草木有情天地(あめつち)無情鳥雲に/青萄
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サナギが膨らんでいた。
割れた、と思った瞬間、パリパリッと縦に亀裂が入り、蝶の辛子色の複眼が覗いた。蝶は白い二本の脚を突っ張らせて殻を押し広げ、項垂れるような形で収められていた頭を持ち上げると、下向きになっていた黒い触角を殻からそうっと引き抜いた。オレンジ色の肩のような翅の付け根が見える。肩からするっと落ちるように殻から抜け出し、抜 . . . 本文を読む
言葉への新しいアプローチとして鴇田智哉氏が絶賛しているのは、津川絵理子の「断面のやうな貌から梟鳴く」。特にその〈から〉の使い方。
梟の貌の有り様を図形的に把握し、〈から〉が付くことで垂直な面から水平に声が響き出ている、という強烈なイメージを読者に喚起させてやまない句。
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