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無差別攻撃の深層

2022年08月31日 | 個人的なメモ帳

本日は山日新聞からコピペ。

わざと難民を作り出し、人々を武器として利用する冷血。
怖ろしい世界になった。

 

難民を「武器」に欧州分断

    グレンコ・アンドリー  国際政治学者(ウクライナ)


 ウクライナ侵攻後、病院や学校などの民間施設を執拗に攻撃するプーチン・ロシア。
人口密集地で殺傷力の高い兵器を使用しているとも指摘される。
人口4千万を擁する「兄弟国」に残虐行為を繰り返す狙いは何なのか。
「レコンキスタ(失地回復)の時代」
ウクライナの気鋭の国際政治学者グレンコ・アンドリーに無差別攻撃の深層を聞く。


ロシアの民間人攻撃は恐怖をあおり、戦意を喪失させるのが狙いか?

プーチン大統領と同じくソ連国家保安委員会(KGB)の出身で、
腹心と言われるパトルシェフ安全保障会議書記が昨年11月、
ロシアの有力週刊誌に対し、こんな発言をしている。
ウクライナで戦争が起きたら『何百万もの人が出国し、他の土地へ避難するだろう』と。
『他の土地』とは欧州のことだ。『大量の難民が押し寄せてもいいのか』と暗に脅していた。

 大勢の外国人が流れ込み、長い間滞在すると、三つのリスクが欧州連合(EU)で持ち上がる。
まず、受け入れ国の住民との摩擦を生み、社会が不安定化し、政治的に混乱する。

 次に、EUの内部に不協和音が生じる。27の加盟国は広さも人口も、経済力も異なる。
どの国が、どの程度、避難してきた人々の面倒を見るのか。国同士の不信感が頭をもたげてくる。

 そして最後に、住民の不安や政治的混乱、国家間の不信に乗じ、外国人を嫌悪したり、
移民や難民に寛容な政策を非難したりする右翼ポピュリストが支持を伸ばし、影響力を拡大する。
彼らの主張が過激でも、それ自体を取り締まることはできない。言論の自由があるからだ。
難民危機は民主主義の弱点を突き、欧州をかく乱し、プーチンにとって有利に働く。

難民を戦争の「武器」として使っているとしたら驚きだ。

 そうしたケースは実はウクライナが初めてではない。
反米・親ロシアのアサド大統領を支援するため、
2015年9月末にシリア内戦に軍事介入した際も、同じ手口が使われた。

 あの時も民間人が狙われ、ロシア軍機が住宅地を空爆した。
戦禍を逃れた人々は自由で安全な土地を目指す。
15年だけで数十万のシリア人が欧州に押し寄せ、難民危機を引き起こした。

 確かに、最大の介入目的はアサド体制の維持だった。
シリアにはロシア海軍や空軍の拠点がある。アサド政権が倒れてしまったら、
中東のど真ん中に築いた貴重な足場が失われる。

 しかし、アサドという独裁者を守るだけなら、反政府軍を狙えばいい。
住宅地への無差別攻撃を繰り返し、民間人を殺傷して、膨大な数の人々を国外に追いやる必要など全くない。
だから、介入の前か後かは分からないが、
ロシアはある時点で戦災者を使って西側を弱体化できることに気づき、
大量の難民を欧州に送り込む謀略工作に乗り出したとみている。

難民危機は「反移民」ポピュリズムを醸成し、欧州を分断した。

 右翼勢力が大きな役割を果たした。
フランスの極右『国民連合』(旧国民戦線)、『英独立党』や
『ドイツのための選択肢』、イタリアの『同盟』などが代表例だ。
いずれも反移民・反難民、反EU・グローバリズム、反米などを掲げている。
難民をめぐり『血税をなぜ部外者に費やすのか』『人件費が安く仕事を奪う』『治安を乱す』などと訴えた。

 その結果、危機のさなかにシリア難民を受け入れたドイツのメルケル前首相の信頼は傷つき、
移民や難民の権利を尊重するEUへの懐疑論が高まり、英国は16年にEU離脱を決めた。
見逃せないのは、ロシアが移民大国である事実に目をつぶり、
プーチンの反米プロパガンダや愛国ナショナリストとしての姿勢に共感し、礼賛する右翼が大勢いることだ。

 ロシア側もよく分かっているから、反米右翼の支持を広げ、欧州の分裂を促す巧妙な情報工作を仕掛けている。
英政府や議会によると、サイバー攻撃など政界への介入は常態化している。

 金銭的支援が行われている可能性もある。
極右は本国の金融機関から相手にされないことが多い。
国民戦線はプーチン政権と関係が取りざたされるロシア系の銀行から10億円超える融資を受けていた。
ウクライナ侵攻に到る10年近くの間、地下水脈は勢いを増してきたのだ。


                      聞き手 共同通信編集委員・川北省吾




追加:
浸食された開放精神

「彼らに手を差し伸べたことを謝罪しなければならないのなら、ドイツは私の国でなない」

2015年の欧州難民危機の際、シリア難民に門戸を開き、
右翼から激しく批判された当時のメルケル・ドイツ首相は即座に反論した。

1954年、キリスト教牧師の家に生まれたメルケル氏。
秘密警察が目を光らせ、密告がはびこる冷戦下の東ドイツで
「私の人生は形づくられました」(カティ・マートン著 「メルケル」)

門戸開放は政治を超えた決断だったろう。
恐怖と欠乏から逃れてきた人々に寄り添うことは、
かつて「壁」の向こうで憧れた「西側」の価値を守る営為に違いない。

グレンコ・アンドリーによると、
プーチン大統領のロシアはその価値の弱体化を狙う。
膨大な難民を発生させ、
外国人排斥の右翼ポピュリズムに火をつけ、自由と寛容の心を押し殺す・・・。

フランスの極右「国民連合」在籍時にルペン党首の外交顧問を務め、
クレムリンにも人脈を持つエイメリック・ショープラード欧州連合議員は
「ルペンを支えることはロシアの利益だ」と米紙に語る。

トランプ前米大統領がプーチンを称賛した時、
メルケル氏は大きなショックを受け、長く痛手が尾を引いたという。
レコンキスタ(失地回復)の時代の中で、メルケルの精神は内側からも浸食されている。



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