73歳、学(GAKU)さんとの挑戦・・・幌天狗 (1222m)~群別岳 (1376m)
■ 山 行 日 2013年4月21日(日)~22日(月) テント泊
■ ル ー ト 群別岳南西尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー 学さん、エバ
■ 登 山 形 態 スノーシュー登行
■ 地 形 図 1/25000地形図 「雄 冬」 「浜 益」
■ 三角点・点名 幌天狗・・三等三角点・点名無し
群別岳・・三等三角点・点名無し
■ コースタイム 1日目 登り 5時間20分 900m付近
2日目 登り 1時間10分 下り 40分
下り 2時間30分
<1日目登り>
登山口6:55--C550尾根上8:55--C900付近12:15 C1 テン場
<2日目登り>
テン場5:10---幌天狗6:20
<下り>
幌天狗6:40---テン場7:20~下山8:05---登山口10:35
GPSトラックログは他のHPからお借りしています。緑色の実線が今回のルートです。
★ 73歳バースディー・・・
ハンドルネーム、学(GAKU)さん・・・
神奈川県在住でHYML会員、2010年以降何度か山行を共にしつつ計画通りの山行は未だ出来ず。
すべて当日悪天に見舞われ中止となり、サブ山行や観光で時間を潰す結果に・・・
今回、群別岳への同行依頼を受け日程の調整を任されて4/19~22の3泊4日と決める。
計画書作成に際し、学さんの生年月日を伺うと計画の初日が誕生日だった・・。
73歳、バースディーの来道に際し心ばかりのお祝いと歓迎の意を宿の夕食でサプライズ。
学さん 誕生日おめでとう!! 山行の成功も祈願しましょう!!
★ 悪天・・・
初日の4/19は、千歳空港にて出迎えその足で登山口となる浜益へ向かう。
当初の計画は、登山口で車中泊またはテント泊だったが、学さんの意向で浜益の民宿を予約し
贅沢な上げ膳据え膳の一夜を過ごす。バースディーに託けて生ビールを4杯も飲むエバである。
2日目4/20(土)
この日の計画は、群別岳南西尾根、幌天狗手前の950m付近まで登る予定だった。
しかし、天気予報通り朝から風が非常に強く雨も降っていた。
少しの間様子を伺うも回復せず山行は中止し「停滞」と決める。
そしてまた学さんの意向で民宿連泊となった・・。
しかし、天候は次第に晴れ模様に変わり、急きょ偵察登山に行く事にする。
スキーは本番で使いたいのでシールを濡らさずに二人ともスノーシューで登った。
ほとんど空身のザック、明日はこうはいかないのが残念だ。
聞くと学さんはスノーシュー初体験だった。
しかし、文明の利器に足取りは軽い。すっかり青空が広がり「停滞」の決断を後悔するも
予報は決して良くなかった。
足慣らしの偵察は順調に高度を稼ぐ・・。しっかりと読図しながら林道を辿り例年以上の残雪は
登り易かった。C550付近、広い尾根上に出て偵察終了とする。
登り約1時間45分、下りは40分の偵察だった。
下山した登山口でHYMLのKonさんと出会う。
単独で浜益岳へ向かう予定も林道の残雪が多く浜益御殿への南西尾根上にある「大阪山533m」に
登って下山したという。帰路の途中で立寄った幌天狗登山口の偵察での出会いだった。
色々話をして浜益御殿の登山口でHYMLのパッポ隊長グループと会った話を聞いて私たちも
行って見た。見慣れた隊長の車にメッセージを残し増毛町へ温泉と昼食&観光・・・へ
その後、一時的も下界では雨嵐の悪天となる。・・隊長たちが少し心配だ。
★ 決行・・・
3日目4/21(日)
前日の夕食は山で食べる予定だった「ジンギスカン」を部屋で食べた。
北海道のジンギスカン、学さんは贅沢だぁ~・・と美味しそうに食べてくれた。
増毛町の国稀酒造で買った「新酒」はアルコール19度、鬼ごろしに似たピリッと辛く
ジンギスカンに何故が良く合うお酒だった。なのに学さんは飲めないタイプ・・・
一人盛り上がるエバである。
予備日を先に使ってしまった今日はもう後が無い。
幸い今日と明日は比較的天候が良い予報なので、出来るだけ早い出発で行ける所まで行く
計画とする。民宿の朝食を済ませ6:20に出発。
登山口には6:35に着く近さだ。現地天候は快晴・・昨日の停滞をまた少し悔やむ晴れだ。
6:55 出発。
足元はスノーシューとした。昨日の偵察で下りのスキーに不安を訴える学さんの意向を組んでの変更
だったが、新雪混じりの今回はスノーシューの方が歩きに安定感があるかも知れないと判断した。
昨日の空身とは違って今日は20㎏以上の荷を背負っての登行であるが、C550付近までは標識テー
プと自分たちのトレースがあるので気持ちには余裕があった。
いよいよ本番決行である。
果樹園前の道路脇に駐車する。林道入口は300mほど先だ。
出発してすぐの林道、学さん軽快に歩き始める・・・
★ 休憩・・・
空身とは違ってグッと肩に食い込む久しぶりの感触。
正直、73歳のお爺ちゃんには負けられない・・なんて、見栄を張る余裕はどこにも無い。
スローペースで30分に一回の休憩は最後まできっちりと取って体力の温存に努めた。
偵察終了点C550の尾根まで丁度2時間だった。
昨日は1時間45分だったので上々の登行と言えよう。
天気は恨めしいほどに良い、北には浜益御殿の尾根が見え始め登行意欲が一層増して来る。
突然私たちの前に現れた増毛山魂の住人 「エゾウサギ」冬から春へ毛変わりしたのか茶系も混じる
人前には滅多に現れない動物なので、きっと私たちを歓迎してくれたんだ・・と勝手に解釈する。
★ 少しでも絶景を・・・
C775付近 10:45~11:00 6回目の休憩を取る。
尾根から北の前方には、真っ白な「浜益岳」が鎮座し、まだ遠い幌天狗への南西尾根も見渡せた。
学さんが見たかった2つの頂きの一つ(幌天狗)を遠望し、「まだ遠い」と感じたか「もう少しだ」と
思ったかは聞かなかったが、今日という快晴に恵まれた山行では少しでも沢山の絶景を間近に見て
ほしいと思った。
C775付近の尾根から望む「浜益岳1258m」
C775付近から登行する南西尾根の向こうに目指す幌天狗も遠望する
幌天狗を背に記念の一枚・・・(C775付近)
C800付近にて右手(南東側)に黄金山を見ながら歩く
★ 重大な忘れ物・・・
ゴールが近づいてふと安着のことが頭を過ぎった瞬間だ・・・
「缶ビールを忘れた!!」ことに今更、気が付く。
あっ~!っと悲鳴を上げたくなるほど悔しかった。・・・でももう遅い。
苦労して登った末の冷たいビール・・咽喉越し、五臓六腑に染み渡る一杯・・すべて幻。
ただ、国稀酒造で買って来た酒の残りを密かにザックに入れていたので少しは救われたエバである。
私も一枚・・・
★ 初作業・・・
C900付近 12:15着 テン場と決める・・
スタートから5時間が過ぎてお互いに疲労感は隠せなかった。
もう少し登って幌天狗を眺めるポイントでテント・・も考えたが、天候が悪化した時を考慮して
1000m以下でのテン場に決める。
テン場を何度も踏み固め整地する。
雪のブロック塀を風上に作ってテントへの風防壁を作る。
トイレを作る。
水用の雪を確保する。
木の枝をテント用のペグに使用する。
テント設営には最低この位の作業があり、二人作業でも1時間以上掛かった。
ビールを飲みながら・・なら、もっと早いのに(諦めの悪いエバである)
さぁ、この作業 学さんにとっては初作業とのこと。
手順に戸惑いながらも雪面にスノーソーで切り込みを入れてブロック角を作ってくれた。
雪のブロックは程良く湿って重く少々の風には動じない立派なブロック壁になったが、
重くて持てないよ・・と、私の作業を見守っていた学さんだった。
ブロック壁の最後の仕上げは私に任せて・・・
テン場での設営が完成した今日の我が家です・・・。
★ 安着・・・
13:30 設営終了・・・
まだ13:30か、もう13:30かの選択肢。
それは、今日の内に幌天狗のピークを踏むか明日の群別岳まで待つか・・である。
明日も朝は晴れる・・の予報を信じ、今日の行動を終了とする。もったいない気もするが
正直、二人とも疲れもあったからこの判断は正しいことにしよう。
学さんはお茶で、私は少ない日本酒で安着の「乾杯」となり、今日の頑張りと明日の成功を
祈ってそのまま「宴」へと移行する。
ここまで頑張った自分に乾杯! 満足げな学さんの笑顔です。
久しぶりの重装備も心地良い疲れは最高です。ビールがあれば・・・
★ 交信・・・
浜益御殿に登っていたパッポ隊長からメールが届いた。
ここでも電波が通じる事を始めて認識する。携帯のアンテナは最大で3本立っていたので返信する。
妻チーヤンにもメールで報告、返信も届き安心する。
★ カレーライス・・・
本当はジンギスカンだったのにメニューが浮かばずカレーになった。
アルファー米とレトルトカレー、漬物にチーズとソーセージ、乾物も少々・・・・
日本酒も底を尽き短いディナータイムは終了する。
明日も早いので早々の就寝タイムへ・・・
18:00の就寝は山だけのお休みタイムだ。
★ 眠れぬ夜・・・
22時前後と記憶するがテントを叩く風と雪の音で目を覚ます。
風は突風のように強い時とす~とそよ風のような弱い風の繰り返し。
同時に雪と分かるテントを叩く音は、細かい雪と湿った大きな雪が入れ替わりに降った感じだった。
「明日は晴れる」予報を信じて今は寝るしかないが、眠れぬ夜を過ごした感も・・・・
「良く寝ていましたよ」と学さんの観察があった。(参ったなぁ)
★ 判断・・・
4日目4/22 (月)
起床2:30 寝起きのコーヒーを落としながらまったりタイムを楽しむ。
外の風は弱くなったが星は出ていなかった。
少し明るくなって学さんが外の様子を伺うと、下の景色は見えるが上空は曇っていると言う。
予定4:30出発に向け取りあえず朝食を済ませる。
判断は微妙だったが、出発時の天候は曇り。
見えていたテン場からの幌天狗は見えない。
空には厚い雲がどんよりと低い。
群別までは厳しい・・・・
「幌天狗まで」の判断で納得してもらう。
今回も計画通りに登れず本当に申し訳ない思いが強い。
しかし、天候には勝てず無理は絶対禁物だった。
アイゼンもピッケルもテン場にデポしてスノーシューで出発、幌天狗を目指した。
5:10 出発
テントを出発して背景に日本海も望む天気だが前方の群別は雲の中である
幌天狗を間近に確認・・・
1000m付近の急登もスノーシューの歯が利いて直登出来た。
春なのに厳冬の山を思わせるピリッとした光景が何度もあったなぁ~
もうすぐ念願の幌天狗頂上です。
学さん 初登頂・・幌天狗(西群別岳) (1222m)
幌天狗 6:20登頂
とにかく目的の一つは達成した。
主峰群別の姿は見せてくれなかったが、学さんは未体験ゾーンに足を踏み込み自ら重荷を背負って
踏んだ幌天狗の頂上である。核心部の尾根をまざまざと目視し、自分が歩く事を想像しながらも
きっと「行きたかった」と悔しい思いはあったと思う。
なのに「行こう!」と言えなかった自分の力なさが情けない。
幌天狗頂上1・・・浜益岳を背に
幌天狗頂上2・・・見えない群別を背に
雲の向こうは群別岳、南西尾根核心部の痩せ尾根を見る
撮影用に幌天狗から痩せ尾根に向かって歩く真似をしてもらった・・
下山開始 6:40
風も弱いし寒くは無いので雲が切れて群別岳の勇姿を拝むチャンスはあった。
僅か20分の滞在だったが、重く低く厚い雲の解消は望めないと判断して「降りよう・・」と促す。
学さんにすれば、正に後ろ髪を引かれる思いだったと想像するも時に山の判断は冷酷かも知れない。
テン場には40分で着いた。
幌天狗からテン場に戻って撮った記念写真
★ 急変・・・
下山開始 8:05
テントの撤収とパッキングを終えてトレースの無くなった方向へ下山しようとした正にその時である。
周りがすべてガスに覆われてしまいホワイトアウト状態となってしまった。
コンパスを登りとは逆の方向に定めて出発する。
広い尾根上なので方向が1度違うだけでどんどんとルートから離れて行く。
出発前にそんな話をしながらある程度はロスタイムも視野に入れた下山が始まった。
800m付近で迷ってしまった。
前方の地形が急な下りだったので方向を間違えたと勘違いし南に進路を取ろうとしていた。
すぐ後ろから学さんが声を掛けてくれて「そっちは戻る方向ですよ」と言われ我に戻る。
修正して元の位置から再び南西に進路を取ると程なく自分たちの付けて来たピンクの標識テープ
を発見し安堵する。
その後は、少し視界も良くなりトレースも僅かに見え出して順調に下る事が出来た。
「晴れてこそテープを・・」は、エバの山の師匠の教えだったが天候急変した時のテープの
存在は正に九死に一生を得る思いなのだと改めて実感した日だった。
助けられたテープはすべて回収し、降りて見れば2時間30分の下りだった。
登山口 10:37到着
学さん 本当にお疲れ様でした。
残念ながら目的達成には及びませんでしたが、お互いにいい経験が出来たなぁと実りある
山行だったと思います。無事降りてこそ次のある山登りと私は思います。
頼りないサポートでしたが懲りずにまた声を掛けてくれたら嬉しいです。
色々とありがとうございました。
※4/24 アップ終了です。
■ 山 行 日 2013年4月21日(日)~22日(月) テント泊
■ ル ー ト 群別岳南西尾根ルート 往復
■ メ ン バ ー 学さん、エバ
■ 登 山 形 態 スノーシュー登行
■ 地 形 図 1/25000地形図 「雄 冬」 「浜 益」
■ 三角点・点名 幌天狗・・三等三角点・点名無し
群別岳・・三等三角点・点名無し
■ コースタイム 1日目 登り 5時間20分 900m付近
2日目 登り 1時間10分 下り 40分
下り 2時間30分
<1日目登り>
登山口6:55--C550尾根上8:55--C900付近12:15 C1 テン場
<2日目登り>
テン場5:10---幌天狗6:20
<下り>
幌天狗6:40---テン場7:20~下山8:05---登山口10:35
GPSトラックログは他のHPからお借りしています。緑色の実線が今回のルートです。
★ 73歳バースディー・・・
ハンドルネーム、学(GAKU)さん・・・
神奈川県在住でHYML会員、2010年以降何度か山行を共にしつつ計画通りの山行は未だ出来ず。
すべて当日悪天に見舞われ中止となり、サブ山行や観光で時間を潰す結果に・・・
今回、群別岳への同行依頼を受け日程の調整を任されて4/19~22の3泊4日と決める。
計画書作成に際し、学さんの生年月日を伺うと計画の初日が誕生日だった・・。
73歳、バースディーの来道に際し心ばかりのお祝いと歓迎の意を宿の夕食でサプライズ。
学さん 誕生日おめでとう!! 山行の成功も祈願しましょう!!
★ 悪天・・・
初日の4/19は、千歳空港にて出迎えその足で登山口となる浜益へ向かう。
当初の計画は、登山口で車中泊またはテント泊だったが、学さんの意向で浜益の民宿を予約し
贅沢な上げ膳据え膳の一夜を過ごす。バースディーに託けて生ビールを4杯も飲むエバである。
2日目4/20(土)
この日の計画は、群別岳南西尾根、幌天狗手前の950m付近まで登る予定だった。
しかし、天気予報通り朝から風が非常に強く雨も降っていた。
少しの間様子を伺うも回復せず山行は中止し「停滞」と決める。
そしてまた学さんの意向で民宿連泊となった・・。
しかし、天候は次第に晴れ模様に変わり、急きょ偵察登山に行く事にする。
スキーは本番で使いたいのでシールを濡らさずに二人ともスノーシューで登った。
ほとんど空身のザック、明日はこうはいかないのが残念だ。
聞くと学さんはスノーシュー初体験だった。
しかし、文明の利器に足取りは軽い。すっかり青空が広がり「停滞」の決断を後悔するも
予報は決して良くなかった。
足慣らしの偵察は順調に高度を稼ぐ・・。しっかりと読図しながら林道を辿り例年以上の残雪は
登り易かった。C550付近、広い尾根上に出て偵察終了とする。
登り約1時間45分、下りは40分の偵察だった。
下山した登山口でHYMLのKonさんと出会う。
単独で浜益岳へ向かう予定も林道の残雪が多く浜益御殿への南西尾根上にある「大阪山533m」に
登って下山したという。帰路の途中で立寄った幌天狗登山口の偵察での出会いだった。
色々話をして浜益御殿の登山口でHYMLのパッポ隊長グループと会った話を聞いて私たちも
行って見た。見慣れた隊長の車にメッセージを残し増毛町へ温泉と昼食&観光・・・へ
その後、一時的も下界では雨嵐の悪天となる。・・隊長たちが少し心配だ。
★ 決行・・・
3日目4/21(日)
前日の夕食は山で食べる予定だった「ジンギスカン」を部屋で食べた。
北海道のジンギスカン、学さんは贅沢だぁ~・・と美味しそうに食べてくれた。
増毛町の国稀酒造で買った「新酒」はアルコール19度、鬼ごろしに似たピリッと辛く
ジンギスカンに何故が良く合うお酒だった。なのに学さんは飲めないタイプ・・・
一人盛り上がるエバである。
予備日を先に使ってしまった今日はもう後が無い。
幸い今日と明日は比較的天候が良い予報なので、出来るだけ早い出発で行ける所まで行く
計画とする。民宿の朝食を済ませ6:20に出発。
登山口には6:35に着く近さだ。現地天候は快晴・・昨日の停滞をまた少し悔やむ晴れだ。
6:55 出発。
足元はスノーシューとした。昨日の偵察で下りのスキーに不安を訴える学さんの意向を組んでの変更
だったが、新雪混じりの今回はスノーシューの方が歩きに安定感があるかも知れないと判断した。
昨日の空身とは違って今日は20㎏以上の荷を背負っての登行であるが、C550付近までは標識テー
プと自分たちのトレースがあるので気持ちには余裕があった。
いよいよ本番決行である。
果樹園前の道路脇に駐車する。林道入口は300mほど先だ。
出発してすぐの林道、学さん軽快に歩き始める・・・
★ 休憩・・・
空身とは違ってグッと肩に食い込む久しぶりの感触。
正直、73歳のお爺ちゃんには負けられない・・なんて、見栄を張る余裕はどこにも無い。
スローペースで30分に一回の休憩は最後まできっちりと取って体力の温存に努めた。
偵察終了点C550の尾根まで丁度2時間だった。
昨日は1時間45分だったので上々の登行と言えよう。
天気は恨めしいほどに良い、北には浜益御殿の尾根が見え始め登行意欲が一層増して来る。
突然私たちの前に現れた増毛山魂の住人 「エゾウサギ」冬から春へ毛変わりしたのか茶系も混じる
人前には滅多に現れない動物なので、きっと私たちを歓迎してくれたんだ・・と勝手に解釈する。
★ 少しでも絶景を・・・
C775付近 10:45~11:00 6回目の休憩を取る。
尾根から北の前方には、真っ白な「浜益岳」が鎮座し、まだ遠い幌天狗への南西尾根も見渡せた。
学さんが見たかった2つの頂きの一つ(幌天狗)を遠望し、「まだ遠い」と感じたか「もう少しだ」と
思ったかは聞かなかったが、今日という快晴に恵まれた山行では少しでも沢山の絶景を間近に見て
ほしいと思った。
C775付近の尾根から望む「浜益岳1258m」
C775付近から登行する南西尾根の向こうに目指す幌天狗も遠望する
幌天狗を背に記念の一枚・・・(C775付近)
C800付近にて右手(南東側)に黄金山を見ながら歩く
★ 重大な忘れ物・・・
ゴールが近づいてふと安着のことが頭を過ぎった瞬間だ・・・
「缶ビールを忘れた!!」ことに今更、気が付く。
あっ~!っと悲鳴を上げたくなるほど悔しかった。・・・でももう遅い。
苦労して登った末の冷たいビール・・咽喉越し、五臓六腑に染み渡る一杯・・すべて幻。
ただ、国稀酒造で買って来た酒の残りを密かにザックに入れていたので少しは救われたエバである。
私も一枚・・・
★ 初作業・・・
C900付近 12:15着 テン場と決める・・
スタートから5時間が過ぎてお互いに疲労感は隠せなかった。
もう少し登って幌天狗を眺めるポイントでテント・・も考えたが、天候が悪化した時を考慮して
1000m以下でのテン場に決める。
テン場を何度も踏み固め整地する。
雪のブロック塀を風上に作ってテントへの風防壁を作る。
トイレを作る。
水用の雪を確保する。
木の枝をテント用のペグに使用する。
テント設営には最低この位の作業があり、二人作業でも1時間以上掛かった。
ビールを飲みながら・・なら、もっと早いのに(諦めの悪いエバである)
さぁ、この作業 学さんにとっては初作業とのこと。
手順に戸惑いながらも雪面にスノーソーで切り込みを入れてブロック角を作ってくれた。
雪のブロックは程良く湿って重く少々の風には動じない立派なブロック壁になったが、
重くて持てないよ・・と、私の作業を見守っていた学さんだった。
ブロック壁の最後の仕上げは私に任せて・・・
テン場での設営が完成した今日の我が家です・・・。
★ 安着・・・
13:30 設営終了・・・
まだ13:30か、もう13:30かの選択肢。
それは、今日の内に幌天狗のピークを踏むか明日の群別岳まで待つか・・である。
明日も朝は晴れる・・の予報を信じ、今日の行動を終了とする。もったいない気もするが
正直、二人とも疲れもあったからこの判断は正しいことにしよう。
学さんはお茶で、私は少ない日本酒で安着の「乾杯」となり、今日の頑張りと明日の成功を
祈ってそのまま「宴」へと移行する。
ここまで頑張った自分に乾杯! 満足げな学さんの笑顔です。
久しぶりの重装備も心地良い疲れは最高です。ビールがあれば・・・
★ 交信・・・
浜益御殿に登っていたパッポ隊長からメールが届いた。
ここでも電波が通じる事を始めて認識する。携帯のアンテナは最大で3本立っていたので返信する。
妻チーヤンにもメールで報告、返信も届き安心する。
★ カレーライス・・・
本当はジンギスカンだったのにメニューが浮かばずカレーになった。
アルファー米とレトルトカレー、漬物にチーズとソーセージ、乾物も少々・・・・
日本酒も底を尽き短いディナータイムは終了する。
明日も早いので早々の就寝タイムへ・・・
18:00の就寝は山だけのお休みタイムだ。
★ 眠れぬ夜・・・
22時前後と記憶するがテントを叩く風と雪の音で目を覚ます。
風は突風のように強い時とす~とそよ風のような弱い風の繰り返し。
同時に雪と分かるテントを叩く音は、細かい雪と湿った大きな雪が入れ替わりに降った感じだった。
「明日は晴れる」予報を信じて今は寝るしかないが、眠れぬ夜を過ごした感も・・・・
「良く寝ていましたよ」と学さんの観察があった。(参ったなぁ)
★ 判断・・・
4日目4/22 (月)
起床2:30 寝起きのコーヒーを落としながらまったりタイムを楽しむ。
外の風は弱くなったが星は出ていなかった。
少し明るくなって学さんが外の様子を伺うと、下の景色は見えるが上空は曇っていると言う。
予定4:30出発に向け取りあえず朝食を済ませる。
判断は微妙だったが、出発時の天候は曇り。
見えていたテン場からの幌天狗は見えない。
空には厚い雲がどんよりと低い。
群別までは厳しい・・・・
「幌天狗まで」の判断で納得してもらう。
今回も計画通りに登れず本当に申し訳ない思いが強い。
しかし、天候には勝てず無理は絶対禁物だった。
アイゼンもピッケルもテン場にデポしてスノーシューで出発、幌天狗を目指した。
5:10 出発
テントを出発して背景に日本海も望む天気だが前方の群別は雲の中である
幌天狗を間近に確認・・・
1000m付近の急登もスノーシューの歯が利いて直登出来た。
春なのに厳冬の山を思わせるピリッとした光景が何度もあったなぁ~
もうすぐ念願の幌天狗頂上です。
学さん 初登頂・・幌天狗(西群別岳) (1222m)
幌天狗 6:20登頂
とにかく目的の一つは達成した。
主峰群別の姿は見せてくれなかったが、学さんは未体験ゾーンに足を踏み込み自ら重荷を背負って
踏んだ幌天狗の頂上である。核心部の尾根をまざまざと目視し、自分が歩く事を想像しながらも
きっと「行きたかった」と悔しい思いはあったと思う。
なのに「行こう!」と言えなかった自分の力なさが情けない。
幌天狗頂上1・・・浜益岳を背に
幌天狗頂上2・・・見えない群別を背に
雲の向こうは群別岳、南西尾根核心部の痩せ尾根を見る
撮影用に幌天狗から痩せ尾根に向かって歩く真似をしてもらった・・
下山開始 6:40
風も弱いし寒くは無いので雲が切れて群別岳の勇姿を拝むチャンスはあった。
僅か20分の滞在だったが、重く低く厚い雲の解消は望めないと判断して「降りよう・・」と促す。
学さんにすれば、正に後ろ髪を引かれる思いだったと想像するも時に山の判断は冷酷かも知れない。
テン場には40分で着いた。
幌天狗からテン場に戻って撮った記念写真
★ 急変・・・
下山開始 8:05
テントの撤収とパッキングを終えてトレースの無くなった方向へ下山しようとした正にその時である。
周りがすべてガスに覆われてしまいホワイトアウト状態となってしまった。
コンパスを登りとは逆の方向に定めて出発する。
広い尾根上なので方向が1度違うだけでどんどんとルートから離れて行く。
出発前にそんな話をしながらある程度はロスタイムも視野に入れた下山が始まった。
800m付近で迷ってしまった。
前方の地形が急な下りだったので方向を間違えたと勘違いし南に進路を取ろうとしていた。
すぐ後ろから学さんが声を掛けてくれて「そっちは戻る方向ですよ」と言われ我に戻る。
修正して元の位置から再び南西に進路を取ると程なく自分たちの付けて来たピンクの標識テープ
を発見し安堵する。
その後は、少し視界も良くなりトレースも僅かに見え出して順調に下る事が出来た。
「晴れてこそテープを・・」は、エバの山の師匠の教えだったが天候急変した時のテープの
存在は正に九死に一生を得る思いなのだと改めて実感した日だった。
助けられたテープはすべて回収し、降りて見れば2時間30分の下りだった。
登山口 10:37到着
学さん 本当にお疲れ様でした。
残念ながら目的達成には及びませんでしたが、お互いにいい経験が出来たなぁと実りある
山行だったと思います。無事降りてこそ次のある山登りと私は思います。
頼りないサポートでしたが懲りずにまた声を掛けてくれたら嬉しいです。
色々とありがとうございました。
※4/24 アップ終了です。
このところ何度か山行が続きましたが、やはり
天候は不安定で山行中止もありました。
出掛ける時の注意点として辿るルートに危険はないか
を見極めることです。誰でも雪崩は怖いですからね。
痩せ尾根に出来た「雪庇」は注意していても気が付か
ずに足を踏み抜いた経験もあります。
雪山は最高に楽しい・・ですが、危険も一杯!!
今後も注意して山を楽しみたいと思います。
いつも応援ありがとう。。。
GWは仕事のエバでした・・
ニュースを見ると エバちゃんのこと思い出します。
くれぐれも 気をつけて 楽しんで下さいね~
下界から 心配していま~す。
今までに経験した事の無い雪山での重装備登行で
本当に大変だったと思います。
得るものも沢山あったと思いますが、雪山での無理は
事故に繋がりかねないので「群別岳断念」はお許し
下さい。
この紀行が「宝」と言って頂けて、非常に光栄です。
まずは疲れをしっかり取って次の山を目指して下さい。
また会いましょう・・
GPSを持たない者にとって、テープはそれに匹敵します。
見つけたときは、助かった……と思いましたよ。
エキサイティングだった日々をまざまざと蘇らせてくれる
このアルバムは私の宝です。
本当にありがとうございました。
再会を楽しみにしています。