耳も遠く記憶も遠く
1
近ごろ耳が遠くなったようで
聞きまちがいが増えた と古女房にしかられる
「七時のNHKニュース」が「執事のNHKニュース」に聞こえたので
執事の雇い主とははて誰やらん と思った
コクソウというからウクライナの穀倉問題と思ったら
どうやらニッポンの国葬の話のよう
記憶も鈍くなったらしく
これも古女房の悩みの種だ
六十年前のケンカのことは鮮明なのに
六か月前に起こった戦争のことは忘れかけている
ふたりの大統領の名前 それも怪しくなった
マスコミの番組作りも半年ごとと聞いたような
2
聞き間違いのせいで
記憶のみだれのせいで
しじゅう腹を立て しょっちゅう
くやし涙をこぼしている
ネアゲシマス と云う
音(ね)をあげるわれらの声ときいたつもりが そうではない
値を上げる企業の大きな声である
一円二円の値上がりに肝を冷やすわれら
十億ニ十億を湯水のごとく使う国の あの黒塗りの高級車
路地裏を通らないので か細い声は聞こえぬようだ
シカタガアリマセン と云う
死に方がいけませんと聞こえたようだが そうではない
いじめ自殺を隠した学校 その不実な声である
目覚めたとたん頭やおなかが痛くなる子ども
担任は校長に、校長は教育員会に 忖度(そんたく)のバトンリレー
資料も記憶もないのでと しらばっくれる狸(たぬき)ども
●ご訪問ありがとうございます。
迷走の政治家たちにより、国内は「政治禍」状態でしょうか。この聞き間違いも、耳の遠いせいですが。追っ手を出すマスコミは、息を切らすのがはやいので、3カ月単位の様相です。もっと短いかもしれません。記憶力が鈍り出したので、これも怪しいところです。
忖度の無い聖さを、潔さを、地を這う心の政治や教育を、期待し続けているのですが。