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上場企業で、前代見聞の「社内融資」!  M194

2009-01-13 08:58:27 | ビジネス実用
神戸三宮 経営管理労務事務所
所長 社会保険労務士 小河美里 (登録番号第28080030号)
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これまでに、社労士試験のテキストや過去問についてはもちろんのこと、企業の労務管理担当の方や経営者の方、社労士という仕事に興味をお持ちの方、あるいは特定社労士を今後目指すという方々からどのような本を読むと良いですかというご質問を受けることがありました。

そこで、試験関係の書籍については、個人レッスンのブログにて、そのほかの実務本や専門書については、こちらのブログで紹介させて頂くことにしました。
末部分に記載致しましたので、ご興味のある方はどうぞご覧下さい。

週間ダイヤモンドの記事の抜粋です。

上場企業で、前代見聞の「社内融資」の事実が発覚したという。その会社の名は、株式会社アトリウム。大手ノンバンク・クレディセゾンの子会社で、東証一部に上場している不動産会社である。社長が金融機関から借りていた約20億円もの巨額の借入金を会社に肩代わりさせたうえ、そのうち11億円を“貸倒引当金”として中間決算で損失計上していたというのだ。

そもそもアトリウム社長・高橋剛毅氏は、なぜそのような巨額な借金をしていたのか――。それは、ストックオプション(自社株購入権)で生じた税金の支払いのためである。

高橋社長は、同社の規定に伴い、04年にストックオプションの権利を付与された。その後、06年、07年の2回にわたってその権利を行使し、計108万株の自社株を取得。高橋社長は市場に3万株だけ売却したものの、残る105万株はそのまま保有していた。その含み益に対して、所得税と住民税が約20億円加算されてしまったのである。しかしその時は、金融機関から借り入れを行ない、税金はすべて支払っている。

そして08年4月、金融機関からの借入金の返済期限が来た。高橋社長は、自己資金がなかったため、保有している自社株を担保に会社から約20億円を社内融資してもらい、それを借入金の返済に充てたというのである。

しかし、その融資から半年あまりしか経っていない08年11月、中間決算(08年3~8月期)において、11億円もの巨額を“貸倒れ”として損失計上したのである。その理由は明白。社長が担保として差し入れていた自社株が、株価低迷によって大幅な評価損を起こしたため、会社は損失処理せざるを得なくなったのである。

高橋社長は、自分の借金を会社に“肩代わり”させただけでなく、担保価値の下落により、会社に巨額の損失処理を余儀なくさせたことになる。これは上場企業の社長としてあるまじき行為である。自社株下落リスクに無頓着な経営者であるといわざるを得ない。

しかしそもそもなぜ、このようなデタラメなお手盛り融資がまかり通ってしまったのだろう。デタラメというには理由がある、それはその融資条件があまりにお手盛りだったからである。詳しく見ていこう。

前述した通り、高橋社長は自社株を担保設定し、社内融資を受けている。驚くのはその担保評価である。担保価値を“時価の100%”で評価していたのだ。普通、株を担保設定する場合、時価100%というのはあり得ない。通常は株価の下落リスクを考慮し、時価相当額の70%程度、どんなに多くても80%程度の掛け目で評価するものである。

さらにその際の金利は、「会社の調達金利+1%未満」という好条件。ちなみに返済期限は13年という長期であり、その後の返済金額を見る限り、当初の返済額を少なくして最終弁済期近くに多くの弁済を行う「テール・ヘビー」なものであったことが伺われる。

肩代わり融資がされた08年4月というのは、すでに不動産バブルは崩壊しており、不動産関連各社の株価は軒並み下落をしていた時期である。実際に、同社の株価も、高橋社長がストックオプション権を行使した時(06年~07年)には3000円以上の値を付けていたが、この肩代わり融資時(08年4月)には、1000~1500円程度にまで大きく値を下げている。

そんな時期であるにもかかわらず、自社株下落のリスクを一切考慮せず、時価満額で20億円もの巨額を社長に貸し付けていたというのはただ驚くばかりである。そもそも当初借りていた金融機関から返済期日の延期(リスケジューリング)が認められたのであれば問題はなかったはずであり、その金融機関としては高橋氏に対して与信が継続ができない状況であると判断していたのではないかと推察される。

また、同社は、不動産を担保とした融資保証事業を主力事業の1つとして営んでおり、貸金業としての登録免許も持っている。与信リスク評価、不動産の担保評価のプロである同社が、なぜこのようなデタラメな与信判断、担保評価をしてしまったのか。これではズサンな「お手盛り融資」といわれても仕方がない。

高橋社長自身に問題があるのはいうまでもないが、同社の取締役会にも大きな責任がある。そもそもこれは、既に金融機関への返済を行なうことができなくなっているサラリーマン社長の高橋氏に、20億もの巨額を肩代わり融資するというハイリスクの融資である。

20億を13年返済とすれば、単純に考えても毎月1000万円以上を返済しなければならない計算になる。高橋氏はオーナー社長ではなく、自社株式以外の個人資産もそう多くはないだろう。たとえ担保の自社株があったとしても、不動産業界自体が右肩上がりの状況でないことは明らかであり、自社株の下落リスクは今後もつきまとう。

であれば、どうしてこのようなハイリスク案件を取締役会は承認してしまったのか。当事者である社長は、会社法上、特別の利害関係を有する取締役として決議に参加できなかったはずであり、さらに同社には、当時社外取締役として親会社のクレディセゾン社長である林野宏氏もおり(その後、昨年9月30日付で辞任)、社外監査役の弁護士もいる。誰か異議を差し挟む役員がいてもよかったはずである。このような融資に賛成した取締役については、株主から善管注意義務を尽くしていなかったとして責任を問われる可能性があるといえるだろう。

ここまで会社に損失を負わせた社長の責任は非常に重い。本来であれば、ストックオプションの権利行使時に取得した株を売却し、それで税金を支払っておくべきであった。少なくとも、金融機関からの借入金の返済期限が来たところで、自社株を「担保流れ」にしておくべきだっただろう(事実、アーバンコーポ、クリード、パシフィックホールディングズなど、社長個人の借入金の返済ができず、自社株が担保流れになって大量保有報告書が出されるケースは、昨年来いくつか見受けられる。今年に入ってもプロパストが役員2名の持株が担保処分されてしまったことと社長の持株が担保に入れられていることの適時開示がなされている)。

社長が自社株を大量に売却されると株価に悪影響を及ぼすリスクがあったにせよ、会社に自分個人の借金を肩代わりさせ、社長自らが会社に多額の損失処理を余儀なくされるよりは、はるかにマシである。


ストックオプションに関しては、行使するための資金がないとか、税金を払うお金がないという話をよく聞きます。
あまり、そのことを考えずにストックオプションを乱発しているからです。
そもそも、ストックオプションは、ベンチャー企業の上場バブルの時に注目されたのですが、上場しなければ、空手形ですし、あまり考えずに乱発すると資本政策に支障をきたすので、よくよく考えて、うまく使いこなさなければなりません。

どうも、多くの経営者は、ききかじった話で何でも真似したがる方が多いですが、ご自身の会社にとって本当に必要か、経営者ご自身がちゃんと理解して使いこなせるのかを十分検討されてから取り入れられる方がよろしいかと思います。

このような経営者の無責任さは、会社が傾きかけると顕著に出るようで、水野さんが数年前に取締役を務めたベンチャー企業が昨年末に破産申立てをしたようですが、最後の1年は給与も払われないまま、VCからの投資を期待して、無責任極まりない社長のせいで、ほとんどの従業員の方は年末年始を悲惨な状況で送られたようです。
水野さんご自身がそのうちブログに書くかもしれませんので、これ以上は書きませんが、経営者に限らず、普段どんなに口先でうまいことを言っていても、利害の問題がはっきりすると、すぐに本性が丸出しになる方がおられます。
普段は、「いい人のフリ」をしていますので、最後の最後に騙された気持ちになって、とても後味が悪いですね。

さて、アトリウムの社長ですが、散々美味しい思いをして、お金もたっぷりと貯めこんだ挙句、会社を倒産させても、「申し訳ございません。」と株主の前で一度頭を下げたら、あとは知らぬ存ぜぬで、裕福な余生を送るのかもしれません。

残念ながら、世の中は本当に後味が悪いことが多いです。
サラリーマンのご経験しかない方には、この苦々しい思いはなかなかご理解頂けないかもしれませんね。
本当にいやーなものです。

-つづく-

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