SHOOTING SPORTS

試合のレポート、練習での指導内容など、思ったことを書いています!

近畿ライフル射撃選手権(大橋杯) P60出場

2016-05-23 19:30:29 | 試合

久しぶりに自分の射撃について、ノート代わりに書きたいと思う。

今年の国体予選は、一次予選で上位者のキャンセルという棚ボタでの2次予選出場が確定し、2次予選対象試合となる大橋杯に、急遽参加することになった。

P60種目はいつも朝一の射群が多いのですが、3姿勢競技が先にあり、私は3射群目、14時からの本射開始だった。

役員弁当を目一杯食べてしまい、お腹一杯にしてしまったことを後悔しつつ、13時半の射座入りをした。

左が京都のWさん、右が奈良のHさんという、学連の大先輩に囲まれるシチュエーションではあったが、緊張するような場面でもなく、リラックスして試射に入った。

一次予選後の実射練習は1回だけ。その時に久しぶりにスリーブを装着してサイトを合わせ、2次予選にはそれで臨むことを決めていた。

5月にしては若干暑く、光も強くてまぶしかったが、フィルターはグレーを使用して、クリアではなかったが、黒点の輪郭は確認できる状態であった。

構えた感じのファーストインプレッションは、なかなか良かった。前回の練習から、スリングの若干の張りの弱さによる右肩への圧力が弱いように感じたが、詰める状態ではないと判断し、このまま続けることとした。

良い感じで試射を撃つ間に、見え方の違和感を感じ、バイザーをしていないことに気づいたので、立ち上がって、後ろに取りに行った。次回は忘れないようにしなければならない。

バイザーをかぶり、銃を構えなおすも、目隠し板に使用している透明の緑のプラ板の影響からか、標的まで緑に見える状態となった。試射時間も短く、特にフロントサイトと黒点はきちんと認識できていたので、このまま続けることとした。
結果的にこの判断は、弾着への影響はなかった。

再据銃の感触は、1回目よりも左腕周りの締め付けが強く、何度もスリングを右手で引っ張り、パルスを拾わないように調整して合わせた。

Pの据銃で最も注意するのが、左肩の脱力(リラックス)である。狙いこんで行ったり、試合後半になって、銃が下がってくると自然に力が籠ってくるのを、絶えず意識してリラックスさせ、自然粗点を合わせることを心がけている。

右肘は絶えず一定の場所に置くことを意識しているが、3月の沖縄でのNT合宿での指導者講習会において、ファーニックコーチより微調整を右肘で行うことを指導を受け、無理のない範囲で、右肘での調整を行っている。

試射の1発目は、2次方向の7点、2発目も同じ方向の7点だった、おそらくスリーブの装着における位置ずれが原因であると判断する。(次回練習でここは確認する)

サイト調整はいつものように、必要分プラスアルファ回し、次の撃発後プラス分戻すことを実践した。いつもながらプラスして回しても10点を行き過ぎることはなく、3発目は10点に当たった。

試射時間を1分半残しておおよそサイトが合ったので、ここで据銃しながら目をつぶって内的姿勢のチェックを行う。

どうしても練習不足から痛みやしびれが早くからやってくる。情けない話だ。今回は照準を容易にしたいということもあり、スリーブを装着するという選択をしたので、フロントヘビーになっており、左腕への負荷も増している。

ただ、銃の揺れ自体は小さくなり、安定もしているので、とにかく今回の試合は立ち上がらずに休憩をしながら撃つと決めた。

本射に入って、9点と浅い10点を繰り返し、1シリーズ後半へ入る。ここで思わぬ8点を撃つ。(最終的に8点はこの1発のみであった)

まだ目の消耗が少ないとはいえ、10秒を超える照準ではほとんど黒点の動きが分からない。練習不足から、肩付けを外さずに弾込めをしていても、毎回狙うたびに銃口の位置が異なり、そのたびに体を使って方向を合わせ、右肘で微調整を加えるので時間が掛かる。本来であれば、見ないで合わせられれば、目の消耗は抑えらるが、それができるほど姿勢が固まっていない。

フロントリングに黒点が入ったところで、正照準に入るが、銃の静止(止まっていないが)を得られるまで時間を要するため、くっきり見える時間はほとんど無いと言って良い。

以前これもファーニックコーチから指導を受けた「短い照準」を何度も繰り返す方法をやりながら、銃の安定を待って、引き金を落とす。

銃の安定、短い照準、スムーズな引き金操作。

この組合わせが分かってはいるものの、理想的な撃発は数えるほどしか無かった。

基本的に銃の動きの大きさが最も失点が多かったが、照準ミス(長い照準による残像を追っかけていた)とトリガリングミス(ガク引き)での外しも数発有った。今回の試合でそれを確認できたことは非常に有意義であった。

そして、この日の大きな要素としては風の影響であった。

朝から断続的に吹く風は、一定ではなく風向きや強さが頻繁に変わる厄介なものだった。

ただ、国体一次予選ほどの強さは無く、ある程度対応可能だと思って臨んだ。

三月の沖縄でファーニックコーチから指導を受けた「シェーディング」の技術について試すチャンスでもあったが、やはり付け焼刃な技術ではとても対応できるものでは無かった。

風の向きは分かるものの、その影響度合いとサイティングでのずらし方が充分ではなかったが、何発かはセンターに入れることができたので、今後の練習での取り組みで、使えるようになるのではないかと実感することができた。

結局、二シリーズ目にしてようやくセンターの感覚をつかみ、そこから深い10点を続けられるようになってきた。

3シリーズ目は、風が最も弱く、無風状態もあったので、この日最高の103.6点を出すも、この辺から体力との勝負となる。

左腕の感覚がなくなり、しびれが強くなってくる。無風状態でもう少し多く撃っておきたかったが、銃のコントロールが思うようにいかない。センターに合わせられないから、どうしても照準が長くなる。結果としてタイミングで引き金を引き、弾着にバラつきが出始める。

ここで、思い切って寝たままではあったが、休憩を入れた。ほんの1,2分程度だったが左腕に血液が流れ込む感覚が有り、そのとたんに激しいしびれが腕全体に広がった。その痺れが少し納まるのを待って、次の据銃を開始した。残念ながら風が強く吹き始めていた。

後半は、風が吹いていても、シェーディングをしながら撃つことを決め、ルーチンを意識して撃発を繰り返した。何とか後半は100点を切ることなく、射撃を終えることができた。

ノルマを課していた610点を撃つためには、103.4以上が必要であったが、最終シリーズはそこを狙いに行った。とはいえ、点数を狙ってその点が出るわけではなく、ルーチンの精度を上げ、よりセンターでスムーズに引き金を落とすことだけに集中するということを繰り返した。
結果としては102.0点とノルマをクリアすることはできなかったが、久しぶりに充実した射撃ができたことが何より楽しかった。

もちろん自分の不足している部分が多いことを実感したが、それを克服するための課題は明確であり、それを確認できたことが何より収穫であった。

日本一過酷なP60の代表争いという状況ではあるが、現時点で上位2名とのレベルの差は歴然であり、代表になる可能性は極めて低い。

とにかく、目標は明確にあるので、そこへ向けてのマイルストーンを置き、練習を積み上げていくしかない。

目先の結果に囚われず、まずは据銃能力の向上を目指し、練習に取り組もう。 


左で撃つことについて

2016-05-22 23:00:51 | ピストル指導

昨年、今年と母校の射撃部のピストル射手の肩の故障が続きました。

二人の故障に至る原因に違いはあるものの、普段の生活に支障を来していることと、練習ができないというストレスがあることに違いは無い。

女子の方は、複数の医師の診断を仰ぎながら、無理をせずに様子を見ながら練習復帰できるタイミングを見ながら進めるという選択をしました。

しかし、男子の方は高校まで行っていた野球による故障が起因しており、ドクターストップが掛かっている。そしてだましだまし練習するというレベルに無いこともあり、思い切って左手で 撃ってみることを薦めてみました。

二人にも伝えたが、射手として以前に、一人の人間としてこれからの長い人生を考えたとき、無理をさせるべきではないし、普段の生活が正常に送れるようになることを真っ先に考えなければならない。
それができることを前提として、選手として射撃とどう向き合うのかを考えていくことを理解してもらっています。


左で撃つことについては、大きなチャレンジである。すでに右手で2年の射撃経験を積んでいる。本人にとっては大きな不安があることは間違いない。ただこのまま撃てない日々を悶々と過ごすのではなく、新たなチャレンジをすることによって、モチベーションの維持をはかってもらいたい。そして右手以上の成果を上げることを目標にしなければ、それが実現することは無いことも分かって欲しい。


左手で構えてみて、真っ先に感じるのは、「意外と銃の揺れが少なく、右手と同じように撃てるのではないか」ということです。

これは、これまでの技術的な裏付けがあるということもあるが、右手で初めて構えた時の不安定さのイメージよりも、2年のトレーニングによる体自体の揺れが少ないことが想像しているよりも止まりそうな感覚が得られていると思います。
また、利き腕はコントロールしやすい分、狙いこみによって力が入りやすく、筋緊張による細かい動きが出やすいですが、初めて構える左手は、鈍感ゆえに緩やかな動きであることも、理由に挙げられるかも分かりません。

では、すぐに当たるようになるのかというとそう簡単には行きません。決して悪いイメージを植え付けるわけではありませんが、これから始まる困難な状況を乗り越えるために、覚悟を持ってもらいたいのであえて書かせてもらいます。

ピストル射撃で最も重要な要素は「スムーズな引き金操作」(トリガリング)であることは、MPAの講習会や練習会でも、コーチが力説されており、選手の皆さんも理解してもらっていることだと思います。

いくら銃が安定していても、引く瞬間に大きく銃を動かすことになるトリガリングでは、安定した得点を得ることはできません。

銃の安定(静止ではなく安定)と照準、トリガリングは一つの流れの中で融合し、安定した弾着が得られます。

利き腕と反対の腕で撃つ場合、やはり繊細なトリガリングが一番の課題となります。まずは銃の揺れを最小限にとどめられるスムーズな引き金操作ができるようになるまでに、相当な反復訓練が必要です。

それを実現できるようになるために、まずは若年層の選手に導入している「委託射撃」によるトリガリングの訓練が有効でしょう。

ライフルスタンドに手首を乗せて、銃の重みを軽減させ、揺れが小さい中で黒点に合わせてスムーズに引き金を引く訓練をしっかりやることです。

それと並行して、据銃訓練を行い、銃の安定を得られるようにすること。これを分けて行うことが重要だと考えます。

無理な撃発や点取りで、悪い癖をつけることは避けなければなりません。特に時間が掛かる左手のトレーニングですから、回り道はしないようにしたいです。


次にメンタルな部分についてですが、左手のトレーニングは着実に身について行きますが、時間を要します。

その間に、右肩の回復により、右手でも撃てるような時期が必ず来ます。その時本人はきっと迷うでしょう。


「左手でも撃てるようになってきたけど、まだまだ右手で撃っていた時よりも点数が出ていない」

「右で撃った方がもっと伸びるのではないか」

 
右で撃つか、左で撃つかは本人の自由です。強制することはできません。

選択肢として、冒頭に書きましたが、一人の人間としてきちんと普段の生活ができるということが前提であることを理解した上で、右に戻すのであれば、良いと思います。

通常の練習でも左で構えてみることで左右のバランスを整えるように、左のトレーニングした成果は右に戻してもきっと役立つことでしょう。

ただし、今は確実に左で右手以上の成果を上げるのだという強い意志を持って、練習に取り組んでもらいたいと思います。