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次世代自動車 「自動運転」と「燃料電池車」を核に急速進化

2014-01-17 16:24:47 | 経済

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/industry/snk20140117511.html
2014年1月17日(金)08:57
産経新聞

 消費者が自動車に期待している事柄は大きく2つだろう。1つは足元でにわかに話題となっている「自動運転」に対する動きである。もう一つは、ハイブリッド車(HV)などから進化する自動車の「環境性能」である。

 自動運転はここ1~2年の進化が目覚ましかった。異業種から参入している米グーグルの開発に自動車メーカー各社が危機感を抱いていることが背景だろう。環境性能では、2015年に市販車の発売が計画されている燃料電池車(FCV)の拡大への布石が進むとみている。

 自動車メーカー各社は、高度道路交通システム(ITS)に長年取り組む中で、自動運転を目標の一つとして取り上げてきた。

 過去の東京モーターショーなどで、1人乗り用の自動車開発において自動運転を意識するなど、徐々にではあるが取り組みは進んできた感があった。

開発にアクセル

 しかし、自動運転に対するここ1~2年の動きは目をみはるものがある。大手の自動車メーカー数社は、20年までには実用化を目指すとして、開発のスケジュールを前倒ししてきた。さらに、CEATEC JAPAN 2013やITS世界会議2013東京、東京モーターショー2013などで、国内の自動車メーカー数社が自動運転車のデモンストレーションを実施し、開発力をアピールしてきた。

 こうした行動の背景にあるのは、異業種からの参入に伴う危機感だろう。実は、自動車の自動運転に世界で最も熱心な会社は、米グーグルなのだ。

 ネット企業であるグーグルが「なぜ?」と思われる読者も多いかもしれない。しかし、グーグルはスマートフォン(高機能携帯談話)向けに基本ソフト(OS)「アンドロイド」を無償で供給しているし、眼鏡型のウエアラブル端末である「グーグルグラス」を世に出している。タブレット型パソコンである「Nexus」(ネクサス)を巷で目にするケースも多い。

 グーグル自身が、自らのサービスの使用頻度を高めるために、さまざまなハードウエアやOSなどのソフトウエアに手を出していることを読者の方も実は知っているはずなのだ。

 ただ、グーグルのものと知らずに利用している、というだけだろう。

 そんなグーグルが自動運転の開発に本腰を入れる狙いは、他のハードウエアなどと同様に、自社のサービスであるグーグルマップなどと連動させることで、自社サイトのサービス使用頻度を上げて主に広告収入を増やすことであろう。既に10年には自動運転車を開発し、米カリフォルニア州などでの公道実験に乗り出している。

 自動車メーカーとしては、自動運転そのものの付加価値もさることながら、将来の「飯の種」となりうるアプリケーションなどに伴うサービス収入を、他の会社に奪われるわけにはいかない。このため、おのずと開発競争が激化していると考えられる。

 自動運転のためには、従来の安全技術をさらに進化させることが必要だ。直近で進化した技術は衝突回避や自動停止を特徴とする運転支援システムである(富士重工業の「アイサイト」、ダイハツの「スマートアシスト」などが著名)。これに無線などを使って、自車と他車や障害物などとの間隔をリアルタイムで計測する機能が付けば、自動運転実現への可能性が高まる。自動車メーカー各社は、まずは比較的障害物が少ない高速道路における自動運転の実現を目指している。技術的なハードルは幾つも出てくるかも知れないが、自動運転の実用化、付随する衛星通信や人工知能などを加えると、10兆円規模の新市場が生まれるとの観測もある。

 既に東海4県3市が共同で、自動運転の実証などに向けて、国家戦略特区への提案を行っており、動向が注目される。

性能、HVと同等以上

 14年は、自動車の環境性能面でも動きが見られる年となりそうだ。今でこそトヨタ自動車の「プリウス」「アクア」を筆頭としたHVが販売を優位に進めている状況だが、想定されるのはFCV拡大への動きだ。

 FCVは水素を燃料とし、走行時に温暖化ガスを一切排出しない。また、FCVは1回の燃料補給にかかる時間が従来のガソリン車並みに短く、満タン時の航続距離も従来車と同等以上と長い。HVに比べて環境性能では圧倒する電気自動車(EV)の使い勝手の悪さ(充電に時間がかかる、航続距離が短い)がFCVでは解消されている。15年にはトヨタやホンダから500万円前後で市販車の販売が計画されているほか、国内外の大手自動車メーカー間で連携の激しい分野でもある。

 もっとも、FCVにも独自の問題(車両価格や水素ステーションの建設コストが高いなど)が存在している。アベノミクスの成長戦略の中で、FCV向け水素ステーションなどに関連するインフラの支援が出ており、今後の政策次第では、FCVの普及スピードが変わってくることも考えられよう。

高度道路交通システム(ITS=Intelligent Transport Systems) 人と道路と自動車の間で情報のやり取りを行い、事故や渋滞など交通のさまざまな問題を解決するシステム。日本では、国土交通省をはじめ、各自動車メーカーなどが研究開発を続けている。

細井 秀司氏(ほそい・しゅうじ) 大和証券投資戦略部情報課。横浜市立大商卒。1991年大和総研入社。主に企業調査に属し、出向を経て、2011年4月から大和証券投資情報部(現・投資戦略部)。45歳。神奈川県出身。


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