百字ノート
「しあわせ峠1」の詩
「しあわせ」についてどう考えるかは人さまざまだろう。「しあわせ峠」の
詩は、峠の茶屋での呟きである。―幸せは自らつかむもの、それだけをさすも
のかどうか。与えられたものとして謹んで受け取る、そこにもあるのではない
か、信仰のように。あるいは、つかむとか貰うばかりでなく、人に与える、と
いうことの中にも幸せはあるのではないか。―という呟きである。
しあわせ峠1
あるとき山が呼んだので
道は峠になった
峠は山に愛された
その峠をひとびとが
のぼったり下ったりした
何人も
何回も
峠はひとに愛された
その峠はいつのまにか
しあわせ峠
と呼ばれるようになった
山もしあわせだった
ひともずっと幸せだった
峠もずっとずっとしあわせだった
その峠はいまも在る
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。