想定外のゲート施錠、結果的に・・・アポイ岳 (810.6m)
■ 山 行 日 2014年11月19日(水)~20日(木) 1泊2日
■ コ ー ス 冬島旧道コース
■ メ ン バ ー 夫婦登山№28
■ 登 山 形 態 登山道 (スパイク長靴、ピンスパイクシューズ)
■ 地 形 図 1/25000地形図 「アポイ岳」
■ 三角点・点名 一等三角点・点名「冬島フユシマ」
■ コースタイム 登り 2時間10分 下り 1時間30分
<登り>
登山口 8:00
5合目休憩所 9:00
頂上 10:10
<下り>
下山開始 10:30
5合目休憩室 11:10
登山口 12:00
★ 悔しい誤算・・・
今回の計画は、南日高の超マイナーな1000m超峰「二観別岳」と「本二観別岳」の循環縦走をして
初登頂する事を目的にしていた。そのために利用する林道の入林に関する手続きや林道状況などを
確認するため林道を管理しているえりも町役場の「産業振興課」に確認し、万全と思って臨んだ
夫婦登山だったのに・・・。
役場の担当者は、林道に入林するための届けや許可は必要ありません。
林道にはゲートもありません。ただ狩猟の時期なのでハンターには注意して下さい。
という事だった。
前日の19日は、昼から自宅を出発し、登山口となるニカンベツ林道の入口を確認してえりも町まで
走る。えりも町唯一の温泉「田中旅館」のトロン温泉で温まり、再びニカンベツ林道へ戻り計画して
いた林道の359二股まで走りそこにある土場を宿泊地と考えていた。
359二股まで国道から少なくても13㎞以上ある。
陽が落ちて暗くなった国道からニカンベツ林道に入りると道路脇に1㎞、1.5㎞と親切に標識が
付けられていた。慎重に車を走らせながら宿泊する土場を目指していたが国道から約6.5㎞走った
所で突然ゲートが現れた。
そこは、ポンニカンベツ川とニカンベツ川の分岐二股手前でカーナビでも確認出来た。。
産業振興課の話では、ゲートはありません・・という2日前の話だったのに「落石の恐れがあるので・・」
と言う理由で鎖が張られ施錠されていた。すぐ傍には入林ポストもあった。
一瞬頭が真っ白になる。暫くの間張られた鎖に車のヘッドライトを当てたままボーっとしていた。
地形図を確認するとやはり359二股までは、まだ6キロ以上ある。
仮に明日ここから歩くにしても林道だけで2時間は掛かる計算だ。
循環縦走には少なくても6時間を要すると計算していたのでプラス4時間以上となり10時間を超える
山行になる事は必至だった。
想定していなかった悔し過ぎる誤算だった。
林道を管理する町役場の担当に事前に確認した上で入林していたので、正直、怒り心頭である。
次の策を考えつつも車はUターンしていた。
ここまで来て、こんな形で撤退か?・・・と思うと悔しかった。
しかし、ここで悔やんでも仕方ないのは承知していた。でもすぐに切り替えることは出来ない。
このまま帰宅する事も案として出たが、1キロほど戻った林道脇に車を止めた。
取り敢えずここで泊まろう・・・と。
チーヤンが納得したかどうかは分からないが、サブ山行として「天狗岳」か「袴腰山」の選択肢もあり
まして明日は「快晴」の予報だからこのまま帰るのは悔し過ぎた。
即、安着の儀に入り冷たいビールを「ごくっと・・・」と飲み干せばホテルハイエースの位置が確定する。
★ 二観別岳と本二観別岳への思い・・・
南日高の超マイナーな名も無き山、地形図には山名が載っていない山だが実は三角点も点名もある
山だった。本来、私たちが目標にしている1000m超峰とは、地形図に山名の載っている山が基本に
カウントしている。
この山を知ったのは、3年前の2011年10月。
HYML(北海道の山メーリングリスト)のネット上で繋がった藪山仲間の山行に、お誘いを受けて始めて
参加したのがキッカケだった。「二観別岳」と「本二観別岳」とは、いったいどこにある山なのかも知らず
参加表明する。山行日が近づき具体的な計画を知らされて南日高の奥深きマイナーな山と分かる。
しかし、予定日は完全な雨予報日。ひとり、二人と参加者が減り最終的には10名程度の藪キチが集
まって晩秋の雨のキャンプを楽しんだ。翌日の二観別岳山行は呆気なく中止、サブ山行で「天狗岳」を
目指すもやはりガスに覆われて途中で敗退となる。以後ずっと気になっていた山でいつか登りたいと
チャンスを伺っていた。ただ、他のメンバーの一部は翌2012年10月にリベンジしていてご一緒出来
なかったのが残念だった。
そんなマイナーな山のエピソードもカウントした山に私だけ登頂しただけでは目標に届かず、いつか
再び妻を連れて再来し共に登頂してはじめて意味を持つ。この時期、登る山の選択に苦慮しながら
以前の記録を読み返し雪の少ない未踏の藪山1000m超峰に辿り着いた。
そんな思い出の挑戦だったのに・・・
予定していた二観別岳の登行ルート図・・・
★ テンション・・・
安着の儀はまだ18時前だったと記憶する。
すっかり闇夜になった静かな山道からふと見上げると鮮やかに輝く満天の星に感動する。
明日は絶対、二峰を登れる・・・と確信し臨んだ山行だっただけに、とうせんぼのゲートで
すっかりテンションは下がったままだった。
それとは別にハイエースの宴会場は夫婦の会話も疎らながら冷たいビールの咽喉越しは良い。
外はどんどんと冷え込み、明日の快晴を約束したような星空が嫌味にも思えて来た。
車中では、起床したら即帰宅・・・でほぼ決まっていたが、ここまで来たからせめて天狗岳だけでも
という気持ちも捨てきれないまま20:00にはシュラフに潜り込んだ二人だった。
【11月20日(木) 快晴】
目覚まし時計は、セットしていた5時に鳴動する。
しかし、二人とも起きようとはしなかった。
それは、帰宅するともどこかに登るとも決めかねたままの就寝で、更に非常に寒い朝だった・・・。
シュラフに入った首から下は暖かいが顔は冷たく、目をつぶってもすぐに目が覚めてしまう。
チーヤンがトイレで起きたのが6時。
外は薄明るくなって、空には快晴の予感が漂っていた。
20時~翌朝6時まで・・・家でもこれだけの睡眠はしばらく無かった。充分過ぎる休養である。
起床後の行動・・・取りあえずコーヒーを落とす。
駐車していた場所は、国道から5キロ地点だった。陽が登り朝日が差し始めると周辺の山がくっくりと
姿を見せていた。ふと振り向くと突き出た頂上部だけを見せていたのが「天狗岳666m」だ。
もしあそこを目指すとしたら、ゲートから約3キロの林道歩きがある。登り2時間、下り1時間と
予想するも・・・「よし行くぞ!」というテンションにはならなかった。
二人の雰囲気は帰宅モードである。
★ オジロワシとの出会い・・・
写真はネット上から引用したものです。
もう7時は過ぎていたかも知れない。
ニカンベツ林道を国道に向かって走っていると突然大きな翼を広げた鳥が立木から飛び立った。
それは天然記念物に指定されている「オジロワシ」とすぐに分かった。
この山域に生息しているとは聞いていたが実際に見たのは初めてで二人とも感動して見入っていた。
もう一羽雌のオジロワシも居たのでツガイだったかも知れない。
二観別岳には、ナキウサギも生息していると聞いていたがこの山域は、しっかりと自然が守られた
希少生物たちにとっての安住の地に適しているのかも知れない。
目的の山に登れなくなったが、少し気が晴れてテンションが上がって来た気がする。
★ 失礼! なんとなくアポイ岳・・・
すっかり日が昇った快晴の朝に帰宅モードのエバ夫婦が国道を走っている。
走りながらそんな自分の姿が情けなかった・・・。
「せめてどこかの山に登って帰ろうよ」そう思っていたのは私だけでは無かったようだ。
すぐに「じゃ、アポイ岳だね」と車中での決定は早い。
思えば二人とも、アポイ岳にはしばらく登っていなかった。
調べて見ると2003年10月、ピンネシリ~吉田岳~アポイ岳の縦走で登ったのが
この山の初登山だった。下山したのは幌満ダムの方だと記憶がありアポイ岳の登山口は
まったく記憶がない景色だった。
登山口駐車場にはまだ誰も居なかった。
早々準備して8:00に出発する。
二人の足元はスパイク長靴とチーヤンは新品のピンスパイクシューズだ。
整備された登山道と案内標識、地形図が無くても安心の登行であるが、歩く登山道は
まったく始めての道で新鮮だった。登山道脇のあちこちにドーム型の青い網が設置してあり
「エゾシカの食害調査」と記していた。夕張岳と同様この山域も鹿の食害による高山植物への
影響が強く希少植物などを守るための対策が行われていると分かる。
5合目にある休憩所までは、比較的緩斜面の登山道で歩き易くアカエゾマツの樹林帯と
何度か渡渉のある小沢に癒される気持ちの良い山道だった。また、「熊除けの鐘」にちょっと
ビックリしながらもその音は強烈で山中に響き渡った。これは良いアイデアと感心する。
5合目まで丁度1時間だった。
一気に視界が広がり本峰を始めて望む事が出来る。
立派なレンガ造りの休憩所は冬支度で窓には板が張られ中は真っ暗だったが使用は可能。
少し休んでいると下から賑やかな話し声が聞こえてきた。
私たちの他にも登って来る人が居るんだ・・・と、この山の人気度が分かる。
ここから景色と斜度が一変し馬の背まで岩が露出した急な尾根を登る。
所々に残雪がありスパイクが小気味良く利いて登り易かった。どんどん高度を上げる感じで
振り返ると5合目の小屋も小さくなって下界の街や太平洋の海原を望みなんとも気持ちが良い。
後続のパーティーは若者らしく5合目でキャーキャーと楽しそうな声を出していた。
馬の背に着くと急に風が強くなる。特に北側の斜面から吹き上げて来る風は冷たい。
しかし、本峰までの稜線やアポイ岳~ピンネシリまでの稜線は見事な景観で低いながらも日高の
険しさを感じることが出来て嬉しい。
頂上までの稜線上には所々残雪があり凍っている。
しかし、スパイク長靴は正にこのための履物のようで快適な登行だった。
休むと寒風が身に堪えるので休憩無しで頂上を目指すも時々振り返る景色に、
今日は登って来て良かった・・・と、素直に思った。
登って見れば2時間足らずも・・・
「じゃ~アポイ岳にするか!」と言ってしまったことを後悔し山にお詫びを込めて懺悔する。
11年振り2回目のアポイ岳登頂。快晴の頂上から北、南と山座同定しながらつい二観別岳も
探してしまう。チーヤンは「悔しいから見ない」と言って北の展望だけを楽しんでいた・・・。
15分ほどの滞在で下山開始。
丁度その頃後続のパーティーと頂上で擦れ違う。男女4人組でツアー登山なのかも知れない。
一番後ろの若い男性だけがしっかりとした山の格好でガイド風、他の若者は着ているものも歩き方も
発する言葉もビギナーとしか思えなかった。びっしょり汗を掻いて必死に登って来た・・と見てすぐに
分かった。「ここが頂上ですかぁ~」と体力の限界と言わんばかりに登って来たのかも知れない。
登りより下りが心配になったが、そこはガイド風のお兄さんに任せて私たちは淡々と降りる事にした。
下りは、ほとんど休憩無しで降りる。
途中で登って来る単独の登山者2組と出合う。今日は、私たちを含めて4組のパーティーだった。
本当に天気が良く、下山しても尚「アポイ岳」では無く「二寒別岳」に登れなかった悔しさが湧いて来た。
今更文句を言っても仕方無い、来年のリベンジを誓い一路家路に・・・ではなく、様似名物「タコまんま」
と浦河井寒台の「揚げかまぼこ」そしてこの日解禁になったボージョレーヌーボーを買って帰宅した。
駐車場から登山口へ向かう時に渡った立派な橋は、ポンサヌシベツ川のアポイ橋 (下山時に撮影)
アポイ岳登山口
5合目から望むアポイ岳
5合目の休憩小屋から急登が始まる・・・下の屋根が休憩小屋
7合目付近から眺める様似町と太平洋
ここを少し登ると稜線の上「馬の背」に着く。
7合目から馬の背に向かう登山道・・・眼下の景色が素晴らしい
7.5合目馬の背展望台からアポイ岳を望む
馬の背は寒風が厳しかった・・・
8合目
11年振りの再来、二人とも2度目の登頂となる
5合目に設置してあった「熊除けの鐘」、登山道に何箇所か設置していた。
アカエゾマツの樹林帯にある登山道は原始を感じる癒やしの空間だ
★ 自分たちにお土産・・・
11月20日に解禁になったボージョレーヌーボ
■ 山 行 日 2014年11月19日(水)~20日(木) 1泊2日
■ コ ー ス 冬島旧道コース
■ メ ン バ ー 夫婦登山№28
■ 登 山 形 態 登山道 (スパイク長靴、ピンスパイクシューズ)
■ 地 形 図 1/25000地形図 「アポイ岳」
■ 三角点・点名 一等三角点・点名「冬島フユシマ」
■ コースタイム 登り 2時間10分 下り 1時間30分
<登り>
登山口 8:00
5合目休憩所 9:00
頂上 10:10
<下り>
下山開始 10:30
5合目休憩室 11:10
登山口 12:00
★ 悔しい誤算・・・
今回の計画は、南日高の超マイナーな1000m超峰「二観別岳」と「本二観別岳」の循環縦走をして
初登頂する事を目的にしていた。そのために利用する林道の入林に関する手続きや林道状況などを
確認するため林道を管理しているえりも町役場の「産業振興課」に確認し、万全と思って臨んだ
夫婦登山だったのに・・・。
役場の担当者は、林道に入林するための届けや許可は必要ありません。
林道にはゲートもありません。ただ狩猟の時期なのでハンターには注意して下さい。
という事だった。
前日の19日は、昼から自宅を出発し、登山口となるニカンベツ林道の入口を確認してえりも町まで
走る。えりも町唯一の温泉「田中旅館」のトロン温泉で温まり、再びニカンベツ林道へ戻り計画して
いた林道の359二股まで走りそこにある土場を宿泊地と考えていた。
359二股まで国道から少なくても13㎞以上ある。
陽が落ちて暗くなった国道からニカンベツ林道に入りると道路脇に1㎞、1.5㎞と親切に標識が
付けられていた。慎重に車を走らせながら宿泊する土場を目指していたが国道から約6.5㎞走った
所で突然ゲートが現れた。
そこは、ポンニカンベツ川とニカンベツ川の分岐二股手前でカーナビでも確認出来た。。
産業振興課の話では、ゲートはありません・・という2日前の話だったのに「落石の恐れがあるので・・」
と言う理由で鎖が張られ施錠されていた。すぐ傍には入林ポストもあった。
一瞬頭が真っ白になる。暫くの間張られた鎖に車のヘッドライトを当てたままボーっとしていた。
地形図を確認するとやはり359二股までは、まだ6キロ以上ある。
仮に明日ここから歩くにしても林道だけで2時間は掛かる計算だ。
循環縦走には少なくても6時間を要すると計算していたのでプラス4時間以上となり10時間を超える
山行になる事は必至だった。
想定していなかった悔し過ぎる誤算だった。
林道を管理する町役場の担当に事前に確認した上で入林していたので、正直、怒り心頭である。
次の策を考えつつも車はUターンしていた。
ここまで来て、こんな形で撤退か?・・・と思うと悔しかった。
しかし、ここで悔やんでも仕方ないのは承知していた。でもすぐに切り替えることは出来ない。
このまま帰宅する事も案として出たが、1キロほど戻った林道脇に車を止めた。
取り敢えずここで泊まろう・・・と。
チーヤンが納得したかどうかは分からないが、サブ山行として「天狗岳」か「袴腰山」の選択肢もあり
まして明日は「快晴」の予報だからこのまま帰るのは悔し過ぎた。
即、安着の儀に入り冷たいビールを「ごくっと・・・」と飲み干せばホテルハイエースの位置が確定する。
★ 二観別岳と本二観別岳への思い・・・
南日高の超マイナーな名も無き山、地形図には山名が載っていない山だが実は三角点も点名もある
山だった。本来、私たちが目標にしている1000m超峰とは、地形図に山名の載っている山が基本に
カウントしている。
この山を知ったのは、3年前の2011年10月。
HYML(北海道の山メーリングリスト)のネット上で繋がった藪山仲間の山行に、お誘いを受けて始めて
参加したのがキッカケだった。「二観別岳」と「本二観別岳」とは、いったいどこにある山なのかも知らず
参加表明する。山行日が近づき具体的な計画を知らされて南日高の奥深きマイナーな山と分かる。
しかし、予定日は完全な雨予報日。ひとり、二人と参加者が減り最終的には10名程度の藪キチが集
まって晩秋の雨のキャンプを楽しんだ。翌日の二観別岳山行は呆気なく中止、サブ山行で「天狗岳」を
目指すもやはりガスに覆われて途中で敗退となる。以後ずっと気になっていた山でいつか登りたいと
チャンスを伺っていた。ただ、他のメンバーの一部は翌2012年10月にリベンジしていてご一緒出来
なかったのが残念だった。
そんなマイナーな山のエピソードもカウントした山に私だけ登頂しただけでは目標に届かず、いつか
再び妻を連れて再来し共に登頂してはじめて意味を持つ。この時期、登る山の選択に苦慮しながら
以前の記録を読み返し雪の少ない未踏の藪山1000m超峰に辿り着いた。
そんな思い出の挑戦だったのに・・・
予定していた二観別岳の登行ルート図・・・
★ テンション・・・
安着の儀はまだ18時前だったと記憶する。
すっかり闇夜になった静かな山道からふと見上げると鮮やかに輝く満天の星に感動する。
明日は絶対、二峰を登れる・・・と確信し臨んだ山行だっただけに、とうせんぼのゲートで
すっかりテンションは下がったままだった。
それとは別にハイエースの宴会場は夫婦の会話も疎らながら冷たいビールの咽喉越しは良い。
外はどんどんと冷え込み、明日の快晴を約束したような星空が嫌味にも思えて来た。
車中では、起床したら即帰宅・・・でほぼ決まっていたが、ここまで来たからせめて天狗岳だけでも
という気持ちも捨てきれないまま20:00にはシュラフに潜り込んだ二人だった。
【11月20日(木) 快晴】
目覚まし時計は、セットしていた5時に鳴動する。
しかし、二人とも起きようとはしなかった。
それは、帰宅するともどこかに登るとも決めかねたままの就寝で、更に非常に寒い朝だった・・・。
シュラフに入った首から下は暖かいが顔は冷たく、目をつぶってもすぐに目が覚めてしまう。
チーヤンがトイレで起きたのが6時。
外は薄明るくなって、空には快晴の予感が漂っていた。
20時~翌朝6時まで・・・家でもこれだけの睡眠はしばらく無かった。充分過ぎる休養である。
起床後の行動・・・取りあえずコーヒーを落とす。
駐車していた場所は、国道から5キロ地点だった。陽が登り朝日が差し始めると周辺の山がくっくりと
姿を見せていた。ふと振り向くと突き出た頂上部だけを見せていたのが「天狗岳666m」だ。
もしあそこを目指すとしたら、ゲートから約3キロの林道歩きがある。登り2時間、下り1時間と
予想するも・・・「よし行くぞ!」というテンションにはならなかった。
二人の雰囲気は帰宅モードである。
★ オジロワシとの出会い・・・
写真はネット上から引用したものです。
もう7時は過ぎていたかも知れない。
ニカンベツ林道を国道に向かって走っていると突然大きな翼を広げた鳥が立木から飛び立った。
それは天然記念物に指定されている「オジロワシ」とすぐに分かった。
この山域に生息しているとは聞いていたが実際に見たのは初めてで二人とも感動して見入っていた。
もう一羽雌のオジロワシも居たのでツガイだったかも知れない。
二観別岳には、ナキウサギも生息していると聞いていたがこの山域は、しっかりと自然が守られた
希少生物たちにとっての安住の地に適しているのかも知れない。
目的の山に登れなくなったが、少し気が晴れてテンションが上がって来た気がする。
★ 失礼! なんとなくアポイ岳・・・
すっかり日が昇った快晴の朝に帰宅モードのエバ夫婦が国道を走っている。
走りながらそんな自分の姿が情けなかった・・・。
「せめてどこかの山に登って帰ろうよ」そう思っていたのは私だけでは無かったようだ。
すぐに「じゃ、アポイ岳だね」と車中での決定は早い。
思えば二人とも、アポイ岳にはしばらく登っていなかった。
調べて見ると2003年10月、ピンネシリ~吉田岳~アポイ岳の縦走で登ったのが
この山の初登山だった。下山したのは幌満ダムの方だと記憶がありアポイ岳の登山口は
まったく記憶がない景色だった。
登山口駐車場にはまだ誰も居なかった。
早々準備して8:00に出発する。
二人の足元はスパイク長靴とチーヤンは新品のピンスパイクシューズだ。
整備された登山道と案内標識、地形図が無くても安心の登行であるが、歩く登山道は
まったく始めての道で新鮮だった。登山道脇のあちこちにドーム型の青い網が設置してあり
「エゾシカの食害調査」と記していた。夕張岳と同様この山域も鹿の食害による高山植物への
影響が強く希少植物などを守るための対策が行われていると分かる。
5合目にある休憩所までは、比較的緩斜面の登山道で歩き易くアカエゾマツの樹林帯と
何度か渡渉のある小沢に癒される気持ちの良い山道だった。また、「熊除けの鐘」にちょっと
ビックリしながらもその音は強烈で山中に響き渡った。これは良いアイデアと感心する。
5合目まで丁度1時間だった。
一気に視界が広がり本峰を始めて望む事が出来る。
立派なレンガ造りの休憩所は冬支度で窓には板が張られ中は真っ暗だったが使用は可能。
少し休んでいると下から賑やかな話し声が聞こえてきた。
私たちの他にも登って来る人が居るんだ・・・と、この山の人気度が分かる。
ここから景色と斜度が一変し馬の背まで岩が露出した急な尾根を登る。
所々に残雪がありスパイクが小気味良く利いて登り易かった。どんどん高度を上げる感じで
振り返ると5合目の小屋も小さくなって下界の街や太平洋の海原を望みなんとも気持ちが良い。
後続のパーティーは若者らしく5合目でキャーキャーと楽しそうな声を出していた。
馬の背に着くと急に風が強くなる。特に北側の斜面から吹き上げて来る風は冷たい。
しかし、本峰までの稜線やアポイ岳~ピンネシリまでの稜線は見事な景観で低いながらも日高の
険しさを感じることが出来て嬉しい。
頂上までの稜線上には所々残雪があり凍っている。
しかし、スパイク長靴は正にこのための履物のようで快適な登行だった。
休むと寒風が身に堪えるので休憩無しで頂上を目指すも時々振り返る景色に、
今日は登って来て良かった・・・と、素直に思った。
登って見れば2時間足らずも・・・
「じゃ~アポイ岳にするか!」と言ってしまったことを後悔し山にお詫びを込めて懺悔する。
11年振り2回目のアポイ岳登頂。快晴の頂上から北、南と山座同定しながらつい二観別岳も
探してしまう。チーヤンは「悔しいから見ない」と言って北の展望だけを楽しんでいた・・・。
15分ほどの滞在で下山開始。
丁度その頃後続のパーティーと頂上で擦れ違う。男女4人組でツアー登山なのかも知れない。
一番後ろの若い男性だけがしっかりとした山の格好でガイド風、他の若者は着ているものも歩き方も
発する言葉もビギナーとしか思えなかった。びっしょり汗を掻いて必死に登って来た・・と見てすぐに
分かった。「ここが頂上ですかぁ~」と体力の限界と言わんばかりに登って来たのかも知れない。
登りより下りが心配になったが、そこはガイド風のお兄さんに任せて私たちは淡々と降りる事にした。
下りは、ほとんど休憩無しで降りる。
途中で登って来る単独の登山者2組と出合う。今日は、私たちを含めて4組のパーティーだった。
本当に天気が良く、下山しても尚「アポイ岳」では無く「二寒別岳」に登れなかった悔しさが湧いて来た。
今更文句を言っても仕方無い、来年のリベンジを誓い一路家路に・・・ではなく、様似名物「タコまんま」
と浦河井寒台の「揚げかまぼこ」そしてこの日解禁になったボージョレーヌーボーを買って帰宅した。
駐車場から登山口へ向かう時に渡った立派な橋は、ポンサヌシベツ川のアポイ橋 (下山時に撮影)
アポイ岳登山口
5合目から望むアポイ岳
5合目の休憩小屋から急登が始まる・・・下の屋根が休憩小屋
7合目付近から眺める様似町と太平洋
ここを少し登ると稜線の上「馬の背」に着く。
7合目から馬の背に向かう登山道・・・眼下の景色が素晴らしい
7.5合目馬の背展望台からアポイ岳を望む
馬の背は寒風が厳しかった・・・
8合目
11年振りの再来、二人とも2度目の登頂となる
5合目に設置してあった「熊除けの鐘」、登山道に何箇所か設置していた。
アカエゾマツの樹林帯にある登山道は原始を感じる癒やしの空間だ
★ 自分たちにお土産・・・
11月20日に解禁になったボージョレーヌーボ