京都の姉から、お礼の電話が入る。
「寒い?みんな元気?」
世間話がつづくが、突然
「えぇ、勝っただヨ、京都にね。そう、そう、
・・・お情けだって言ってるよ(笑)」
テメ、京都風情が・・・
ま、今日のところはそーゆーことにしといてやる。
「黄色い目の魚」
ヒロインが放課後、校庭に座り、運動部の連中を見ている。
サッカー部、ラグビー部、陸上部、野球部・・・
なんだかワクワクしながら・・・。
以下、ちょっと引用すると、
『木島を見る。紅白戦が始まるところ。
進藤くんと罵りあいをしている。笑いながら。
幸せそうだな。よかったな。
中略
木島が大きく足を振り上げて、
ボールを遠くに蹴る。
ああ、すっげえキレイ。
私の胸のもやもやもスパーンと蹴り飛ばしてくれるみたいだ。』
木島ってのが主人公で、ゴールキーパーだ。
ボールが描く放物線を“すっげえキレイ”と表現する作者がいいすね。
作者の佐藤多佳子はサッカーが好きなんだと思う。
たまり場の店の名が「ハーフタイム」だったり、
最後に出てくる犬の名前が、「ラウル」だったりね。
とりあえず、木島は高校2年でサッカー部を引退した。
そして、444ページある文庫の、400ページを越えたあたりで、
ヒロインに「俺、村田が好きだよ」と打ち明けた。
このスーパーな傑作の続編は・・・
角田光代によれば、あるらしい。いいぞっ!
修理に出していた店で、大泣きしたらしい^^
一晩寝ている間に、盛大にガソリンを垂れ流したそうだ。
お店のかあちゃん、朝起きると
店内に立ち込めるガソリンの臭いに、卒倒しそうになったそうだ。
なんかの拍子で引火してたら・・・
間接的な放火犯、と呼んでくれ。
えー、昨日のつづきだ。
「黄色い目の魚」の文庫版の解説を、角田光代が書いている。
ラスト2行を引用しちゃおう・・・
“なんて強い魔法、なんてすごい小説なんだろう。
出会えてよかった、みのりにも、悟にも、このものすごい小説にも。”
小説にしろ映画にしろ、高校生を主人公にしたものは、
どんな秀作にも、ある種の“違和感”が付きまとうのがフツーだ。
「今どきの高校生、こんなこと言わねーだろ」 みたいな。
ちょっとしたセリフに、冷めてしまうことがよくある。
そりゃそうで、今どきの高校生を、30,40台の作家が書くんだから、
ハナから無理があるのは当然だ。
ジェネレーション・ギャップ ってやつだ。
ところが「黄色い目の魚」は、その“違和感”があまりない。
少なくても、気になってしょうがない、場面やセリフはない。
これだけでも画期的なのだが、
主人公が“絵の好きなサッカー小僧”ってのが、ますます画期的だ。
あらら、オレのこと?
と、アホな勘違いしても、しょうがないでしょ(笑)
で、このサッカーのシーンの素晴らしいことといったら!
佐藤多佳子、恐るべし!
・・・つづく