博物館のドアを開けると、黒の民族衣装に身を包んだアラブ女性が2人で
にこやかに迎えてくれました。アブダビでもドバイでも観光客が多いせいか
民族衣装の女性はあまり見られません。たまたま出会う黒の着衣の女性は黒が
きわだたせるのか、やたら美人ぞろいでした。
ここの学芸員のお二人も飛び切りの美人、それはさておいて、説明はしっ
かりした英語で、まず、アラブの地図を前にして、アラブの海域と真珠採集の、
歴史から入りました。ともすると、私たちにはペルシャ湾という呼び名の方に
馴染みがあるようですが、アラブの人たちは絶対に「アラビア湾」なのです。
アラブ首長国連邦が面しているアラブ湾と真珠との長い歴史についての話は
全く私が知らないことでした。天然真珠のなかでは「ドバイの真珠」がとりわけ
有名だったそうです。
入館してすぐのフロアは1900年代初めまでの天然真珠が採られたころの
船をはじめ、潜水具や網や道具類の展示が主体になっていました。高橋 裕さんに
よると、これらの道具類を集めるのが大変だったようです。
いささかウシロメタサを感じるところですが、日本で御木本幸吉さんが養殖真珠を
成功させたのが確か明治30年ごろ、間もなく銀座に御木本真珠がオープンして
養殖真珠が世界各国で認められるようになるにつれて「ドバイの真珠」が衰退して
行ったといわれています。
ところが、ここへきてこのラアスアルハイマ北部の海の穏やかさ、水温やプランク
トンの量、ミネラル分どれをとっても真珠養殖に最適であることを三重県の井村真珠
養殖の井村大二さんが発見して、ラアスアルハイマ政府から保護海域の使用
許可を受けてファームを発足させることが出来たというのです。
アラブ連邦(UAE)と日本が養殖真珠を通じて結びつくことはいままでのいきさつから
いってもうれしいことです。