祈りを、うたにこめて

祈りうた(漢字のこえ  「寸」と「忖」と)

「寸」と「忖」と

 

たくらみのひそんだ

気配りがある

本人だけが知っている

 

にくしみのかくれた

微笑みがある

本人さえ知らないかもしれぬ

 

一寸と書いて

ちょっと とも読む

忖度(そんたく)に紛れこんだ ちょっとの企み

 

本人も知っているちょっとの企み

相手も知っているちょっとの企み

ちいさな胞子が ふたつの心のひだにカビをはやす



一寸の虫って ほんとに小さいかな

テントウムシより ミツバチより おっきい

カマキリより トカゲより ちっちゃい

セミや赤トンボ くらいかな 

 

―一寸の虫にも五分の魂

小さいからって馬鹿にするな というけれど

五分の魂って からだ半分もあるんだよ

透明な深海魚の心臓みたいにバクンバクンと動いてる

 

忖度って ソンタクと読む難しい字だね

でも はやっているから馴染みができた

ほんとは難しいのに簡単になって

誇れる魂が 十分の一くらいに縮こまって

 

 

●ご訪問ありがとうございます。

 忖度ばやりです。もともとは気配りや深い推量のことだったのが、あるときから計算高い人たちの、あるいは臆病な人たちの処世術のようになってしまいました。
 「一寸の虫にも五分の魂」は、小さきものの魂の誇りを表します。小さく、名も無きものでもあなどるなかれ、との警告です。
 でも、考えてみれば、体半分を占める魂です。人間でいえば、胴の上が全部魂です。忖度などで売り渡してはいけないもの、それが魂なのです。

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