活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

気になるヴァリニャーノとハビアン 3

2011-10-19 13:36:42 | 活版印刷のふるさと紀行
 ヴァリニャーノは恰幅のいい男、見るからに偉丈夫といった感じだったよう
です。よく、私はイタリアンレストランの奥で図体の大きな白服のコックさんが
立ち働いているのを見て、彼はあんなだったろうかなと想像してしまいます。

 ですが、彼は体格には似あわず繊細で緻密、先見力に富んでいました。
 キリシタン大名や信長までが心を許す器量を持ち、人間としても奥深い魅力を
兼ね備えていました。
 
 けれども、彼がまったく純粋な基督者であり、偉大な聖職者だったかというと
私には気になることがあります。

 カブラルはキリシタン大名に貿易を通じて味を占めさせ、武器や弾丸を供給
して戦乱を起こさせ、やがては日本をポルトガルの支配下に置くことを企図して
いました。来日早々、ヴァリニャーノも有馬軍に武器を融通しています。
ひょっとして最初はカブラル同様イエズス会の庇護者としてのポルトガルの国家戦略
のサポーターの役わりを持っていたのではないでしょうか。

 実際にヴァリニャーノが口之津に上陸して西九州を歩いてみてカブラルの計画は
とても困難。むしろ、いまはなんとしてでも信者をふやすことだと痛感したのだと
考えるのが自然ではないでしょうか。
 
 こうしてみると、ザビエルの30年後に切れ者ヴァリニャーノを送り込んだ権力が
ウシロにあり、彼はある意味では、ある時期までそれに利用されていた、それが日本
を知り、日本人を知って翻然と基督者のみに立ち戻った。
 
 禁教がきびしくなり、ヴァリニャーノは次の地に差し向けられた。

 私はヴァリニャーノが実際にはザビエル以上の存在であったのに、そのように扱わ
れていないのは、ある種のうしろめたさのせいではないのかと考えます。

 

 

 


 

 
コメント
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