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2014年5月19日(月)08:03
(産経新聞)
■ボーナス期以降のタイミング模索
国内外に広がる豚流行性下痢(PED)が食卓を直撃しそうな勢いだ。ハム・食肉大手は原材料価格の高騰を理由に7月からハムやソーセージなどの値上げに踏み切る方針を表明。スーパーなどの小売りは6月のボーナス支給時期以降の値上げも視野に、慎重に検討している。ただ、4月の消費税増税で値上げしたばかりのため、「消費者心理を考えれば、当面は価格を据え置くしかない」(外食関係者)といった声も少なくない。
「自社努力だけで吸収するのは困難」。大阪市内で会見した日本ハムの竹添昇社長は、米国で流行しているPEDの影響で原材料価格が高騰している状況などを説明し、ハムやソーセージの値上げに理解を求めた。計284品目の加工食品を対象に7月から平均約10%の値上げに踏み切る。
業界最大手の動きに足並みをそろえるように、伊藤ハムも7月に平均約10%値上げへ。丸大食品やプリマハムでも値上げする方向で検討を進めている。
PEDの影響で昨年以降、豚肉の最大の輸入先である米国で豚肉価格が上昇。日本国内でも品薄感から、市場卸価格が前年に比べ2割前後上昇している。店頭価格へのはね返りが懸念されるが、「大手スーパーなどはPED流行前に割安価格で問屋から仕入れる契約を結んでいるため、まだ目立った値上げはない」と市場関係者は分析している。
ただ、6月には多くの企業でボーナスが支給され、しかも増額される公算が大きい。百貨店の担当者は「消費税増税の負担感が和らぐ雰囲気が出てくれば、値上げに踏み切る店舗も出てくるのではないか」とみている。
大手とんかつチェーンの担当者は「消費税増税直後の値上げは、お客にそっぽを向かれてしまう」と慎重な姿勢。しかし、利益を削りながら仕入れコストの上昇分を吸収し続けるのも厳しいといい、「次の値上げは消費税が10%になるタイミングかもしれない」と苦しい胸中を明かす。
PEDによる国産豚の出荷減少は6月ごろから本格化する見通しで、日本食肉流通センターの担当者は「夏場はバーベキューなど焼き肉用の需要が高まる。秋頃までは高値が続くのではないか」との見方を示している。