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トンネル内崩落 死亡の中川さん、埋もれたトラックから電話メッセージ。点検基準バラバラ…統一基準なし

2012-12-06 11:16:22 | ウエーブニュース
トンネル内崩落 死亡の中川さん、埋もれたトラックから電話メッセージ
  2012年12月5日(水)21:45  
   (産経新聞)

   山梨県の中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故で、死亡した中川達也さん(50)が事故直後、天井板に埋もれたトラックの中から職場の上司に携帯電話で電話をかけ、最後の力を振り絞り両親へのメッセージを残していたことが5日、わかった。

 中川さんが勤務していた食品卸会社「海老正」(東京都新宿区)によると、中川さんは事故に巻き込まれた直後、直属の上司である甲府営業所長の携帯電話に数回電話をかけ、2日午前8時18分と39分の2回、伝言を残していた。

 「おやじに伝えて、さよなら」。けたたましく鳴り続けるクラクションの音で、大半は聞こえなかったが、唯一、はっきりと聞こえたのが、父親へのメッセージだったという。

 その後、中川さんが目的地に時間通りに着いていないことを知った所長は、他の職員とともに何度も中川さんの携帯電話に連絡。正午過ぎに1度だけ本人が出たため、「今どこ?状況は?」と問いかけると、中川さんは「所長助けて」と声を絞り出したという。

 中川さんは最後に母親へのメッセージを残し、「さよなら」と言って電話が切れたという。

 中川達也さんから事故直後に電話を受けた「海老正」甲府営業所長が、勤務先に経緯を報告するために作成した報告書の内容は以下の通り。原文のまま。は、非公表の部分。

 中央自動車道 笹子トンネル崩落事故

 12月2日(日)

 朝9時頃テレビのニュースで笹子トンネルの崩落事故を確認。

 社員の中川が、都留インター付近のゴルフ場に向かっていました。

 私の携帯電話を確認したところ、電池が切れており、あわてて充電をして電源を入れたところ、8時18分、39分に留守番メッセージ有り。

 内容はクラクションの音が鳴り続けており、なにを話しているか解読できず。

 分かった内容は「親父に伝えて、さよなら」だけでした。

 10時前に次長より電話があり、中川がゴルフ場にまだついていないとのこと。

 それから何度も中川の携帯に連絡を入れ続けました。

 12時過ぎ頃、1度だけ本人が電話に出ました。

 私が「中さん今どこ?状況は?」と聞きましたが、弱々しい声で、「所長助けて。○○○…」

トンネル内崩落 点検基準バラバラ…統一基準なし
  2012年12月5日(水)23:38
   (産経新聞)

 山梨県の中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故で、トンネルの点検項目について高速道路各社の間に統一基準はなく、基準の策定は各社に“丸投げ”の形になっていたことが5日、国土交通省などへの取材で分かった。笹子トンネルだけ長期間にわたりボルトの打音検査が実施されていないなど、安全にかかわる点検基準に格差が生じており、専門家は「検査態勢への意識が足りない」と問題視している。

 「天井板の固定状況や劣化による車道への落下の危険性の有無を確認する」

 旧日本道路公団時代に策定された点検マニュアル「保全点検要領」は、天井板の点検についてこう定めていた。「天井板の損傷はつり金具などの腐食・破損が最も心配される」と、今回のような崩落事故の発生を危惧する記述もあった。

 この点検マニュアルは、日本道路協会がまとめた「道路トンネル維持管理便覧」に基づき策定された。平成17年10月の旧日本道路公団の分割民営化後も改訂を重ね、中日本高速道路など各社で使用されてきた。

 マニュアルでは以前から天井板の落下が指摘されていたが、笹子トンネルでは天井板からトンネル最上部まで高さが約5メートルあるため、ボルトなどをハンマーでたたいて確認する「打音検査」は、緊急点検が行われた平成12年を最後に実施されなかった。

 一方、中日本高速以外の東日本、西日本、首都、阪神の高速道路各社は、足場を使いトンネル最上部の打音検査を実施。打音検査で「劣化はだいたい分かる」(東日本高速)といい、中日本と他の4社で対応が分かれた形となった。

 ■バラバラの点検基準

 なぜ、中日本高速は他社と同様の打音検査を実施していなかったのか。

 「民営化後は、経営方針も違う全くの別会社。安全対策の手法も各社の色が出ており異なる」と高速道路会社の関係者が明かす。旧道路公団分割民営化後、点検内容などに差が生じたという。

 点検頻度も、微妙に異なっている。阪神高速は23年、予算上の制約などから、打音検査などを実施する「全般点検」の頻度を5年に1回から8年に1回に改めた。打音検査の対象につり金具のボルトを含めていない社があるなど、対応もさまざまだ。

 マニュアルで打音検査を定めていなかった中日本高速は「記載がない以上、打音検査をするかどうかは現地任せだった」と話す。

 道路整備特別措置法によって、高速道路トンネルの点検、維持管理は高速道路各社に任されているが、国土交通省の担当者は「点検基準がここまでバラバラだったとは…」と驚く。

 危機管理に詳しい日大法学部の福田充教授(43)は「会社によってチェック態勢にばらつきが生じているのはおかしい」と話す。福田教授は「高度経済成長期に建設された全国の道路設備でも同様の劣化が進んでいる可能性がある」と指摘。点検基準の見直しが急務との認識を示している。


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