて、開拓者とはだれなのか?
それは、ニセイ山にも登った濱ちゃんだった。彼もまた師匠はKGさんであり
他多くの先輩たちから山の技術と知識を学んで来た山屋である。今は自身が中
心になって「登った事が無い山」を求め四季を通じてマイナーな山登りをして
いるが、その情報は所属する山岳会の機関紙だけに載り、ネット上に発信され
ることはほぼ無い。それだけに本人から聞く情報はとても貴重であり未踏であ
れば逃す手はない。
濱ちゃんが日高大山に登ったのは、昨年の9月でこのルートから実際に登った
のは、彼らが「初登」と言っていいほどネット上には公開されていない貴重な
ものだった。

そんな貴重な情報を頼りに私たち夫婦が臨むのも全山制覇へのプロローグにな
るのかも知れない・・・。



日高大山周辺の概念図と2005年8月の八谷氏の登行ルート、そして今回のルートである


GPSを元に地形図に移行したルート図です


テン場から頂上までのルートを拡大してみました・・・

★ ルート発案はKGさん・・・
KGさんは、現在74歳。
KGGケージジィーと呼んでくれと言われたが、ケージィさんの方が呼びやすいので
勝手に変更させていただいた。
この山を登る対象に考える人は、故・児玉さんのような北海道の山全山を制覇しよう
とする稀な人間しか居ないかも知れない。その児玉さんが登ったのは、2007.9
なので八谷氏が登った2年後となる。登行ルートは今後調べて見たいが、もし八谷氏
と同じであれば、やはり今回の里半沢ルートは濱ちゃんパーティーが初登だったのか
も知れない。そして、私たちが第二登・・。
ただ、このルートを発案したのはKGさんで濱ちゃんとは同じ山岳会に所属している。
山歴は50年以上の大ベテランであり山を知り尽くした根っからの山屋である。
これほど頼もしく安心出来る同行者は居ない。今回の山行が仮に失敗したとしても、
KGさんと同行する事だけで得るものは大きい。2015.8、KGさんと二人で登
った「留取岳」も日高の主稜線から外れた早大尾根上のピークである。この山も八谷
氏は児玉氏の同行を得て中ノ川から登っているが、現在はアプローチの林道も崩壊し
無雪期の登頂は難しくなっている。がしかし、KGさんは見事に地形図を読み切って
その弱点を見付け、「ここなら行けるかも・・」と確信して私を誘ってくれたのが、
留取岳ポンヤオロマップ川ルートであった。もしかするとあのルートは、私たちが「
初登」だったのかも知れない。

いずれにしても今後夫婦二人だけで北海道の1000m超峰全山を制覇する事は、事
実上無理と思っている。少なくとも日高の山域は、通行止めになっている長い林道を
始め辿るルートの選定や情報の少なさから難易度の高い山行が求められるだけにサポ
ートしてくれる同行者無しでは、達成は夢に消えるだろう・・。

そんな思いもあって夫婦山行に拘るチーヤンを説得し決行に至った経緯があった。



春別農屋線の林道を約18.5㎞、45分掛かって着いた「ペンケ(上)アブカサンベ林道」入口に駐車

★ 太陽が敵にまわった・・・
札幌では10日連続の真夏日を記録するほど連日の好天と暑さが続いていた今日この頃
である。計画した8/4~6も30度越えの好天が約束されるほど山日和に恵まれた山行だ
った。しかし、それが仇となるほど太陽が敵だと思うのは贅沢なわがままだろうか。

ずっと雨も降っていないので本流のシュンベツ川も支流の上アブカサンベ沢川も減流気
味で遡行自体は楽であろうと案じていたし、ましてその支流の里半沢はチョロチョロし
か流れていないかも・・・と安易な山行を想像するのは私のいつもの悪い癖だ。

計画より1時間遅らせて自宅を6時に出た。
しずない町農屋の林道出合には7:40に着き、目的の上アブカサンベ林道出合までの
19㎞に及ぶ「春別農屋線」林道をゆっくり走った。林道出合から少し走ると災害によ
る倒木処理の伐採作業が大々的に行われていて、時間帯によっては、待たされる事もあ
るらしいが、今日は日曜日なので大型重機のみ残され作業は休みだった。

そして、8:25 ペンケアブカサンベ林道出合に到着。(出合から18.5㎞だった)
ゆっくり準備をして8:50の出発となり、気を引き締めるも暑かった・・。



シュンベツ川に架かっていた橋は流され林道は途切れるが、渡渉して対岸へ


林道を10分ほど歩くと突然目の前に現れる大きな水路に驚かされる。
高見発電所の支水路水路橋と書かれていた。


★ 約4.5㎞の林道歩き・・・
肝心のシュンベツ川に架かる橋が崩壊して車も人も渡る事は出来ないが、高見発電所の
水路橋までは車も走行可能な林道だった。しかしその先はまったく整備されていない廃
道化した林道を歩く事になる。KGさんは、7月末にこの林道の偵察に来ていてその終
点まで片道3時間半をかけて歩いたらしい。その時、もの凄いダニの集団が体中にまと
い付き恐怖を感じたと言う。
いったいどんな林道なのかと覚悟しながらKGさんを先頭に付いて歩いた。
草の生えているところと無いところも含めて完全なる鹿道が出来ていた。
草と言っても足首程度で笹は少なかった。いったいダニの出て来るのはどの辺りなのか
KGさんは言わない。

入渓するまでの間、林道が大きく決壊していたのは4か所ありいずれも支沢が増水して
流されたものと分かる。ここは鹿の天国と思えるほど鹿道は縦横無尽に付けられ遠くか
ら威嚇の甲高い声が聞こえて来る。

さて、1時間ほど歩いた10:20。
地形図でも林道がもっとも沢に近づくところで大きく林道が崩壊しその姿はまったく分
からない程崩れているが、10mほど下りると沢の左岸に降りられた。偵察時にここが
ベストな入渓地点とピンテを付けていたKGさんに感謝しかない。
あれ?
ダニは、どこに?

「今日は日曜日だからきっと休みなんだよ・・」とKGさん。



入渓してすぐの上アブカサンベ沢川・・・


やはり水量は少なく歩き易かったが、両岸に迫る山肌は急斜面でV字形が多かった。


時に、流木の堆積する箇所にぶつかると通過に苦労されられた場面だ。


右岸は流木が凄かったので左岸を通るも深そうなので微妙な高巻きをした場面


里半沢出合手前のゴルジュ帯、流れは遅く通過も可能だったが高巻いた

★ 里半沢・・・
ゆっくりでも一歩ずつ前に進んでいれば、必ず目的の場所は近づきそしてゴールが見え
て来る。辛い山行になればなるほどいつもそう思いながら歩いている。
重荷を背負ってもスタート出来た事自体幸運であり、無理と思っていた日高大山の計画
が現実となって今決行している。ダニはどこ?と思いながら林道を歩き、気が付けば上
アブカサンベ沢川に降りているし、今里半沢の入口まで来ている現実が夢のようだった。

C380里半沢出合 13:15 (出発地点から約8.3㎞)
ここから目指すはC450~470付近のテン場となる河原である。早く重荷を降ろし
て楽になりたい・・と、また安易な発想が場壊しだ。

チョロチョロだべ・・・なんて思っていた里半沢。そうではなかった。
沢幅は狭くなり一部ゴーロ帯で巨岩もあり沢の上流部に来たと実感するところだった。
こんな沢のどこにテントが張れる場所があるんだろうと思う程両岸に迫る見上げる斜面
だけが目について不安になって来た。
遡行自体に難しいところは何もなく、淡々と歩いていると、ほんの僅かな河原と言える
場所を見つけ地形図でいうC460付近に来ていた。一旦、ここにザックを降ろしKG
さんが偵察に出掛けてくれたが、この先にテント適地と言える場所は見つけられなかっ
た。

戻って来てここをテン場としBCとなって整地、設営に入った。14:05だった。
ここまで9.2㎞歩き、約5時間15分の登行で無事一日目を終了した。



テン場となった里半沢C460右岸、テントを張って焚火が出来るのが嬉しい・・


清流で体を洗い、着替えてようやく安堵の安着で乾杯出来る幸福感


テン場全体のようす・・・

【2日目】
★ いよいよアタックへ・・・
昨日は、計画よりも早めにテント場を見付け、明るい内から外で安着と夕食が出来た。
気になる虫も少なく焚火が勢い良く煙を上げて狭い沢の空に吸い込まれていく。
思えば、ここにテン場あると知って来ていることが第二登の強みなのだが、初登の濱
ちゃんたちは、右岸ではなく左岸にテントを張ったと後で知った。
18:30 まだ少し明るいが、明日のアタックに備えて就寝となる。

3:30起床 快晴
5:50出発した。いよいよアタックであるが、期待よりも不安の方が大きかった。



渓相が変わって行く里半沢を遡行・・・


ここもまた流木が堆積する場所もあるが通過に問題は無かった・・


上アブカサンベ沢川では見られなかった大滝が支流沢に見え始める・・

★ 核心部・・・
7:00 C650三股
流域が短い里半沢であるだけに標高差は700mあるので沢の斜度はこれまでとは違う。
地形図とコンパス、高度計などを駆使しながら現在地を確認するGPSを使わない登行
をしている。大きな滝は無いと聞いていたが、彼らが通過する滝は滝ではなく段差であ
り滝の感覚ではなかったのでだろう。C650付近から徐々に小滝が連続し、核心部は
C720~C750付近で出合ったS字状のゴルジュ帯だ。想像していなかった滝があ
った。登りはなんとか直登出来たが、下りでは支点も無く高巻きルートを見付けて降り
る事にしていた。

C830二股は左へ進むが、右は一目で登れないと分かる50m級の大滝だった。
そして、C1000m付近に来た時足が止まった・・・。

ペロッとした一枚岩で20m以上ある大滝が現れる。直登は無理であり高巻くしかなか
った。計画でもこの辺りから南東尾根に取付く・・となっていたが、一枚岩の大滝は情
報になかったし、濱ちゃんたちがルート上に付けたと言うピンテはここには無かった。
そんな時もKGさんは冷静に分析する。

濱ちゃんたちのピンテが無いのは、彼らはこの滝を高巻き、更にその上の沢を使うつも
りだったのだろう。高巻きに使った小尾根が、結果として南東尾根になる事を後で知っ
たのと、大滝の先は笹で覆い尽くされた険悪な沢だったので、遡行から尾根歩きに変更
した・・・とすぐに読み取ったKGさんだ。

それを示したのが、小尾根を攀じ登ったC1050付近のポコに最初のピンテがあり、
その先にも順次付けられていた。正しく濱ちゃんたちが付けてくれたものに違いないだ
ろう。



核心部の始まり・・・


小滝群やゴルジュが現れ沢登りを実感する・・


意外とこういう場面が好きそうなチーヤンである・・


5mほどの滝だが、岩が滑りやすく難しかった


ゴルジュ帯の中で出合う支沢の滝・・・


厳しさのなかの僅かな癒し・・・ピンク色のガクアジサイ


通常の青色のガクアジサイだが、ピンク色と同じ茎から咲いていた


エゾトウウチソウ (蝦夷唐打草)


核心部は越えたが、更に急斜度の沢が続く・・・


一枚岩の大滝に出合う手前の小滝群である・・・


シャワークライムですっかり濡れてしまったチーヤンである

★ もう一つの核心部、南東尾根・・・
1000m付近の大滝を高巻き1050m付近(小尾根)のポコに着いたのは10:00
だった。この間タイムの記録を失念したが、C930で休憩したのは9:00だった。

高巻きの取付きは急斜度で草地なので非常に登り難かった。少し登ると笹も出て来て
踏ん張る事は出来たが、この急登な小尾根に取付くと言う選択肢は、私にとって考え
られなかったし夫婦二人ならここで「登行不能」という判断に迫られたかも知れない。
GPSは使っていなかったが、地形図とコンパスそして現地の地形を読み取る野性的
能力は、KGさんならではの経験と能力の判断でありここがもう一つの核心部だった
と個人的に思った場面だった。



C1150付近の尾根上と濱ちゃんたちが付けてくれたピンテ


尾根上から望む東側のコイカクシュサツナイ岳と読む?・・・


C1200付近の尾根上・・終始笹は低く鹿道があった


頂上手前の尾根下にあった「水溜まり(池)」には鹿の足跡が多数・・・

★ KGさんに感謝の初登頂・・・
2019.8.5 12:10 日高大山(1361m) 初登頂!
頂上尾根の肩になるC1300に着いたのは11:45だった。
ここから北東に進路を変え比較的平坦な尾根を辿る。尾根上には鹿道と濱ちゃんたちの
ピンテが残され迷う事は無かったが、さらに頻繁にピンテを付けながら頂上を目指した。
頂上手前の尾根西側に二ヶ所大きな水溜まりがあって驚かされる。暫く雨が降っていな
いので二つとも涸れた状態だったが、山頂部の水場は動物たちにとって憩いの場だった
のだろう・・。鹿の足跡が無数にあった事が物語っている。

肩から歩く事25分・・・
ついに一番高い場所が見えて来た・・・。三人とも初登頂なのでその手前で手を繋ぎ同
時にピークを踏んだ。笹原の頂上であるが、三角点はすぐに見つかり涙が出そうなくら
いの感動である。テン場から6時間20分の登頂だった。

三人で固い握手をして登頂を喜び、乾いた喉を潤した。
三角点の周りの笹を刈り取り、眺める景色に酔いしれた。
とは言っても見えるのは東側の景色と少し移動して北側の展望があったが、すぐに山座
同定は出来ず、同定アプリなどを使って見当をつけた。
まず東側は、最奥にカムエクからペテガリ付近まで見えていたと思うし、北側はイドン
ナップからナメワッカの稜線を望んだ。

見渡す限りの快晴で暑かったが、時より爽やかな風もあり虫が少なかったのは幸いであ
る。それにしても「良くぞこんな山奥に来れたものよ・・・」と自分たちに感心したし
よく頑張ったと褒めたかった。

二度と来ることもない山かも知れないが、この登頂はエバ夫婦の中ではもっとも印象の
強い登頂記になるだろう・・・。
この登頂は、正しくKGさんあってのもので同行してくれたことに感謝しかない。
本当にありがとうございました。



ついに登頂した「日高大山」背景は日高東側の主稜線・・・


右側の尖った山は、当初「1839峰」と同定したがその後違うかもと訂正する・・


頂上尾根を少し移動して見る事が出来た北側のイドンナップ岳とナメワッカ岳の稜線


二度と来ることは出来ないだろう・・KGさんに感謝の初登頂 「日高大山」での記念写真

★ 慎重な下山・・・
登ったら下るは、登山の鉄則。
二日間掛けて来た一座も僅か30分の滞在で下山を開始する。でも後ろ髪を引かれる事
のない満足な下山だった。感謝の一礼をして山頂を後にした。

頻繁に付けて来たピンテが思いの外役に立った。
低い笹原と灌木の混成する尾根上だったが、微妙な地形の変化に惑わされ一瞬方向を見
失う場面もあった。ピンテはホントに大事な登下行のアイテムである。

沢に降りるまで急斜度の小尾根取付き付近ではロープを使って降りる場面もあった。
時間を要しても安全に降りると言うのは、私たち夫婦もKGさんも同じなのは心強かっ
た。沢に降りて一様の安堵感もあったが、まだテント場まで気が抜けない。
S字ゴルジュは、高巻きルートから交わし、微妙な滝も高巻きルートを選択する。

次に心配だったのは、テントの状態・・・
熊の通り道のような場所に張ったテントだけにその姿を見るまでは、不安のままの下行
だった。無事のテントを確認した時は心の底からホッとして安堵した。

17:15 テント場着。

往復11時間以上の登行だったが、あの大山に登って来たなんてまだ実感がない。
ここに無事辿り着いたのに、それも夢のようでまだ目が覚めていない感じだった。
KGさんと私は流木を集める作業を何気に始め、チーヤンは奥で体を洗って着替えする。
焚火が復活し火が灯るとホッと我に戻るから不思議だった・・。

夕食を食べるより疲れが大きかったのか、残った行動食とつまみそして安着の一杯で充
分だった。今宵も焚火を囲みながら暗くなるまでテントの外で一日を振り返る・・・。

明日は、本当の下山だけなのだが、20:30頃三人とも就寝となった。



C1100付近の南東尾根から振り返る大山の南東斜面


無事、沢に降りて慎重に降りる二人・・・


何株も無かったが、やっぱり花には癒されるので一枚・・・ダイモンジソウ


ハイオトギリソウ

【3日目】
★ 晴れやかな気分で・・・
4:00 起床
KGさんが種火で再び火を熾す。
コーヒーを落とし、まったりとした朝の一杯に酔いしれる・・・
沢の朝がこんなに気持ちいいのは、厳しい山行を終えて充実感に慕っているからなの
だろう。でも徐々に各々の行動は慌ただしくなりやるべき仕事は下山の支度だった。

乾ききっていない冷たい服とズボンに着替え、サンダルから沢靴を履く。
お世話になったテントを撤収し、焚火に水をかけてテン場を後にしたのは6:15。

心持ちザックが軽いのか、上アブカサンベ沢川出合には30分で着いた。
ゴルジュ帯で泳ぐつもりで沢の中を通ったが、股下まで濡らしただけで通過してしま
った。二人は高巻きルートを利用したが早いのは私だった。

下りでも30分前後毎に休憩を取り、ザックを降ろす事にした。
そして、9:15 入渓地点のピンテに着き、林道歩きとなる。

笛を吹きながらもそれ以上にダニが気になり始める。しかし、結局最後までその姿を
見なかったが、チーヤンとKGさんは羽のあるダニが居たと言っていた。

林道の中は、日影が多く厳しい日差しが避けられて助けられた。
最後に、本流シュンベツ川を渡渉し、辛抱の長い林道の登り返しを30分歩いてP帯
に到着。

本当にお疲れ様でした。



上アブカサンベ沢川を下る・・・


途中の支沢から流れ落ちる滝が涼しくて一枚・・・




登り場面で見付けていた鹿の頭と角・・・


鹿の頭と角がそのままの状態で残るのは珍しいと言う・・・


写真だけ撮って置いていく事にしたが・・・KGさんのザックに付いていたのを後で知る。


これは、7月末に林道偵察をした際にKGさんが見つけた鹿の死骸。頭と角は持ち帰って来た。


終わって見れば、短くも長い山旅だった・・・本当にお疲れ様でした!

※ 8/13 ようやくアップを終了しました。

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