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加藤紘一「テロルの真犯人」

2007年01月01日 11時48分00秒 | 巻十六 読書感想
まさか自民党代議士の本を買うとは
自分でも思っていなかったが。

一部敬称略。

テロルの真犯人
加藤紘一


講談社

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言わずと知れた、
昨年の8月15日に自宅に放火された加藤代議士。

ちょっとカッコつけすぎじゃないか、というくらい、
代議士はあの事件に直面しても冷静であった。
それは、当時のニュース映像を思い出しても窺い知れる。
「先入観を持たず警察の捜査を見守りたい…」
自宅の焼け跡を前にして、ここまで言えるか。
これが、ちょっとカッコつけすぎと感じた所以である。
しかし考えてみれば、
代議士にもある種の覚悟というか予感はあったのではないか(憶測)

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外務省幹部だった田中某宅の発火物騒ぎのとき、
都知事石原は「当たり前だ」と語ったとされる。
このエピソードは、本書でも紹介されている。
この都知事と、加藤代議士。
そもそもの思想の違いは措いておくとして、
言論とテロルという問題に対する姿勢は雲泥の差だ。

そしてそんな都知事が
このままいけばかなりの支持を集めて再選する勢いではないか?
少なくとも、都知事が問題発言のせいで支持を失ったという話は聞かない。

それが、美しい国の現状。美しい!

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一番印象に残ったのは、196ページ。
以下要約&意訳。
特攻隊員の遺書を見て、
文学的・直感的に共鳴できるのは小泉純一郎の美質だ。
しかし、かれにはその先の想像力がない。
誰が隊員に特攻を命じたのか、
何を誤ったため日本はそこまで追い詰められたのか。

そうした歴史の捉え方が、欠けていた。という。

同感だ。
小泉氏に限らず、靖国問題について小泉氏を支持する多くの人々にも
同じことが言えるような気がしてならない。

特攻隊員は、皇軍兵士は、
国のために戦った。
そのおかげで、今の繁栄がある。
それを悼む気持ちはひょっとしたら真っ当だろう。

しかしそれと、靖国史観とは直結しないのだ。
加藤代議士が示唆するような「想像力」、
つまり、国を誤って導いた者や、
逆にその為に侵略を受けた周辺各国。
そこまで徹底的に想いを致して(個々人レベルで)、
それでもなお無邪気に
自衛の戦争だったなどと言えるのだろうか。

…言えるんだろうね。
言える人には。


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いま、加藤的政治家は極めて立場の弱い状況である。
「加藤の乱」を引き合いに出すのもなんだが、
政治家には思想信条だけでなく政局を切り開く能力も必要なのかもしれない。

それでもなお、加藤代議士に対して自分は、
支持を表明したい。
ここの選挙区だったら態度で示せるんだけどな。

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