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ミドリムシ原料の軽油開発急ピッチ ユーグレナ・いすゞが共同研究

2014-07-22 16:42:11 | 資源
ミドリムシ原料の軽油開発急ピッチ ユーグレナ・いすゞが共同研究
http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20140720002.html へのリンク
2014年7月21日(月)08:21
フジサンケイビジネスアイ

 東大発バイオベンチャーのユーグレナが、いすゞ自動車と、自動車向け次世代バイオディーゼル燃料の実用化を目指し、共同研究に乗り出した。藻の一種で、自ら動きながら光合成を行う単細胞生物のミドリムシを原料に新たな燃料を開発する。現状のバイオディーゼル燃料は全体の5%までしか軽油に混ぜられないが、それを100%に高め、石油の使用をゼロにするという野心的目標を掲げる。軽油は膨大な量が使われているだけに、実用化に成功すれば環境負荷を減らすだけでなく、ユーグレナの収益を拡大する上でも多大なインパクトをもたらしそうだ。

 このバイオディーゼルを使用したシャトルバスの運行を1日から、神奈川県藤沢市のいすゞ藤沢工場と最寄りの湘南台駅間で始めた。ミドリムシを想起させる緑色の車体には「DeuSEL(デューゼル)」のロゴが描かれている。ユーグレナといすゞが今回の研究開始に当たって商標登録した燃料の名称だ。

 共同研究では、このバスを実際に動かしながら含有率100%のバイオディーゼル燃料を開発する。主にユーグレナが燃料の研究開発と製造、いすゞが実証走行を担当し、2018年にも実用化のめどをつけたい考えだ。バイオディーゼルは、トウモロコシやサトウキビの油脂から作る植物由来の燃料で、軽油の代替となる。

 バイオディーゼルといえども消費する際には二酸化炭素(CO2)を発生し、環境に負荷がかかる。だが、光合成を行う植物は生育段階でCO2を吸収するため、その分だけ軽油より環境負荷が少ない。このため太陽光や風力などと同様、再生エネルギーの一つとみなされ、地球温暖化防止の切り札として世界的に需要が高まっている。とはいえ、いいことずくめではない。トウモロコシなどは食用としての需要もあるため、価格の高騰や乱高下のリスクがつきまとう。

 そこで有望視されているのがミドリムシだ。ミドリムシを使った燃料は、品質的に大豆やトウモロコシと何ら変わらない。しかも専用設備を使って培養するため、単位面積当たりの生産量ではるかに上回り、広大な耕作地を必要としない。国土の狭い日本でも安定生産できる「夢の資源」といえる。

 もっとも現状のバイオディーゼルは、含有率を5%以上に高めようとすると、粘度が増したり、スラッジ(カス)が発生したりしてエンジンなどを傷めかねない。一方で、含有率が低い分、環境負荷を減らせる余地は大きい。

 実用化を目指す燃料は、「水素化処理」と呼ばれる技術を用いて精製する方向だ。この技術は、原料に触媒を加えた後、水素と反応させることで有害な硫黄分を取り除くもので、石油精製で採用されているものと同じだ。この技術を用いれば、分子構造が軽油と全く変わらず、軽油規格にも適合する燃料が作れるという。

 バイオディーゼルは、コストが高いという欠点もあるが、同社では「技術を確立した時点で消費者に選んでもらえる(軽油と差のない)価格にしたい」と意気込む。

 ユーグレナは2005年に設立され、その年にミドリムシの屋外大量培養に世界で初めて成功した。12年には東証マザーズへの上場を果たした。13年9月期の売上高は約21億円で、約1億7000万円の営業利益を確保しており、「期待先行型」が少なくないバイオベンチャーにあって業績は堅実だ。

 とはいえ、目下の収益はミドリムシが豊富な栄養素を含むことを生かした食品の販売がほぼすべてを占める。残りは3月にスタートさせた化粧品事業だ。さらなる成長を遂げ、経営を安定させるには、燃料への採用が不可欠だ。軽油は日本国内だけで年間約4000万キロリットルと膨大な量が消費されている。これが一部置き換わるだけで、食品や化粧品とは桁違いの収益が見込める。

 同社はほかにも、航空機向けバイオジェット燃料をJX日鉱日石エネルギーなどと開発中で18年の技術確立、20年の事業化を目指している。ユーグレナの出雲充社長は今回の共同研究について「(自動車向けでもいすゞという)強力なパートナーが得られた」と喜び、早期の実用化に意欲を示す。(井田通人)


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