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北朝鮮,核実験?

2006-10-10 | 北朝鮮情勢+核関連


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北 「核実験実施に成功」
北朝鮮は9日、朝鮮中央通信社の報道を通じて、核実験を成功裡に行なったと発表した。
聯合ニュース(韓国語)
http://www.yonhapnews.co.kr/news/20061009/030000000020061009115519K7.html
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現時点では,(15時)本当に実験を行ったのかどうか確認できていませんが,大切なのは,北朝鮮が「実験を行った」と発表したこと,そして,各国が「実験があった」ことにするかどうか,ということでしょう。



狙いは?


①当然,アメリカとの2国間交渉で譲歩を引き出すこと

彼らはロシアンルーレットをやっているわけです。これではっきりしましたが,この核実験で効果がないのなら,次は軍部による核実験(軍の核配備),小型実験,テポドン再実験,弾頭核ミサイル配備など,どんどんエスカレートした対応をしてくるはずです

しかし,これで国際社会,特に日米は明らかに態度を硬化させてきます。
ますます経済的な締め付けを強めるでしょう。さらに,日本は軍事的プレゼンスを高めるはずです。ひょっとしたら,アメリカは北朝鮮に攻撃するかもしれません。

そうした危険性がありながら,核配備を進める理由があります。

高麗連邦(United of Korea,UNKO)」です。



②UNKO(高麗連邦の成立)

既に北朝鮮は「コリア連邦」の創設を提唱しています。6月の金大中との会談では「United of Korea,高麗連邦,略してUNKO」を大々的にぶちあげる予定だったみたいですです。

これは伊達や酔狂ではありません。現在の韓国の状況をウォッチしていれば,これが冗談でないことは多くの人が感じることでしょう。

特に,ここ数ヶ月の急激な米韓関係の冷え込みが北朝鮮に自信を植え付けているのでしょう。北朝鮮は韓国と戦争をしたいわけではありません。負けることが確実で,それ以上に(自分たちのになるはずの)車やビルや工場を破壊するのはもったいないわけです。しかし,金大中,ノムヒョンのおかげでなんだか民族融和のいい感じが出てきた。うっとおしい米軍は撤退するようだ。ノムヒョンの任期はあと1年半,今しかない,というわけです。

アメリカのアチソンラインが北朝鮮の南進を呼びました。60年後やり方はもう少しスマートになりました。韓米軍事統制権移譲問題が北朝鮮の核実験を呼んだわけです。



核がもたらすもの


①韓国軍との軍事バランスの逆転

②アメリカの抑止
北朝鮮は現状では韓国との戦争はできません。あくまで平和的な(勿論北朝鮮主導の)統一を目指すでしょう。誰からも文句はいわれませんから。「戦わずして勝つ」です。「平和的な」統一であれば他国がどうこういう筋合いのものではありませんから。

しかし,ことと場合によっては半島有事の可能性があります。

北朝鮮は核弾頭弾ミサイルの完成を急ぐでしょう。これはアメリカを脅すためです。アメリカに届く核ミサイルが完成すれば,アメリカは北朝鮮を真剣に考えざるを得ない。要するに,半島有事の際にアメリカが手出ししにくくする。

そもそも,アメリカは2正面作戦を嫌がっているし,半島にメリットを感じていません。というか,既に半島がどうなってもかまわない,とさえ思い始めています。最終ラインは朝鮮海峡まで後退し始めています。核の脅威と引き換えにアメリカが韓国を応援するかどうか。そういう疑念を周囲にまきちらすだけでも相当な効果が期待できます。

韓国の手を一つ一つつぶしているわけです。実際に半島有事が起こるかどうかは別として,アメリカが手出ししてくる可能性を極力低める。韓国はくもの巣にからめとられた虫のようです。

ただ,核はノムヒョンが言うように自国防衛のためですが,韓国との軍事バランスがひっくり返ったことに対して,韓国人はどう感じているのでしょうか。エンコリ見ると,なんだかのんびりしているようなのですが。おそらく,彼らは核が使用されたときに初めて脅威を感じるのでしょう。

 




●中国の出方●


昨日,今日と日中韓首脳会談が行われました。そのタイミングでぶつけてきたことは偶然ではありません。日韓首脳会談は午後から。実験は午前。

おそらく,中国とは話がついているのではないでしょうか。これは,今後の中国の出方を見ないとわかりません。勿論,非難声明は出します。しかし,日米に擦り寄るような効果的な制裁を行うでしょうか。多分,行わないでしょう。

現在,北朝鮮は中国の植民地化が進んでいます。鉱山や港が中国の管理下に置かれているそうですし,民族の聖地である白頭山を中国のものとしようとしていますが,北朝鮮がこれに対して反対を唱えている,という話が出てきません。北朝鮮の石油は中国から送られてきます。食料やいろいろな工業製品も中国製が目立っているそうです。

北朝鮮と中国はずぶずぶである,と捉えたほうが自然です。

中国は北朝鮮が崩壊したり戦争したりするのが困るわけです。東北地方の動乱につながりますし,中国にとって北朝鮮の軍事的経済的メリットは減っていないようです。

しかし,それでも核の脅威を越えて価値のあるものは何か。

半島の属国化
しかないでしょう。UNKOが成立すれば,半島は中国の物。北朝鮮が得た韓国の車やKTXや工場は中国のものです。もっとも,韓国の技術レベルなら中国は数年もすれば追いつきますので,多分主に地政学的なメリットしか韓国からは得られないのではないかと思います。

繰り返しますが,中国が効果的な制裁を行わない場合,北朝鮮と中国はつるんでます。


●日本●


核をもったまま,半島統一,ということになれば,半島は明らかな日本の敵になります。各種経済援助を断る理由になりますし,日本に緊張感が走ってひょっとしたら核配備に向かうかもしれません。日本という国は危機には非常に敏感ですので,今後の日本外交と国内世論の変化に注目です。



韓国


書いてて気が付きましたが,韓国のプレゼンス,すごく低いですね。当事者なのに,当事者能力を失っているように見えます。

一部の韓国人は「統一されれば北朝鮮の核兵器が統一韓国の核兵器になる」と主張している人もいます。ひょっとすると,かなり多くの人に共有する感覚かもしれません。



今後


北朝鮮がやろうとしていることは,狂人のふり,です。まさしく,「泣く子は餅を多くもらえる」の究極的な形です。核は戦争用のものではありません。あくまで政治用のものあり,自国防衛用のものです。絶対に彼らは使用しません。しかし,ひょっとして気が狂っていたら,と思わせるのが手なのです。

しかし,半島の行方がどうであろうと,北朝鮮が破滅に向かっているのは間違いありません。

国際社会の信頼喪失
日米との乖離による経済的損失(韓国)

は多大なものがあるでしょう。

また,国連決議を受けて,アメリカが軍事行動に出るかもしれません。まさしく,ロシアンルーレットです。

そして,金正日死亡後あたりに,中国の半島属国化が完成するのではないでしょうか。いずれにせよ,半島は先が長くないですね。

 

 

<ミニ知識>

広島型原子爆弾がTNT10ktであるのに対して,今回の実験規模はその数十分の一らしい。

ということは,

①実験は失敗した
②核実験ではなく,大量の通常爆発による偽装だった
③もっと高度な実験を行った

上記の③ですが,核実験にはホットラボとコールドラボの2種類があるそうです。

ホット・ラボは、通常私たちが考える核実験のこと。つまり核爆弾を爆破させること。
コールド・ラボは核を搭載しないで周りの装置だけ、起動させてそれから得られたデータを理論値と比較して成功・失敗を判断する実験方法。基本的にココで成功したら100%ホット・ラボも成功する。優れた観測能力を持ってないと出来ない実験。周囲に気づかれずに実験を繰り返すことができるため,ホット・ラボよりも危険視される。

この③を行った可能性があるかも,ということです。

また,この実験規模ですと,戦術核レベルですが,核の小型化は非常に難しく,中国でさえまだ実用化できていないそうです。



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