百字ノート
「しあわせ峠2」の詩
プライドを棄てきれないと、いつも「自分の力で何とかしよう」と思う。誰
にも頼るまいと。苦しくなってついに親しい友人や家族に助けを求めるときで
も、「まだ頑張れる」と気張りたい気持ちが残る。「頑張る」のもともとの意
味は「我を張る」だそう。実はわたしも「頑張る」ことが好きなタイプだ。歯
を食いしばることになじんできたのだ。だが、もうそれをやめよう。自分の
力、ニンゲンの力には限りがある。奢ってはいけない、と自戒する。
しあわせ峠2
しあわせ峠を知ったひとは
自分の脚で上り下りした人だけではない
弱さを素直に認めて
手を引かれた人も おぶわれた人も
その峠を知ったひとだ
しあわせ峠を知ったひとは また
優しさをもらった人だけではない
とぼしい力をわきまえつつ
おずおずと手を差し伸べた人も
その峠を知ったひとだ
人をさげすむために自分の脚を誇る人
どこまでも己自身の脚にすがる人
卑屈になって自分自身をわらい者にする人
人が支え合うのを妬みで青黒く塗りつぶす人 そのひとらは
しあわせ峠を知らぬさみしいひと
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。