深沢七郎著『言わなければよかったのに日記』より
ボクは文壇事情を知らないから時々失敗してしまうのだ。
「知らないっていっても、アナタは常識程度のことさえ知らないからダメだよ」と、よくヒトに云われるほど知らないのだ。(早く一人前にならなければ)と思って・・・。
家へ帰って「ツボイサカエというのは女だぞ」と云うと、弟が「そんなことを(偉い先生に)聞いてしまったのか」と驚くので、「知らなかったから聞いたのだ。誰だって、はじめから知ってる奴があるものか、そんなことを云うなら、てめえ知っていたのか」と文句を云うと、「そんなことは聞かないでも、黙っていれば自然にわかることだ」と云うのである。
「自然に?」とききかえすと、「ふだん、注意していて、新聞や雑誌の写真を見ていて覚えるのさ」と云うのである。(そいつは大変だ!)と思った。(そんなことじゃ、これから、夜もおちおちねむれなくなりゃしないか)と思った。
ボクのように、一度に、いろいろな新しい世界の人を覚えなければならない奴は大変なことになっちゃったのである。頭が破裂しゃァしないかと思うぐらいだ。やはり、ふだん新聞や雑誌は読んでいなければいけないのだ。今まで、新聞や雑誌などは殆んど読んでいなかったことが心細くなってきた。
『楢山節考』が出てから、「よォ、これに、のってるよ」と、誰かに云われると、自分のことが書いてある記事だけはムショウに読みたくなるが、それ以外の記事には興味がない。
以前は、文芸欄など読んだことがなかった。三面記事に大きな事件があった時のほかは読まなかったのに。ボクは新聞には何の関係もないからだ。
「先生、いいとか悪いとか、カンできめるのですか?」と聞くと同時だった。「そうだ」と云ったので(シメタ)と思った。ボクも小説を書くときはカンで書くのだ。自分で(いいなあ)と思ったところをカンできめて書くのだが、書く方でもカンで書くのだが読んでくれる方でもカンで読んでくれるのだということがわかったので、急に気が軽くなってきた。
これは深沢七郎が、作家の大御所、正宗白鳥と交流する中での逸話である。以前に読んだ本だが、たまたま出てきたので読み返してみると、やたら面白い。それだけ、私が年をとったということかも知れない。
深沢氏が「楢山節考」で、作家として注目されるようになってからのお話。彼は正直で、どちらかといえば、あまり物を知らない人であり、よく事情は分からないながらも、おおよそのカンで文章を書いていた、というのである。
彼は、おりんさんのような年寄りの生き方が好きで、本を書いただけなのに、実存主義の本、などといわれて悩むのである。実存主義って・・・いったい何?って。
これは、物を知らない人が、いきなり、世界の核心を鷲づかみにしてしまった、ということなのだ。世界を隅から隅まで知っているような人が、世界の核心を確かに掴んでいるかといえば、そうとも言えない。
なんらかの「カン」で物事を見てきた、ということが私にもあるので、めちゃ面白い。爆笑に次ぐ爆笑。先に行くと、さらに面白くなるので、もうやめられないのである。
私だけが、ツボにはまったのかもしれないので、皆さまにお薦めはしませんけれど。たぶん次も、深沢七郎ワ~ルドでしょう。興味のない方はツマラナイでしょうネ ごめんなさいネ{
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新聞もあまり読みません。
その内この作家みたいになるのでしょうか?
人間は生まれながらにして五感(視・聴・嗅・味・触)を持っています。
これ以外に「第六感」というのがあります。
いわゆる「ひらめき」とか「パッとでる」という奴ですね。これは長い間の経験や知識から出てきます。
「カン」が違うと「カン違い」といいます。
カン違いはあっても不思議ではありません。
ゴミを出す時は「ビン」と「カン」は分別(ブンベツ)してだしましょう。
「ビンカン」なトーコさんなら分別(フンベツ)があるから大丈夫だと思います。
あっという間に三が日も終わっちゃいましたね。
お屠蘇気分も払拭して、明日から仕事です。
僕も老いないために一生恋愛と思っています。
ポチ!
トーコさんに言われて光栄です。
似てると言われると、
なぜか読んで見たい気持ちに。
恋愛と同じで、またまた
時間が必要ですけど。(笑)
七郎と私、人相・フィーリングが、
どことなく図星な気もする。
グーにしておいて、ホント良かったです~。パーにしていたら、またお叱りを受けるところでしたもの~。あはは
そうですか?私の場合、知識も経験も無いのに、ひらめくことがありますよ ・・・才能??なんちて(笑)
山の「マユミ」さんに、ヨロシクね
ホント、いつまでもkenさんは「青年」ですね。あ~んな、Love Songを毎日のように~。自分への愛の告白かと”カン”違いする人だって、いるかもしれませんよ(笑)
私のような”オバサン”だって、一瞬「ハッとしてグー」ですから。あはは
お仕事、がんばってくださいね
まぁ、私ったらまた余計なことを言ってしまって・・・
イメージですよ、あくまでイメージ
そういえば、七郎さん、恋愛について聞かれて「ボクもずいぶんとバカをみましたよ」と言っていました。図星ですか
あけましておめでとう!
今年もよろしくね!
で、私の場合は言葉がおりて来る事があります。
どっからかはわかんないけど・・・
13日でしたよね いよいよ追い込みですね 頑張ってください
え?言葉が降りてくるの?
「中島らも」さんが、よくそう言っていました。お筆先とかって。眠っていたはずなのに、起きたら原稿が出来上がっていたらしいですよ。
たむたむさんも、もしかしたら天才かもしれません。今年の芥川賞、急がないと・・・(笑)
天才的なコメント、ありがとうございました
「トイレに行きたい・・・」
ダカラ・・・さっさとトイレに行ってください・・・