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● 中国初の空母 米軍事専門家は“無用の長物”との辛辣な評価
2012年9月30日(日)7時0分配信 NEWSポストセブン
中国初の空母「遼寧」が10月1日の国慶節(建国記念日)前の9月25日、正式に就役した。遼寧省大連港の同艦船上で行なわれた記念式典には、中国人民解放軍トップを兼ねる胡錦濤国家主席が出席するほどの力の入れようで、中国で高まっている反日気運から尖閣諸島への派遣説も飛び出している。しかしその能力について、米国の軍事専門家からは「遼寧は無用の長物」「格好の標的」などと辛辣な評価が下されている。
米国防大学のバーナード・コール教授によると、空母の艦載機の「殲(J)-15」は米軍の艦載機と比べて、飛行距離や搭載武器、センサーなどの機能が決定的に劣っている。さらに、米軍のE2のようなレーダー機や電子戦機EA-6Bのような敵レーダー妨害機能が搭載されていない。
また、航空母艦群を形成する駆逐艦や巡洋艦、さらに空母を支える輸送船や給油船が不足しているほか、空母に先行する護衛の攻撃型原子力潜水艦が少なく、空母とのコミュニケーション能力が乏しい――といった致命的な弱点があるというのだ。
米カーネギー国際平和財団の中国専門家であるダグラス・パール副所長は空母・遼寧の艦載機「J-15」を支える空中給油と電子戦能力で致命的な弱点があると指摘する。パール副所長によると、遠洋での空母の活動を確保するためには空母に搭載する指揮管制機、空中給油機、電子戦争機を開発、製造、配備しなければならないが、いまのところ、これらの軍用機が配備されたとの情報はない。
さらに、これまでも指摘されてきたのが、遼寧のエンジンの問題だ。遼寧の改良前のウクライナ製「ワリヤーグ」は中国に引き渡された時点で、エンジンは積載されていなかった。本来ならば、蒸気タービンエンジン2基を積載し、29ノット(時速約53.7キロメートル)の最高速度が出せたはずだったのだが、エンジン自体がなかったのだ。しかも、中国は蒸気タービンエンジンや、さらに進んだガスタービンエンジンを製造する技術がなく、仕方なく遼寧に船舶用ディーゼルエンジンを積んだという。
船舶用エンジンは馬力が劣るために、その最高速度は19ノット(35.2キロメートル)しか出せないのだ。米空母は30ノット(時速55.6キロメートル)以上のスピードを出せるため、それで向かい風を作り、艦載機が発進するための揚力を与えることができる。これができない遼寧の場合、艦載機J-15が発進できない可能性も否定できない。このため、これまでの遼寧の訓練でも、J-15が艦上から発進したことはなく、着陸訓練も行なっていない。
いまのところ、遼寧は致命的な弱点をもっており、「いざ実戦」となっても、米軍の「絶好のカモ」にならざるをえないのは明白だ。
“強み”をあえて探すとすれば、排水量6万7000トン、全長305メートルという巨大さだろうが、そのような空母が他国の周辺海域に姿を現せば、必ずや周辺国の強い警戒感を引き起こし、当該国に軍備増強の口実を与え、外交問題にさえなるであろう。中国は好戦的だという印象を強め、「中国脅威論」が喧伝されることになる。
米国防総省スポークスマンは中国が遼寧の配備を発表したことについて「特に驚くべきことではない」とコメントしたが、その発言の裏には米軍の強い自信が隠されていることを中国は知るべきかもしれない。
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● 中国初の空母は時代遅れの産物、日本は心配無用=ロシア専門家
2012年9月29日(土)16時4分配信 サーチナ
中国初の空母「遼寧」が25日、中国海軍に引き渡され、就役した。ロシアの専門家は「中国初の空母は中国の海軍力をさらに強固なものにするだろう」と述べる一方、「遼寧」は時代遅れの産物であり、日本は心配無用だと論じた。中国メディアの環球時報(電子版)が報じた。
中国が旧ソ連製の空母「ワリヤーグ」を購入する際、その使用目的について「海上カジノとして使用するため」と説明していた。しかし、購入後に中国は「ワリヤーグ」に対して大規模な改修工事を実施し、練習艦として2011年8月より試験航海を開始した。
空母「ワリヤーグ」を「遼寧」と命名し、就役させた中国国防部は「海軍の作戦能力を増強させ、国家主権の維持、世界平和の促進に役立つ」と宣言している。
ロシアの戦略分析技術センターの専門家は「空母就役と尖閣諸島(中国名:釣魚島)の問題は関係ない」と指摘、「この先何年かは航海作戦には参加できないだろうし、そもそも同空母は技術開発のための試験と訓練のために用いられる」と主張した。
また、未完成のまま中国へ引き渡された「ワリヤーグ」は設計が完璧ではなく、同型艦も就役後に欠陥があることが明らかとなっている。「ワリヤーグ」を基礎に作られた「遼寧」には近代化の問題があり、専門家は「中国初の空母は時代遅れであり、日本はしばらく心配する必要はないだろう」と主張した。