あなたは世界に文字がどれくらいあると思いますか。実は私も知りません。『世界の文字とことば』〈河出書房新社)によると、世界にはおよそ5,000から7,000の言語があって、文字の数となるとせいぜい、その100分の1以下で、その歴史はさかのぼること5,000年がいいところとあります。
つい、先日,浅葉克己さんの講演会が日本橋のAGCスタジオでありました。浅葉さん自身が文字ハンターの]有名デザイナーで、トンパ文字を使った意欲的な作品に私自身が惹かれておりますし、その日の講演がこれまた、日本で世界の文字に関する大権威、故中西 亮さんと二人で文字を求めて世界を旅をした話と聞けば絶対に聞き漏らすわけにいきません。
講演はトンパ文字のような絵文字はもちろん、アルファベットのような表音文字、漢字のような表語文字のいろいろについて笑いを誘う軽妙な浅葉節の楽しい2時間でした。中国殷の甲骨文字の現物やインドのデーヴァナーガリーの新聞を聴衆に手にとって見られたのもうれしい試みでした。
中西さんとは私が「活版印刷紀行」の取材で京都の中西印刷にお邪魔したときに古い印刷物などをまるで魔法つかいのように次々に取り出しては長時間つきあってくださったし、浅葉さんとはGGGでお世話になること何十年ですから、お二人の文字ハンティングの旅に思いをはせることしきりの講演会でもありました。念のため主催はLIXILでした。