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祈りを、うたにこめて

祈りうた(でくの坊  嘘)

 

嘘に敏感な子どもがいた

ごまかされた 

言いくるめられた 裏切られた 

相手にもされなかった

 

ぜんぶヒガイシャの自分なので

自分だけが傷ついた

そして長いことわすれなかった

そのくせ自分の嘘には鈍感だった

自分の嘘で傷ついた人のことには

もっと鈍感だった

 

嫌うより

嫌われるほうがいい という強がり

忘れるより

忘れられるほうがいい といういじけ

 

会議の場で

―あんたはキライダ! 

そう言い放った会社の上司

六年ぶりの同窓会で

―きみはダレデシタッケ?

そうたずねた担任の先生

 

ぼくは嫌いでもなく

忘れてもいなかったけれど と

自分を言いくるめた

 

 

母に何年も嘘をついていたことがあった

小一のとき崖から落ちたと母にいった

落ちて膝を打ったと母に言った

ほんとうは数十センチのジャンプで降りただけ

 

なぜ落ちたといったか なぜ

膝を打ったといったのか

 

あわてて医者に連れて行かれ

特にけがなどしていませんがと言われた

血もでていないし 

すりむきさえしていないですと

 

なぜあのとき落ちたといったか
 
なぜあのとき膝を打ったといったか なぜ

まだ膝は痛みつづけていると訴えたのか

毎日駆けずり回って遊んでいるのに

 

あのとき本当はネ
 
―そう告白したのは小四のとき

 

東京の医者にかかり くわしく検査をされ

特にわるいところはありませんねえと言われた

骨も神経の反射も

まったく異常ありませんよと

 

僕はとうとう母にいった

母は僕より僕を信じてくれていたのだ

僕の代わりに膝を痛めてくれていたのだ

あのとき本当はネ

あのとき本当はネ

 

 

●ご訪問ありがとうございます。
「嘘」をつきなれてきた私です。「嘘つかぬ いち日でしたと 嘘をつき」という川柳を真顔で作りました。
生涯嘘のなかったイエス・キリストのことを思いながら、悔い改めをしたいと思います。

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