● カモシカ生息域拡大、金沢・茶屋街にも出没 gooニュース
2012年9月25日(火)08:23
(読売新聞)
国の特別天然記念物・ニホンカモシカが東日本を中心に増えている。
かつては「幻の動物」とまで呼ばれたが、石川県では生息範囲が半世紀前の5倍に広がり、金沢市の観光名所の茶屋街に姿を現すことも。専門家は「絶滅の危機に直面した大型動物が、わずか半世紀の間に個体数を増やしてきたことは、世界でも珍しい」と話している。
ニホンカモシカはウシ科の日本固有種で体長1メートル前後。本州や四国、九州の山岳地帯などに生息する。1925年に捕獲禁止となったが、山村住民にとって、肉はたんぱく源、毛皮や角は貴重な現金収入源だったため、50年代頃まで密猟が行われ、生息地は険しい山岳地帯に狭められたという。
その後、55年に特別天然記念物に指定、59年に密猟の全国一斉取り締まりが実施されるなどの保護活動もあり、生息範囲を広げ、個体数も増えた。
環境省によると、全国のニホンカモシカの生息範囲は、45~55年の調査時に比べて、2003年は2倍近くに拡大。北陸や中部、東北地方で拡大傾向が顕著だという。
長年調査をしてきた石川県立自然史資料館の水野昭憲館長(66)によると、同県内の生息範囲は、55年には白山周辺の約300平方キロ・メートルだったが、05年には約1500平方キロ・メートルに拡大。最近は市街地近くの里山でも確認されるようになり、今年5月には、金沢市の観光地「ひがし茶屋街」の駐車場でニホンカモシカが捕獲される騒ぎがあった。