http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20140106095.html
2014年1月6日(月)15:45
(産経新聞)
生活保護の不正受給者に費用を返還させる手続きをめぐり、大阪府八尾市が現行制度では認められない保護費からの天引き徴収を行っていたことが発覚した。年々増加する不正受給は制度不信を招く最大の問題だが、回収は思うように進んでおらず、どの自治体も八尾市のような強引な手法に走りかねない現状がある。
厚生労働省によると、全国の不正受給額は単年度で約173億円(平成23年度)だったのに対し、返還金は約45億円にとどまっている。
毎月の保護費から千円単位でやりくりするケースが目立ち、完済までに数十年を要するような返済プランも珍しくない。
受給者数が全国最多の大阪市でも、不正受給者の約8割が月々の保護費を返還原資にしているという。市関係者は「『手元に金がない』と返還を拒まれれば打つ手がない」と回収率を上げる難しさを打ち明けた。
そもそも不正に受け取った保護費が税金なら、返済に回す保護費も税金だ。いわゆる身銭を切る感覚とは違っており、「不正受給にペナルティーなし」と批判が根強い。自治体に厳しい対応が求められているのは間違いない。
ただ、無理な徴収で受給者の暮らしが苦しくなれば「最低限度の生活保障」という制度の趣旨を損なうことになる。あくまで保護費を全額支給したうえで、受給者から自発的に返還してもらう形が大原則だ。
今年7月に施行される改正生活保護法では、自治体が月々の保護費から返還金を天引きできるよう制度が改正されたが、これも受給者本人の事前申告が前提となっている。
生活保護問題に詳しい関西国際大の道中隆教授(社会保障論)の話「財政の厳しい自治体は返還金の徴収に躍起になりがち。ただ職員が勝手に押印するなど言語道断。生活保護行政への信頼を損ねることにしかならない」
生活保護費から天引き徴収 不正受給64人 大阪・八尾市、領収書偽装http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20140106094.html
2014年1月6日(月)15:45
(産経新聞)
生活保護の不正受給者に費用を返還させる手続きをめぐり、大阪府八尾市が受給者の月々の保護費から返還額分をあらかじめ差し引く「天引き徴収」を行っていたことが6日、分かった。現行制度では認められていない行為で、市は自主的に返還を受けたように領収書を偽装。職員が受給者から預かった印鑑を勝手に押印していた。こうした不適切な事務手続きは10年以上続けられ、昨年12月時点で64人分の印鑑を市が管理していた。
市は「受給者の手間を省くための行政サービスだった」と説明しているが、職員が領収書に押印する行為は公文書偽造に当たる可能性もあり、大阪府は市に是正を指導した。
生活保護法は不正受給が明らかになった場合、自治体が不正分の費用を徴収できると規定。返還金は市の口座に入金してもらうか、窓口に直接現金を持参してもらう方法で回収する。
受給者がいったん保護費を全額受け取ってから自主返納する決まりで、強制徴収は認められない。
ところが八尾市では10年以上前から、市職員が一部の不正受給者の手続きを代行。まず話し合いで月々の返還額を決めたうえで職員が受給者の印鑑を預かり、職員が受給者に代わって領収書に押印▽返還額分を市の口座に入金▽残額を保護費として支給-という事実上の天引きを行っていた。市は受給者印の管理について「口頭で同意を得た」としているが、同意書は交わしていなかった。
市は「体が不自由だったり、仕事が多忙だったりする不正受給者の事情を考慮して実施していた」と納付の代行であることを強調し、違法な天引き徴収には当たらないとしている。一方、監督する府は「不適切な手続きで、印鑑を預かることも他の不正を誘発しかねない」と改善を求めた。