タイ国経済概況(2024年6月)


1.景気動向
(1)タイ商務省が5月3日に発表した2024年4月の消費者物価指数(CPI)は108.16となり、前年同月比+0.19%であった。この数値は7カ月ぶりのプラスであり、エネルギー関連の値下がりの影響から一旦抑制されていた物価上昇圧力が再び高まったことを示唆している。前年の一時的な電気代値下げ政策の効果が薄れ、インフレ基調への回帰が窺える。

(2)工業連盟(FTI)が5月23日に発表した4月の自動車生産台数は、前年同月比▲11.0%の10.5万台だった。内訳は国内向けが同▲34.2%の3.3万台、輸出向けが同+5.9%の7.2万台。新型コロナ前の2019年4月の生産台数15.0万台を下回った。また、4月の国内新車販売台数は同▲21.5%の4.7万台で、輸出台数は同▲12.2%の7.0万台。新型コロナ前の2019年4月の販売台数が8.6万台、輸出台数が6.7万台であり、販売台数は新型コロナ前の水準を下回った。

(3)FTIが5月23日に発表した4月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲4.4%の16.2万台で、10ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年4月の生産台数は16.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲2.9%の13.6万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲11.5%の2.6万台。また、4月の国内販売台数は同+2.6%の12.7万台、輸出台数は同▲19.6%の2.6万台だった。2019年4月の販売台数が12.0万台、輸出台数が2.4万台であり、販売台数と輸出台数のいずれも新型コロナ前の水準を上回った。

(4)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)の5月20日発表によると、2024年第1四半期の経済成長率は、前年同期比+1.5%であり、東南アジア主要国で最も低い伸び率となった。内訳では、サービス業が観光需要の持ち直しで+11.8%(宿泊・サービス)と好調だったが、製造業は▲3%強、農業も▲3.5%と低迷した。輸出は▲0.2%、自動車生産・販売も不振が続いている。新政権発足後の2024年度予算執行が進むなか、民間支出は増えたものの公共投資が▲27.7%となるなど、財政出動の遅れが経済に影響したとみられる。タイ経済は徐々に持ち直しつつあるものの、製造業の停滞、輸出の低迷、公共投資の減少などが重しとなり、力強い回復には至っていない状況にある。


2. 投資動向
(1)5月2日付のタイ投資委員会(BOI)の発表によると、2024年第1四半期の投資申請は724件で、投資総額は前年同期比+31%の2,282億バーツだった。産業別1位は投資総額772億バーツのエレクトロニクスおよび電気製品で、2位は213億バーツの自動車および部品、3位は177億バーツの石油化学および化学品だった。投資申請のうちFDIは前年同期比+16%の1,693億バーツ(460件)となり、申請総額の64%を占めた。金額で国別1位は電子回路基板(PCB)の製造で大規模投資があった総額425億バーツのシンガポール、2位は347億バーツの中国、3位は266億バーツの香港だった。日本は件数では4位、金額では6位だった。また、投資申請のうち産業高度化措置に基づく投資額は前年同期比+28%の5,713百万バーツだった。

(2)5月30日付のBOIの発表によると、現在、56,000人以上の外国人がタイでの就労と滞在を許可されている。そのうちスマートビザによるものが2,170人、タイ長期居住者プログラム(LTRビザ)によるものが4,000人以上となっている。スマートビザは、技術やイノベーションを原動力とする産業やスタートアップを支援し、高度人材を誘致するためのビザである。承認件数の多い国は、米国、ロシア、英国、日本、ドイツとなっている。LTRビザは、タイに有望な外国人を誘致するため、個人所得税率を17%とする等の恩典を付与するものである。国別の承認件数は、米国が791件で最多、次いでロシア(479件)、英国(332件)、中国(277件)、ドイツ(236件)、日本(207件)、フランス(198件)となっている。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の4月末時点で金融機関預金残高は25兆2,115億バーツ(前年同月比+2.2%)、貸金残高は30兆8,834億バーツ(同+2.3%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。


4. 政治動向、その他
(1)タイの選挙管理委員会は、6月に実施される上院議員選挙において、4万8,226人が立候補を届け出たと発表した。選挙管理委員会は、10万人以上が立候補すると予想していたものの、その半数に満たなかったとバンコクポストが5月25日に報じた。立候補者が予想を大幅に下回った理由として、立候補の条件が厳しいことや選挙の仕組みが複雑であることが挙げられている。立候補届は20日から24日に受け付けられ、内務省地方行政局によると、4万8,226人のうち4万8,117人が全ての条件を満たしていた。一部の条件を満たしていない候補者については、29日までに再審査が行われる予定。上院の定数は200となり、250から削減される。選出方法も前回の任命制から変更され、20の専門分野グループに分けて立候補を受け付け、郡、都・県、国レベルの3段階で候補者による互選を行い、最終的に20のグループからそれぞれ10人ずつ計200人を選出。立候補届を確認した結果、多くの選挙区の専門分野グループで候補者不足が判明している。7つの選挙区では1つのグループしか候補者がおらず、2つの選挙区では候補者がゼロだった。サワン事務局長は、立候補者不足の選挙区があっても、選挙は問題なく実施できると説明している。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
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タイ人に人気のある大学トップ20(2024年)


タイ全国の大学ランキングが Unirank のサイトで公開されました。

Unirank の選考基準を満たすタイの大学は123校あって、その選考基準は次の3つ。

・タイの高等教育関連機関によって認定・認可されていること
・少なくとも3年間の履修期間があって学士号、大学院修士号または博士号を提供していること
・主に従来の非リモート形式の教育でコースを提供していること


具体的な調査方法は公開情報がないので分かりませんが、人気ランキングです。


タイ人に人気のある大学トップ20校は下記の通り。

尚、Unirank の Web サイトでは調査対象123全校の順位がアップされている。


【上位20校】

1. マヒドン大学

2. チュラロンコン大学

3. チェンマイ大学

4. カセサート大学

5. プリンスオブソンクラー大学

6. コンケン大学

7. タマサート大学

8. アジア工科大学

9. スアンスナンダラチャパット大学

10. キングモンクット工科大学トンブリ校

11. ラムカムヘン大学

12. キングモンクット工科大学ラーカバン校

13. シーナカリンウィロート大学

14. ブラパ大学

15. ナレースアン大学

16. シラパコーン大学

17. アサンプション大学

18. スラナリー工科大学

19. シリパトゥム大学

20. キングモンクット工科大学北バンコク校

[Source]
https://www.4icu.org/th/
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タイ国経済概況(2024年5月)

1.景気動向
(1)タイ商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)の発表によると、2024年3月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比+2.1%で112.4となった。2024年第一四半期の上昇率は、前年同期比+1.2%だった。PPI指数は2015年を100として基準にしており、3ヵ月連続の上昇となった。2024年3月の品目別では、「農業・水産」が前年同月比+5.9%「工業製品」が同+2.4%と好調。マイナスとなった主な項目は「鉱業」で同▲13.7%だった。鉱業のうち、「原油・天然ガス」が同▲16.2%、「鉱石」が同▲9.9%。「コンピューター・電子機器」は同▲1.7%だった。

(2)工業連盟(FTI)が4月25日に発表した3月の自動車生産台数は、前年同月比▲23.1%の13.8万台だった。内訳は国内向けが同▲41.0%の4.7万台、輸出向けが同▲9.1%の9.2万台。新型コロナ前の2019年3月の生産台数19.9万台を下回った。また、3月の国内新車販売台数は同▲29.8%の5.6万台で、輸出台数は同▲3.3%の9.5万台。新型コロナ前の2019年3月の販売台数が10.3万台、輸出台数が11.8万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を下回った。

(3)FTIが4月25日に発表した3月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲4.0%の21.9万台で、9ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年3月の生産台数は23.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲9.4%の18.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+31.3%の4.0万台。また、3月の国内販売台数は同▲18.7%の15.0万台、輸出台数は同+5.7%の4.6万台だった。2019年3月の販売台数が16.8万台、輸出台数が3.4万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)2024年第1四半期の農業部門の国内総生産(GDP)は前年比▲4.1%だった。タイ農業・協同組合省農業経済事務局(OAE)によると、エルニーニョ現象によって雨不足、貯水量不足となったことと、酷暑の影響で主要作物の収穫量が▲6.4%となったことが要因。主要作物のコメ、キャッサバ、サトウキビ、天然ゴム、アブラヤシ、ロンガン(竜眼)、ドリアン、マンゴスチン、ランブータン等が収穫量減少となった。一方でOAEは、通年の農業のGDP成長率については生産工程の効率化や農産品加工の推進を進める予定で、+0.7~1.7%の予想を据え置いた。
また、畜産は+1.5%、漁業は+0.5%、林業は+1.8%だった。畜産は国内外の需要回復を受けて鶏肉と豚肉の生産量が増えた。漁業は養殖場の管理体制改善でエビの生産が増え、燃油価格の下落で遠洋漁業も拡大した結果、微増。


2. 投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は4月10日、低所得者向け住宅事業への投資奨励を開始したことを明らかにした。この措置は、低所得者層が自分の住居を持つことを奨励する政府の方針に沿って、政府の不動産部門を通じた景気刺激策の一環である。恩典内容は法人税の3年間免除で、プロジェクトの共通インフラ(道路、公共施設等)を開発する費用分のみが控除の対象となる(建物工事費用は対象外)。恩典の申請にあたっては以下の条件が定められている。一戸あたり150万バーツを超えない価格で個人へ販売されること。使用可能な面積が70平方メートル以上でなければならず、コンドミニアム建設の場合は、一戸あたり24平方メートル以上であること。全体への監視カメラ設置、警備員2人以上の24時間常駐、共有スペース、適切な割合の駐車スペース等、標準的な設備が整っていること。これらの条件に当てはまるかどうか、恩典申請前にタイ政府住宅銀行(GHB)の承認を得なければならない。申請受付は2025年12月まで。

(2)5月2日のBOIの発表によると、2024年1~3月のBOIへの新規投資申請額は前年同期比+31%の2,282億バーツ、申請件数は同+94%の724件だった。うちFDIは、金額が同+16%の1,693億バーツ、件数が同+130%の460件だった。国別では、首位がシンガポールの425億バーツで、中国の347億バーツ、香港の266億バーツ、台湾の200億バーツ、オーストラリアの172億バーツが続いた。日本はトップ5に入っていない。産業別では、首位が電気・電子の申請額772億バーツ、2位が自動車・部品の213億バーツだった。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の3月末時点で金融機関預金残高は25兆2,180億バーツ(前年同月比+1.9%)、貸金残高は30兆4,904億バーツ(同+1.2%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。


4. 政治動向、その他
(1)タイ政府は、上院議員250人の任期が5月10日に満了し、5月13日に選挙日程の公示、立候補者の受付が開始される上院議員選出法を4月23日に承認した。当上院議員選挙は、2017年憲法の規定により定員が現在の250人から200人に減り、20の専門分野からそれぞれ10人が選出される流れ。被選挙権の条件は40歳以上、10年以上専門分野の職業に従事していたことが求められる。地区レベル・県レベル・全国レベルと3回の選出が行われ、各段階で、候補者が互いに投票し合う方式をとる。最終当選者は7月2日に開示される予定。

(2)4月25日の観光・スポーツ省の発表によると、2024年3月の訪タイ外国人旅行者は前年同月比+31.4%の298.3万人だった。国別にみると、中国が57.3万人(同+112.5%)と最多で、マレーシアの34.6万人(同▲4.5%)、ロシアの19.9万人(同+11.9%)と続いた。日本は9位で、9.3万人(同+54.0%)だった。また、観光・スポーツ相のスダワン氏は、ソンクラーンを含む4月1~21日の観光収入が約1,403億バーツに上ったと発表した。同省の事前予想(1,320億バーツ)を上回る数字だった。同期間の外国人旅行者数は前年同期比+37.5%の193万人だった。


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タイ国経済概況(2024年4月)

1.景気動向
(1)タイ商工会議所大学(UTCC)の発表によると、2024年2月の消費者信頼感指数は63.8(100以上が好感)で7ヵ月連続の上昇となった。新型コロナ発生後の2020年3月以降で1番高い結果だった。項目別でも「経済全般」「雇用」「将来の収入」すべての項目が7ヵ月連続で上昇した。また、同時調査された自動車の買い時指数、不動産の買い時指数も7ヵ月連続で改善。

(2)タイ工業連盟(FTI)が3月26日に発表した2月の自動車生産台数は、前年同月比▲19.3%の13.4万台だった。内訳は国内向けが同▲33.0%の4.7万台、輸出向けが同▲9.3%の8.7万台。新型コロナ前の2019年2月の生産台数18.3万台を下回った。また、2月の国内新車販売台数は同▲26.2%の5.3万台で、輸出台数は同+0.2%の8.9万台。新型コロナ前の2019年2月の販売台数が8.2万台、輸出台数が10.1万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を下回った。

(3)FTIが3月26日に発表した2月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲1.7%の21.6万台で、8ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年2月の生産台数は21.8万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲6.6%の17.6万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+27.7%の4.0万台。また、2月の国内販売台数は同▲11.8%の14.4万台、輸出台数は同▲1.3%の4.4万台だった。2019年2月の販売台数が14.5万台、輸出台数が3.6万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は3月11日、EV3.0およびEV3.5措置において恩典対象となる電気自動車メーカーに対し、物品税局の指定期間内にタイ国内で製造した主要部品やバッテリーを使用しなければならないという条件を定めた。主要部品は、駆動モーター、バッテリーマネージメントシステム(BMS)、運転制御システム(DCU)、インバーター、減速機またはエアコンのコンプレッサー等。また、関税フリーゾーンまたはフリーゾーン(FreeZone)に立地する国内販売向けの電気自動車メーカーは、品質検査、主要部品の製造等について、工業省指定の生産プロセスを満たし、アセアンで製造された部品(RegionalValueContent)を全部品の40%以上、使用することと条件を定めた。これにより、タイ国内部品メーカーがEV産業のサプライチェーンへ参入することを重視していることが明らかになった。

(2)BOIは3月28日、大規模な国際的コンサートやスポーツイベント、フェスティバルを誘致するための優遇措置を承認した。これは、観光ハブとしてのタイの地位を強化し、観光およびエンターテインメント部門を新型コロナ禍の落ち込みから完全に回復させるという政府のビジョンを支援するものである。対象は、1億バーツ以上の投資または経費を必要とする大規模な国際イベントの主催者であり、機器の輸入関税免除、必要な外国人スタッフの一時的な入国を容易にするという恩典が与えられる。申請者は、申請するプロジェクトを組織する権利を有していることの証明が必要である。なお、この措置は会議や見本市の開催には適用されない。また、同日にプリント基板(PCB)メーカーに付与される優遇措置について、サプライチェーン全体をカバーするよう業種の定義を改訂することも承認された。2023年、BOIは約40社のPCBプロジェクトへの投資奨励措置を承認し、その投資総額は約960億バーツに上った。これらプロジェクトは、中国、台湾、日本を拠点とする企業がPCB生産拠点をタイに移転するもので、タイ企業からも申請があった。

(3)BOIのナリット長官は3月26日、セター首相が就任以降に訪問した14ヵ国・地域での投資誘致活動により、少なくとも5,580億バーツの投資が見込めると発表した。部門別では、デジタル分野に2,500億バーツ、電気自動車(EV)と部品に2,100億バーツ、電子・半導体に950億バーツ、物流に30億バーツが見込まれるとのこと。デジタル分野では、年内にデータセンターやクラウドサービスに2社が大型投資をすると明かした。同氏は、これまでの投資誘致政策の成果として、EV支援策を推進した結果、大手中国EVメーカー(比亜迪(BYD)、広汽埃安新能源汽車(AION)等)がタイ進出したと述べた。日本の大手自動車メーカーもEV分野にさらなる投資を予定しており、政府は今後、米国や欧州のEVメーカーやバッテリーセルメーカーと協議を進める意向を示した。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の2月末時点で金融機関預金残高は25兆1,268億バーツ(前年同月比+2.0%)、貸金残高は30兆8,398億バーツ(同+2.5%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。


4. 政治動向、その他
(1)3月18日、政府は2034年開港予定の北部パヤオ県の新空港建設に22億バーツを投資予定だと発表した。同空港はパヤオ県中心部から18キロメートルほど離れたドークカムタイ郡に建設予定で、敷地面積は2,813ライ(約4.5平方キロメートル)。セター首相は開発に先がけて同県を訪問し、北部地方の観光促進に対して意欲を示した。また、タイ空港公社(AOT)が発表した2024年2月の主要6空港利用者数は、前年同月比+28.6%の1,068.8万人だった。国際線が同+50.2%の667.2万人で、多くの外国人観光客がタイを訪問した。国内線は同+3.8%の401.7万人だった。

(2)2024年3月26日にタイ賃金委員会は、パタヤやプーケット等の主要観光地10ヵ所の4つ星以上および従業員50人以上のホテルで働く従業員の最低日給を1日400バーツに引き上げると発表。4月2日の閣議で承認され、4月13日から施行予定。多くの観光客が見込めるソンクラン休みからの施行となった。今回の引き上げ前の最低賃金(今年1月の引き上げ後)は地域により330~370バーツ。


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タイ国経済概況(2024年3月)

1.景気動向
(1)国家経済社会開発委員会(NESDC)が2月19日に発表した速報値によると、2023年通年の経済成長率は前年比+1.9%で2022年の同+2.6%から減速。観光客数の回復がプラス要因だったが、輸出不振が響いた。1人当たりのGDPは7,332米ドルと、前年の7,094米ドルから伸びた。NESDCは2024年について前年比+2.7~+3.7%と予測していたが、今発表で+2.2~3.2%に下方修正した。また、タイ国家統計局によると、2023年第4四半期の失業率は0.8%で、2015年第4四半期以来8年ぶりの低さとなった。これは新型コロナ前の水準(2019年第4四半期は0.98%)よりもさらに低い。15歳以上の労働人口4,067万人のうち最多業種は商業・サービスで、全体の47.3%の1,925万人だった。

(2)エネルギー省の発表によると、2023年のタイの二酸化炭素(CO2)排出量は前年比▲2.4%の2億4,400万トンだった。タイ環境研究所(TEI)のウィジャイ氏はこの結果を受け、工業部門で新技術を導入していることが要因の一つとの見解を示した。そして、重要なことはどの燃料を使うかであり、例えEVが普及しても、その電力が石炭に由来していればCO2は増えると指摘。2023年の燃料別の排出量は石油が1億500万トン(前年比▲1.1%)、石炭が5,900万トン(同▲15%)であり、石炭の使用量が大きく減っていることが読み取れる。同氏はまた、タイは地球温暖化の影響を受けやすい国の上位10位に入るとも指摘。タイ政府は2050年までにカーボンニュートラル、2060年までにネットゼロを目指す。

(3)タイ工業連盟(FTI)が2月22日に発表した1月の自動車生産台数は、前年同月比▲12.5%の14.2万台だった。内訳は国内向けが同▲33.6%の4.7万台、輸出向けが同+3.9%の9.5万台。新型コロナ前の2019年1月の生産台数17.9万台を下回った。また、1月の国内新車販売台数は同▲16.4%の5.5万台で、輸出台数は同▲0.1%の8.7万台。新型コロナ前の2019年1月の販売台数が7.8万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが2月22日に発表した1月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲5.6%の22.5万台で、7ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年1月の生産台数は21.8万台であり、新型コロナ前の水準を上回った。内訳は完成車(CBU)が同▲8.3%の17.8万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+6.5%の4.7万台。また、1月の国内販売台数は同▲3.3%の15.4万台、輸出台数は同▲16.4%の3.5万台だった。2019年1月の販売台数が14.9万台、輸出台数が2.6万台であり、ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は2月6日、2023年の投資奨励申請件数が前年比+16%の2,307件、投資金が同+43%の8,483.18億バーツに達し、いずれも直近5年で最高値であることを発表した。世界中の大企業が安定した基盤がある投資先を探している昨今、タイ政府の積極的な投資促進政策により投資先としてタイが選ばれた形。投資金額の多い業種順で、電気電子機器が3,421.49億バーツと全体の40%を占めて1位、次いで自動車および部品が822.82億バーツで全体の10%、農業・食品が744.16億バーツで全体の9%と続いている。

(2)タイ国家電気自動車政策委員会(EV委員会)は2月21日、企業が商用として使用する大型トラックやバスを対象に、バッテリー式電気自動車(BEV)に移行した場合、奨励金を付与すること、またEVバッテリーセル製造業者を対象に助成金を付与することを承認した。タイ投資委員会長官のナリット氏は、この措置はいわゆるEV3.0およびEV3.5一連の措置を完了させるものであり、ネットゼロ目標達成を支援できると述べた。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の1月末時点で金融機関預金残高は24兆9,879億バーツ(前年同月比+2.1%)、貸金残高は30兆6,871億バーツ(同+2.6%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。


4. 政治動向、その他
(1)2月15日、上院議員選出に関する官報公示がなされた。官報によると、国家平和秩序評議会(NCPO)が任命した250人の上院議員の任期が2024年5月に満了し、同月に選挙が行われる予定。また、2017年憲法の規定により上院議員の定数は現在の250人から200人に削減される。選挙では20の専門分野からそれぞれ10人が選出される。出馬条件は40歳以上で、10年以上専門分野の職業に従事していた人。最初は市町村レベルの選挙を実施し、その後県レベル、全国レベルと候補者が絞られていく仕組み。各段階で、候補者が互いに投票し合う方式だ。最終的には各専門分野ごとに上位10人が選ばれ、合計200人を構成する。

(2)2月26日の観光・スポーツ省の発表によると、2024年1月の訪タイ外国人旅行者は前年同月比+41.5%の303.5万人だった。国別にみると、中国が同+453.7%の50.9万人と最多で、マレーシアの同+11.4%の32.2万人、韓国の同+31.3%の22.3万人と続いた。日本は12位で、同+60.2%の7.4万人だった。また、観光・スポーツ相のスダワン氏は、今年の訪タイインド人旅行者数の目標を200万人に引き上げるようタイ国政府観光庁(TAT)に通知。現在タイ政府はインド国籍保有者に対し、昨年11月10日から今年5月10日までの半年間、一度の滞在につき30日間ビザ免除する観光誘致策を実施している。スダワン氏はまた、インド大手航空会社・旅行会社と面談し、航空便の増加等を要請した。


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タイ国経済概況(2024年2月)

1.景気動向
(1)タイ商務省の発表によれば、2023年通年の輸出額は前年比▲1.0%の2,845.6億米ドル、輸入額は同▲3.8%の2,897.5億米ドルで、貿易収支は51.9億米ドルの赤字となった。品目別輸出額は、自動車・同部品が同+8.5%(411.2億米ドル)、電子製品・同部品が同+2.6%(462.7億米ドル)、農産物・加工品は同▲0.7%(492.0億米ドル)、そのうち米は同+29.3%(51.4億米ドル)、天然ゴムは同▲29.2%(36.5億米ドル)だった。国・地域別輸出額は、首位が米国で前年比+2.8%の488.7億米ドル、次いで中国が同▲0.8%の341.7億米ドル、日本が同+0.1%の246.7億米ドルだった。また、商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)は、2024年の輸出額目標を前年比+1.99%の約2,900億米ドルにすると発表した。

(2)盤谷日本人商工会議所(JCC)は1月30日、2023年下期日系企業景気動向調査の結果を発表した。2023年11月28日~12月20日にかけて会員企業1,646社を対象に調査を行い、539社(回答率32.7%)から回答を得た。同調査によれば、2023年下期の業況感(DI値:業況が「上向いた」と回答した数から「悪化した」と回答した数を差し引いた値)見通しは▲16で、2023年上期の▲10から悪化した。また2024年上期の見通しについては、エネルギーコストの低下やインバウンドへのさらなる期待から10へと伸長した。

(3)タイ工業連盟(FTI)が1月29日に発表した12月の自動車生産台数は、前年同月比▲15.8%の13.4万台だった。内訳は国内向けが同▲29.9%の5.1万台、輸出向けが同▲3.7%の8.3万台。新型コロナ前の2019年12月の生産台数13.4万台と同水準だった。また、12月の国内新車販売台数は同▲17.5%の6.8万台で、輸出台数は同▲19.1%の9.0万台。新型コロナ前の2019年12月の販売台数が8.9万台、輸出台数が7.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが1月29日に発表した12月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲8.7%の20.1万台で、6ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年12月の生産台数は21.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲8.8%の16.5万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲8.3%の3.6万台。また、12月の国内販売台数は同▲8.4%の13.2万台、輸出台数は同▲24.3%の3.9万台だった。2019年12月の販売台数が11.4万台、輸出台数が3.6万台であり、ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)タイ商務省事業開発部(DBD)の1月24日の発表によると、2023年通年の東部経済回廊(EEC)における会社登記件数は前年比+19.1%の9,686件だった。登録資本金総額は同+46.6%の513.1億バーツだった。県別では、チョンブリが7,370件(同+23.1%)の287.2億バーツ(同+49.7%)、ラヨーンが1,650件(同+10.3%)の189.4億バーツ(+同33.5%)、チャチュンサオが666件(+2.6%)の36.5億バーツ(同+124.8%)だった。事業別では不動産(1,918件、66.9億バーツ)が登録資本金総額の13.0%を占め首位で、2位は建設(654件、13.3億バーツ)だった。また、登録資本金総額の56.7%が外国人による出資だった。

(2)タイ証券取引所(SET)は1月末、前月比▲3.6%の1364.52ポイントで越月した。SETと中小企業向け株式市場(MAI)の1月の株式売買代金は、1日当たり平均471.1億バーツ(約1,950億円)で前年同月比▲34.6%だった。うち外国人投資家の売買比率は53.4%。SETのソーンポン副所長は、2023年は経済成長が伸び悩んだ点に加えて、上場企業の業績の下方修正が相次いだことから海外資金が流出したと言及した。1月の新規上場はIT機器販売を行うアドバイスITインフィニットの1社のみだったが、SETのマンポン上席副所長によると3市場合計で43社(1月21日時点)がIPO申請をしており、今年はIPOが増加する見込み。2023年のIPO総額は前年比▲33%の11億米ドルだった。またSETは、1月19日に2024年~2026年までの3ヵ年戦略計画を発表し、上場企業に対する監視を強化すると発表。タイ証券取引委員会(SEC)理事会はSETが提案した監視強化策、上場規則の改正に合意した。監視強化策の内容は、2024年4月1日時点で上場基準を満たしていない銘柄について、投資家向けに資金引き上げ勧告を促す。また異常な売買が見つかった場合、該当銘柄の取引を自動停止する予定。監視にはAI技術を駆使する。また、上場を後押ししたい分野としてデジタル、ヘルスケア、農業および食品業界を挙げた。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の12月末時点で金融機関預金残高は24兆9,186億バーツ(前年同月比+1.4%)、貸金残高は30兆6,950億バーツ(同+2.2%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。


4. 政治動向、その他
在日タイ大使館は2023年12月29日、日本人がビジネス目的でタイに短期滞在する場合の商用ビザ免除に関して必要書類等の詳細を発表した。商用ビザ免除の対象は30日以内の滞在で、2024年1月1日から2026年12月31日までの3年間有効化する。ただし、例外事項に該当する場合は適切なビザを申請する必要があるため、詳細は在日タイ大使館の記載を要確認。また、タイと中国は1月28日、観光目的に限って相互の短期ビザ免除を合意した。両国民は、滞在上限30日以内はビザが不必要になる(180日ごとに合計滞在日数90日以内)。観光目的以外は引き続き目的に応じたビザが必要となる。両国ともに3月1日に発効する。


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タイ国経済概況(2024年1月)

1.景気動向
(1)国際協力銀行は、第35回目となる「2023年度わが国製造企業の海外事業展開に関する調査報告」を12月14日に発表した。本調査は同年7月から9月にかけて行われ、534社から回答を得た。中期的な有望事業展開先国・地域(今後3年程度)では、タイはインド、ベトナム、中国、米国、インドネシアに次ぐ6位で、昨年より1ランク下がった。「現地マーケットの今後の成長性」や「インフラが整備されている」点が引続き評価されたほか、「第三国輸出拠点」としても有望との評価だった。一方、回答企業の50%近くが課題として「労働コストの上昇」のほか、多くの企業が「他社との厳しい競争」「技術系人材確保が困難」を挙げた。

(2)日本貿易振興機構(JETRO)は12月13日、「海外進出日系企業実態調査(全世界)」の調査結果を発表した。海外拠点ネットワークを活用し、世界83ヵ国・地域の日系企業7,632社より有効回答を得た。2023年に「黒字」を見込む企業は63.4%、「赤字」は18.3%で、「黒字」の割合は前年(64.5%)から1.1ポイント低下した。黒字企業の割合が減少するのは、2020年以来3年ぶりとなる。また、景況感を示すDI値は、全地域合計で前年の14.6ポイントを大きく下回る4.5ポイントだった。2023年の中国のDI値は、2年連続-15ポイント前後で推移。ベトナム(-3.7)は前年から28.7ポイント減った。インドのDI値は44.4ポイントで前年に続き主要国・地域で1番、次いでメキシコ(34.1ポイント)が高かった。

(3)世界銀行は12月、2023年のタイの経済成長率見通しを10月に発表した3.4%から2.5%に引き下げた。同じく2024年予測も、10月の3.5%から3.2%に引き下げた。タイ政府が計画する給付金1万バーツ政策は、2024年~2025年の成長率を0.5~1.0%押し上げると推算した。アジア開発銀行(ADB)も同じく、12月発表のレポート「アジア経済見通し2023年12月版」の中でタイの2023年見通しを2.5%に引き下げた(昨年9月に3.5%の見通しを公表)。ADBは、輸出額の減少や、予算編成が遅れたことによる財政不安を下方修正の理由にあげた。一方、経済協力開発機構(OECD)は12月、2024年のタイの経済成長率を3.6%とする予測を発表した。

(4)タイ工業連盟(FTI)が12月20日に発表した11月の自動車生産台数は、前年同月比▲14.1%の16.3万台だった。内訳は国内向けが同▲15.5%の7.0万台、輸出向けが同▲13.0%の9.3万台。新型コロナ前の2019年11月の生産台数15.4万台を上回った。また、11月の国内新車販売台数は同▲9.8%の6.2万台で、輸出台数は同+13.2%の10.0万台。新型コロナ前の2019年11月の販売台数が7.9万台、輸出台数が7.5万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(5)FTIが12月20日に発表した11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲11.4%の21.1万台で、5ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年11月の生産台数は20.3万台であり、新型コロナ前の水準を上回った。内訳は完成車(CBU)が同▲5.8%の17.8万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲33.1%の3.3万台。また、11月の国内新車販売台数は同▲9.8%の6.2万台で、輸出台数は同+13.2%の10.0万台。新型コロナ前の2019年11月の販売台数が7.9万台、輸出台数が7.5万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)12月19日、2024年から2027年の4年間にわたるEV推進第2フェーズ(EV3.5)の支援策が閣議決定された。タイ政府は、2030年までにタイで生産される自動車の少なくとも30%(乗用車72.5万台、オートバイ67.5万台)をEVにする目標「30@30」を掲げており、本支援策はその一環で、EV業界全体に対する投資支援を目的としている。また、本支援策は2023年末に失効した支援策EV3.0の後継策であり、既にEV3.0に申請した企業もEV3.5に参画可能である。支援策の一環としてEVの購入時に次の補助金が支給される。価格が200万バーツ以下でバッテリー容量が50kWh以上のEV乗用車には、24年は10万バーツ、25年は7.5万バーツ、26年と27年は5万バーツ。価格が200万バーツ以下でバッテリー容量が50kWh未満のEV乗用車には、24年は5万バーツ、25年は3.5万バーツ、26年と27年は2.5万バーツの補助金が付与される。価格が200万バーツ以下で、バッテリー容量が50kWh以上のEVピックアップトラックには、タイ国内産に限り10万バーツの補助金が付与される。価格が15万バーツ以下でバッテリー容量が3kWh以上のEVバイクには、タイ国内産に限り1万バーツの補助金が付与される。また、物品税に関しては、700万バーツ以下のEV乗用車は8%から2%に減税、200万バーツ以下のEV乗用車は2024年から2025年までの2年間、最大40%の引き下げが行われる。本支援策に申請する企業は、2026年までにEVの国内生産を開始する場合は、補助金を受けて輸入したEV完成車の2倍以上の生産台数、2027年開始の場合は3倍以上のEV国内生産することが条件となる。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の11月末時点で金融機関預金残高は24兆7,793億バーツ(前年同月比+0.9%)、貸金残高は30兆5,867億バーツ(同+2.3%)といずれも増加。また、9月27日にBOTは政策金利を2.25%から2.50%に引き上げた。また、11月29日の金融政策委員会(MPC)において、政策金利を2.5%に据え置く決定をした。


4. 政治動向、その他
(1)タイ政府は、観光税の導入を無期限延期することを決定した。以前の計画では、空路で入国する場合は1人300バーツ、陸路と海路での入国は1人150バーツ徴収予定だった。スダワン観光・スポーツ相は、まずは観光客を多く呼び寄せ、観光収入を増やしたいしたい考え。また、タイ政府は12月12日、日本人の訪タイ出張者は、滞在が30日以内であれば商用ビザの取得を免除すると閣議決定した。期間は2024年1月1日から26年12月31日までで、3年間の長期運用になる。タイ政府は、この閣議決定について「タイにとって日本は3番目に大きい貿易相手国であるため」と説明した。なお、当該免除措置を受けるための条件が、2023年12月29日付で日本のタイ大使館ウェブサイトに掲載されている。

(2)タイ空港公社(AOT)の発表によると、2023年11月のタイ主要6空港(スワンナプーム、ドンムアン、プーケット、チェンマイ、チェンライ、ハートヤイ)の利用者数は、前年同月比+26.9%の938.9万人だった。国際線は同+53.1%、国内線は同+2.8%で国際線が好調。2023年1月~11月の6空港利用者数は、前年同期比+76.2%の9,544,7万人。同期間の空港別では、スワンナプームが前年同期比+89.1%の4,647.1万人、ドンムアンが同+74.5%の2,447.2万人、プーケットが同+87.7%の1,251.7万人、チェンマイが同+56.0%の737.4万人、チェンライが同+16.3%の173.7万人、ハートヤイが同+7.8%の287.7万人だった。タイ国政府観光庁(TAT)は、年末年始期間の観光収入の大幅増を見込んでいる。


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タイ国経済概況(2023年12月)

1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)の11月20日発表によると、2023年第3四半期の経済成長率は前年同期比+1.5%で、今年第2四半期の同+1.8%からさらに減速した。第3四半期の伸び率は東南アジア主要6ヵ国の中で5番目(伸び率の高い順からフィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール)だった。部門別では農業が前年同期比+0.5%、非農業が同+1.5%で、非農業のうちサービス業が同+3.9%(うち宿泊・飲食は同+14.9%)、工業が同▲2.8%だった。NESDCは、サービス業の伸び率低下と、輸出不振を今回のGDP伸び率低下の理由にあげた。2023年通年の成長率については、今年8月に発表した同+2.5~3.0%から、+2.5%に変更した。

(2)タイ商務省の発表によれば、2022年10月の輸出額は前年同月比+8.0%の235.8億米ドルで、3ヵ月連続で前年同月を上回った。輸入額は同+10.2%の244.1億米ドルで、貿易収支は8.3億米ドルの赤字。10月の品目別輸出額は、自動車・同部品が同+3.6%(33.6億米ドル)、電子製品・同部品が同+5.5%(37.5億米ドル)、農産物・加工品は同+9.3%(39.4億米ドル)、天然ゴムは同▲28.5%(36.4億米ドル)だった。米国・中国向けの輸出が好調で、日本向けとEU向けは微減した。中国向けは、ドリアンとマンゴスチンが急増した。商務省は、2023年の輸出額を前年比1%縮小見込みだと先月発表した。

(3)タイ工業連盟(FTI)が11月23日に発表した10月の自動車生産台数は、前年同月比▲7.0%の15.9万台だった。内訳は国内向けが同▲11.7%の6.4万台、輸出向けが同▲3.6%の9.4万台。新型コロナ前の2019年10月の生産台数15.3万台を上回った。また、10月の国内新車販売台数は同▲8.8%の5.9万台で、輸出台数は同+12.2%の10.6万台。新型コロナ前の2019年10月の販売台数が7.7万台、輸出台数が8.6万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが11月23日に発表した10月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲20.6%の17.3万台で、4ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年10月の生産台数は21.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲18.4%の14.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲28.8%の3.3万台。また、10月の国内販売台数は同▲0.7%の13.5万台、輸出台数は同▲21.2%の3.4万台だった。2019年10月の販売台数が14.2万台、輸出台数が2.5万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)2023年1~9月のBOIへの新規投資申請額は前年同期比+22%の5,168億バーツ、申請件数は同+31%の1,555件だった。そのうちFDIは、金額が同+43%の3,985億バーツ、件数が同+49%の910件だった。国別では、首位が中国の974億バーツ(264件)でFDI全体の24%を占めた。これに、シンガポールの802億バーツ(133件)、日本の431億バーツ(176件)、台湾の361億バーツ(63件)、韓国の326億バーツ(15件)が続いた。タイ政府が指定する重点産業への申請は全体の71%を占め(3,662憶バーツ)、787件だった。産業別では、首位が電気・電子の申請額2,082億バーツ(171件)、2位が農業・食品加工の557億バーツ(213件)だった。

(2)今月のタイ株式市場は、米国債10年物利回りの低下により市場が押し上げられた。また、追加利上げはないという見方が広がる一方、タイバーツの対米ドル上昇は株式市場への資金流入の制限要因となった。こうした背景から、相場は明確なトレンドを示すことなく横ばいに推移した。SET指数は10月21日の1,399から、11月22日の1,423へと僅かに上昇した。11月21日のSET時価総額は17.51兆バーツとなり、前月から減少した。サービス分野が引き続きSET最大分野で、時価総額4.55兆バーツだった。資源分野の3.71兆バーツが続いた。予測される金利低下により、タイ株式市場の資源、金融、技術、工業分野に恩恵がもたらされることが予測される。今月の1ヵ月リターンは、工業、農業食品、資源分野で大きな上昇が見られた。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の10月末時点で金融機関預金残高は24兆6,764億バーツ(前年同月比+1.2%)、貸金残高は30兆4,624億バーツ(同+1.8%)といずれも増加。また、9月27日にBOTは政策金利を2.25%から2.50%に引き上げた。


4. 政治動向、その他
(1)11月21日からMRTピンクライン(KhaeRai~MinBuri間)の無料試運転が始まった。また、タイ運輸省は10月16日からMRTパープルラインとレッドラインの運賃上限を20バーツに固定。大幅に引き下げた。11月30日からは同2路線を非接触決済カードで乗り継いだ場合、2路線を使っても上限20バーツで乗車できるようになった。金額を大幅に下げることで、乗客の増加を狙う。

(2)11月15日セター首相は米サンフランシスコで岸田首相と会談した。セター首相は、タイにおける日系自動車メーカーへの支援等を表明。また、南部のランドブリッジ計画に日本も参画してほしいと呼びかけた。岸田氏も、タイの経済回復のために日本からの出張時のビザ免除等を要望した。ランドブリッジ計画とは、タイ湾側のチュンポン県ラン・スワンからアンダマン海側のラノーン県ラノーンまでの89.35kmを高速道路、並行して走る鉄道で結ぶもので、旧政府から引き継いだ。マラッカ海峡を経由せずにマレー半島を横断する物流が可能となる上、所要日数を最大5日程度短縮できる、とされている。投資コストは計1兆バーツと見積もられている。


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タイ国経済概況(2023年11月)

1.景気動向
(1)タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2023年9月の産業景況感指数(TISI)は前月比▲1.3ポイントの90.0で、過去14ヵ月の中で最低水準を記録した。FTIは家計債務の増加や農家の所得減少等が消費者心理を冷やしていると指摘。また、業種別では45業種中19業種が上昇。企業規模別では、小規模企業が前月比+1.1ポイントの94.2、中堅企業が同▲3.2ポイントの97.0、大企業が同▲1.7ポイントの79.4だった。大企業は11ヵ月連続の下落となった。

(2)国際通貨基金(IMF)が10月に発表した経済見通しによると、ベトナムのGDPが2026年にはタイのGDPを追い越すと予想。ベトナムが東南アジア内で2位の経済大国となると予想した。フィリピンやインドネシア等は15~64歳の労働生産人口が増えていく一方で、タイの出生率(2021年)は1.33と減少の一途をたどる。IMFによると、東南アジアの主要6ヵ国の名目GDP(2022年)は、インドネシアが4兆369億米ドルでトップ、続くタイが1兆4,824億米ドルで2位だった。3位はベトナム(1兆3,212億米ドル)で、4~6位はフィリピン、マレーシア、シンガポールだった。

(3)タイ工業連盟(FTI)が10月24日に発表した9月の自動車生産台数は、前年同月比▲8.4%の16.4万台だった。内訳は国内向けが同▲17.9%の6.0万台、輸出向けが同▲2.0%の10.4万台。新型コロナ前の2019年9月の生産台数16.9万台を下回った。また、9月の国内新車販売台数は同▲16.3%の6.2万台で、輸出台数は同▲2.9%の9.7万台。新型コロナ前の2019年9月の販売台数が7.6万台、輸出台数が9.8万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を下回った。

(4)FTIが10月24日に発表した9月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲20.0%の20.0万台で、3ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年9月の生産台数は20.6万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲14.4%の16.9万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲41.1%の3.1万台。また、9月の国内販売台数は同▲5.9%の14.1万台、輸出台数は同▲25.2%の2.9万台だった。2019年9月の販売台数が13.5万台、輸出台数が2.6万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は10月11日、今年1月に発効した5年間の投資促進戦略について、修正を加えた24年以降の4年間の戦略を発表した。5つの戦略的産業と活動を投資戦略政策の中核に据え、それらに特別投資恩典を付与する。5つの戦略的産業は(1)BCG(バイオ・循環・グリーン:農業や食品、医療やクリーンエネルギー等)、(2)自動車、特にEVやそのサプライチェーン、充電ステーションおよびその主要部品、(3)電子機器、特に川上(半導体材料等)やスマート電子機器、(4)デジタルとクリエイティブ、(5)地域本部および国際ビジネスセンター。また産業構造の変革を促すため、次の5つの課題を推進する。(1)グリーントランスフォーメーション、(2)技術開発、(3)人材育成、(4)クラスターベースの投資、(5)投資のしやすさ。

(2)世界の株式市場は、米10年債利回りの上昇に加え金利再引き上げの可能性もあり、引き続き下落圧力がかかっている。また、中東情勢についてはエスカレーションに対する懸念が高まっている。SET指数は9月22日の1,545.6ポイントから、10月20日には1,399.4に大きく下落した。下落要因には、新政権による政策施行の遅れ(10,000バーツのデジタルウォレット配布等)による政治的な不透明感から、市場と政府に対する海外投資家心理が悪化していることが挙げられる。10月20日時点でのSET時価総額は17兆1,800億バーツとなり、前月から減少した。サービス分野が時価総額4.52兆バーツで依然としてSET最大分野であり、資源分野が3.56兆バーツで続く。SET市場は下落傾向にあり、その主要因は米10年債利回りの上昇があげられる(10月19日には17年ぶりの高水準となる4.98%に達した)。また、年末に向けて金利再引き上げへの懸念が高まっている。最近の米10年債利回りの上昇は、原油価格が今年7月の約70米ドルから10月には約90米ドルにまで上昇し、インフレ圧力が再度高まっていることが要因とみられる。この原油価格の上昇は、サウジアラビアとロシアによる原油輸出削減決定を受けたものである。さらに、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化は市場心理にさらなる悪影響を与えている。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の9月末時点で金融機関預金残高は24兆4,998億バーツ(前年同月比+1.6%)、貸金残高は30兆5,054億バーツ(同+2.3%)といずれも増加。また、9月27日にBOTは政策金利を2.25%から2.50%に引き上げた。


4. 政治動向、その他
(1)タイ貢献党は10月27日、タクシン元首相の娘であるペートンタン氏を新党首として任命し、執行役員23人も同時に選出した。貢献党は今年5月の総選挙で前進党に敗北したが、その後独自に新連立政権を作り、党員のセター氏が首相に選出された。国内政治の点においては、国民に対する10,000バーツの電子通貨の配布や医療用目的以外の大麻の一掃等、各種政策が急がれる。また、政府は10月31日の閣議で、観光振興策として11月1日から半年間の期限で、インドと台湾からの旅行者を30日間ビザなしで滞在可能とする政策を決定した。また、11月1日に政府はEV振興策の2024年~2027年期の政策延長を発表。セター氏は自らがEV政策委員会の委員長を務めている。

(2)セター首相は10月30日、ラオスを公式訪問。両国にまたがる鉄道や道路等のインフラ整備について、ラオスのソンサイ首相と話し合った。セター氏は、ノンカイ県からラオスのビエンチャン間を横断する鉄道橋の着工を早急に進めることを要請した。加えて、両者はインフラ整備の上、両国間の貿易額を2025年までに110億米ドルに引き上げる目標で合意した。また同日、周辺国経済協力開発機構(NEDA)とラオス国鉄(LNA)がシステムや技術協力に関して合意した。セター氏はビエンチャン・ロジスティクスパークや、両国およびミャンマーが抱える大気汚染PM2.5の問題についても言及した。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
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タイ国経済概況(2023年10月)

1.景気動向
(1)タイ工業経済事務局(OIE)によると、2023年8月の付加価値ベースの鉱工業生産指数(MPI)は91.85で、11ヵ月連続の前年同月比マイナスとなった。20生産品目のうち18生産品目が前年同月比でマイナスとなり、「化学・化学製品(前年同月比+4.4%」と「コークス、石油製品(同+1.5%)」のみプラスだった。下落率が大きいものは、上から「家具(同▲26.6%)」、「皮革および関連製品(同▲25.1%)」、「機械・機器(同▲21.5%)」「衣服(同▲21.2%)」「金属製品(同▲19.3%)」だった。

(2)タイ商務省の発表によれば、2023年8月の輸出額は前年同月比+2.6%の242.8億米ドルで、11ヵ月ぶりに前年同月比を上回った。輸入額は同▲12.8%の239.2億米ドルで、貿易収支は3.6億米ドルの黒字。品目別の輸出額は、自動車・同部品が同+24.2%(40.2億米ドル)、電子製品・同部品が同+9.3%(40.5億米ドル)、農産物・加工品は同▲1.5%(40.3億米ドル)、天然ゴムは同▲32.9%(30.2億米ドル)だった。

(3)タイ工業連盟(FTI)が9月21日に発表した8月の自動車生産台数は、前年同月比▲12.3%の15.1万台だった。内訳は国内向けが同▲26.2%の6.2万台、輸出向けが同+1.1%の8.9万台。新型コロナ前の2019年8月の生産台数16.6万台を下回った。また、8月の国内新車販売台数は同▲11.7%の6.0万台で、輸出台数は同+19.4%の8.8万台。新型コロナ前の2019年8月の販売台数が8.1万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが9月21日に発表した8月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲23.7%の18.7万台で、2ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年8月の生産台数は19.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲9.7%の17.1万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲71.7%の1.6万台。また、8月の国内販売台数は同▲6.8%の16.0万台、輸出台数は同+5.3%の3.2万台だった。2019年8月の国内販売台数が14.9万台、輸出台数が2.7万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)9月は中国EVメーカーのタイでの事業展開に関する発表が相次いだ。まず奇瑞汽車(チェリー)が、タイでのEV生産事業を申請する予定と発表。タイではEVの「OMODA」と「JAECOO」を生産する計画で、2024~25年は年産能力1万8,000台を目指すが、生産はタイ国営石油PTT傘下のアルン・プラスに委託する方針だ。次いで、広州汽車集団(GAC)傘下のEVメーカーであるAIONは、同社初の海外進出先としてタイを選択。9月9日に、中国で最も売れているEV・SUVである「Y Plus」を発売開始した。完成車の輸入販売からはじめ、タイ工場の完成後は国内での生産品に切り替え、ASEAN各国や右ハンドル市場に輸出していく。さらに、比亜迪(BYD)は、現在建設中のラヨーン県のEV工場で、2024年6月からの小型EV「Dolphin」の生産開始を目指す。生産車はASEANや欧州に輸出予定だ。

(2)2023年8月23日、セター氏の首相就任を受けてタイ株式市場は1.29%上昇、新政権による景気改善について投資家の見方は楽観的だった。セター新首相は、1万バーツのデジタル通貨配布、2027年までに日額最低賃金600バーツ、大学新卒者の初任給2万5,000バーツ等を含む政策を提案している。フィッチによると、観光客数は依然として新型コロナ前の水準を下回り、輸出額は縮小、さらに前述の景気刺激策がタイの大幅な債務増加につながるとしている。そうした背景から、SET指数の9月22日時点での1ヵ月リターンは▲1.49%だった。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の8月末時点で金融機関預金残高は24兆4,692億バーツ(前年同月比+1.4%)、貸金残高は30兆3,922億バーツ(同+2.0%)といずれも増加。また、9月26日にBOTは政策金利を2.25%から2.50%に引き上げた。


4. 政治動向、その他
(1)9月11日に新内閣のセター首相は、所心表明演説を行った。主な政策案として、「全国の最低賃金を日額600バーツ、新卒の最低月給を25,000バーツ」「全国民に1万バーツを電子通貨付与」「バンコク都内の電車賃を一律20バーツ」「ガソリン代、ガス代、電気代の値下げ」等が発表された。最低賃金に関する質問に対して、セター首相は早期にまず400Bまで引き上げると回答。2024年1月1日から実施見込みとの報道があった。バンコク都市線の一律運賃は、タイ国鉄(SRT)が試験的にパープルラインとレッドラインの一律上限20バーツ運賃を、年内に実施する方向だ。また、観光収入増額を狙い、2023年9月25日~2024年2月29日の期間で、中国とカザフスタンからの観光客に対する一時滞在ビザ(査証)免除を実施。両国民は、最大30日間、滞在することが可能となる。また、セター首相は外交も積極的に行っており、9月には第78回国連総会のために米国を訪問し、米テスラやマイクロソフト、グーグル等にタイへの積極的な投資をアピール。数年以内に50億米ドルの投資を受ける見込みだと話した。

(2)歳入局は9月15日、歳入法第41条第2項に基づき、タイに年間180日以上滞在する居住者の海外所得に対して、所得を得た時期にかかわらずタイ国内に持ち込んだ際に個人所得税を賦課するとの通達を出した。タイ居住者の海外での労働収入、資産収入が対象となり、2024年1月1日付で施行する。セター内閣の目玉政策、1人当たり1万バーツのデジタル通貨配給だけでも5,600億バーツの予算が必要と見込まれており、税収増を目的にした政策だという指摘もある。


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タイ国経済概況(2023年9月)

1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)の8月21日発表によると、2023年第2四半期の経済成長率は前年同期比+1.8%で、今年第1四半期の同+2.6%から大きく減速した。第2四半期の伸び率は東南アジア主要6ヵ国の5番目(伸び率の高い順からインドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、タイ、シンガポール)だった。部門別では農業が同期比+0.5%、非農業が同+1.9%で、非農業のうちサービス業が同+4.1%(うち宿泊・飲食は同+15.0%)、工業が同▲2.1%だった。NESDCは、サービス業の伸び率低下と、輸出不振を今回のGDP伸び率低下の理由にあげた。2023年通年の成長率については、今年5月に発表した同+2.7~3.7%から、+2.5~3.0%に下方修正した。

(2)タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2023年7月の産業景況感指数(TISI)は前月比▲1.8ポイントの92.3で、過去10ヵ月での最低水準を記録した。FTIは政治的空白の長期化や輸出額の大きな減少、家計債務の増加等が消費者心理を冷やしていると指摘。また、業種別では45業種中21業種が上昇。企業規模別では、小規模企業が前月比+1.2ポイントの95.9、中堅企業が同▲2.0ポイントの97.3、大企業が同▲4.4ポイントの84.3だった。小規模企業は、14ヵ月連続の上昇となった。

(3)FTIが8月24日に発表した7月の自動車生産台数は、前年同月比+4.7%の15.0万台だった。内訳は国内向けが同▲1.2%の6.3万台、輸出向けが同+9.5%の8.7万台。新型コロナ前の2019年7月の生産台数17.1万台を下回った。また、7月の国内新車販売台数は同▲8.8%の5.8万台で、輸出台数は同+30.0%の10.8万台。新型コロナ前の2019年7月の販売台数が8.1万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが8月24日に発表した7月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲7.8%の19.5万台で、3ヵ月ぶりのマイナスを記録した。2019年7月の生産台数は19.7万台であり、新型コロナ前と同水準だった。内訳は完成車(CBU)が同+11.1%の17.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲57.6%の2.5万台。また、7月の国内販売台数は同+12.7%の15.1万台、輸出台数は同+91.5%の3.8万台だった。2019年7月の販売台数が14.9万台、輸出台数が2.3万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)タイ商務省事業開発局によると、年初7ヵ月における高齢者介護分野における新規事業登録件数は、前年同期の57件から+17.5%の67件だった。一方で、事業規模が比較的小さかったことから、同期間の登録資本総額は昨年同期から2,870万バーツ減少(▲23.4%)の9,370万バーツとなった。また、同局によると海外投資家も高齢者介護事業に関心を示しており、同分野への投資総額の5.9%を占める。7月だけで海外からの投資額は2,460万バーツ増加し、前年同月比+15.6%の2,844万バーツだった。7月時点での国別の年初来累積投資額では、1位がシンガポールの8,980万バーツ(49.2%)、2位がスイスの3,610万バーツ(19.7%)、3位が台湾の1,800万バーツ(9.9%)、4位が中国の1,780万バーツ(9.8%)、5位が日本の635万バーツ(3.5%)だった。また、内資からの投資が29億2,000万バーツ、外資が1億8,200万バーツだった。事業運営者は研修や試験を受ける必要があり、保健サービス支援部門の免許を取得する必要がある。2021年1月27日発効の同規制は、施設、建物、トイレ、スロープ、ベッドの間隔、専門スタッフ雇用に関する法律の順守を義務付けている。

(2)新首相が選出され政治と経済の方向性が明らかになったことで、タイの株式市場は回復の兆しを見せている。8月23日の議会投票でセター氏が過半数を獲得し首相に選出されたことを受け、SET指数は2.22%上昇した。7月から8月にかけては、新政権樹立とFRBの利上げにおける不確実性により、タイ株式市場は動きの少ない横ばいに推移した。政治の方向性が明確になるにつれ、国内外の投資家の信頼は徐々に回復すると予想される。8月25日時点のSET時価総額は19.12兆バーツに相当し、前月から僅かに減少した。サービス分野が時価総額5.01兆バーツで依然としてSET最大分野であり、資源分野が3.94兆バーツで2番目の規模。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の7月末時点で金融機関預金残高は24兆4,827億バーツ(前年同月比+1.7%)、貸金残高は30兆3,186億バーツ(同+1.9%)といずれも増加。また、8月2日にBOTは政策金利を2.00%から2.25%に引き上げた。


4. 政治動向、その他
8月7日に第二党のタイ貢献党が前進党による連立協議から離脱し、タイ誇り党や国民国家の力党等の計11党での連立に移行。8月22日にタイ貢献党のセター・タウィシン氏が首相立候補として推薦された。首相選出投票の結果、両院の賛成票が過半数を超え、セター氏が第30代の首相に正式任命された。新首相は61歳で、不動産会社Sansiriの創業オーナーである(2022年11月に同社を退職し、既存13社の全株を娘に譲渡済)。その後9月2日に、国王に提出した閣僚名簿が承認された。9月5日には新閣僚が国王への忠誠を宣誓し、正式に新内閣が発足した。(9月7日時点)

(2)タイ政府観光庁(TAT)は、2023年7月の訪タイ外国人数は前年同月比2.2倍の249万人で、中国人が前年同月比16.1倍の410万人で1位になったと発表した。前月までは13ヵ月連続でマレーシアが1位だった。2位はマレーシアの37万人、3位は韓国の15万人だった。今年7月までの累積では、前年同期比4.8倍の1,540万5,334人となった。また、TATチェンマイ事務所は8月22日、今年7月までのタイ国内観光客数が、新型コロナ流行前の2019年同期比93%に達したと明かした。今年通年の国内観光客数は1億6,000万人を見込んでおり、観光収入は19年比+75%の8,082億バーツまで拡大すると予測している。


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タイ国経済概況(2023年3月)

1.景気動向
(1)国家経済社会開発委員会(NESDC)が2月19日に発表した速報値によると、2022年通年の経済成長率は前年比+2.6%で2021年の同+1.6%から加速。しかし、2022年第4四半期の成長率は前年同期比+1.4%で、前期(同年第3四半期)の+4.5%から大幅に鈍化した。観光客数の回復がプラス要因だったが、主に欧米向け輸出が振るわなかった。NESDCは2023年について前年比+3.0~+4.0%と予測していたが、今発表で+2.7~3.7%に下方修正した。2022年第4四半期の失業率は1.15%で、前期の1.23%からさらに改善し、新型コロナ前の水準に近づいた(2019年第4四半期は0.98%)。

(2)タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2023年1月の産業景況感指数(TISI)は前月比+1.3ポイントの93.9で、新型コロナ前以来43ヵ月ぶりの高水準を記録した。FTIは内需拡大、消費財の好調、観光セクターの大幅回復、中国の水際対策緩和による対中輸出の増加等が景気回復に良い影響を与えていると指摘した。一方で、マイナスの影響として輸出量の減少、エネルギー価格の高騰、世界各国でのインフレによる景気減速等をあげた。また、業種別では45業種中27業種が上昇。企業規模別では、小規模企業が前月比+4.4ポイントの80.0、中堅企業が同+2.0ポイントの99.8、大企業が同▲0.8ポイントの100.8だった。

(3)FTIが2月21日に発表した1月の自動車生産台数は、前年同月比+4.0%の15.8万台だった。8ヵ月連続でプラスを記録した。内訳は国内向けが同▲0.4%の6.6万台、輸出向けが同+7.4%の9.2万台。新型コロナ前の2019年1月の生産台数18.0万台を下回った。また、1月の国内新車販売台数は同▲5.6%の6.6万台で、輸出台数は同+24.3%の8.7万台。新型コロナ前の2019年1月の販売台数が7.8万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが2月21日に発表した1月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+12.5%の23.8万台で、7ヵ月連続のプラスを記録した。2019年1月の生産台数は21.8万台であり、新型コロナ前と同水準だった。内訳は完成車(CBU)が同+14.6%の19.4万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+4.0%の4.4万台。また、1月の国内販売台数は同+9.8%の15.9万台、輸出台数は同▲0.1%の4.2万台だった。2019年1月の販売台数が14.9万台、輸出台数が2.6万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2.投資動向
タイ投資委員会(BOI)は2022年の投資申請統計を発表し、新規申請額は6,646億バーツで前年比+38.8%となった。申請件数は同+41.4%の2,119件。産業別申請額では、サービス・インフラが最も多く2,013億バーツ、電子・電気機器が1,333億バーツ、機械・金属加工が1,322億バーツと続いた。このうち、タイ政府が重点産業とする「Sカーブ産業」に対する新規申請額は、前年比+40.0%の4,687億バーツだった。また、国・地域別の海外直接投資額では、中国が同+107.9%の774億バーツで首位、日本が同▲36.6%の508億バーツで二位、米国が同+72.5%の503億バーツと続いた。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の1月末時点で金融機関預金残高は24兆5,122億バーツ(前年同月比+4.2%)、貸金残高は28兆5,698億バーツ(同+3.9%)といずれも増加。また、1月25日にBOTは政策金利を1.25%から1.50%に引き上げた。

〈2月の回顧〉
(1)(為替動向)
2月のドルバーツは堅調に推移。月初、ドルバーツは32.80台前半でスタート。注目のFOMCでは市場予想通り政策金利の25bp利上げが全会一致で決定され、パウエル議長のディスインフレーションに関する発言を受けてリスクオフムードが改善し、32.60台半ばまで下落した。しかし、その後は米雇用統計やISM非製造業景況指数の強い結果を受けドル買いが加速し、33.70台後半まで上昇した。途中、日本政府が日銀総裁に元日銀審議委員の植田和男氏を起用との報道が流れると円高となり、連れる形でドルが下落する場面が見られるも、米消費者物価指数(CPI)やその他米経済指標が軒並み市場予想を上振れ、タイの2022年第4四半期GDP成長率が前年比+1.4%と市場予想を大きく下回ったこともありドル買いバーツ売りが継続。中旬にかけて34の大台に乗せる展開となった。下旬にかけても、タカ派なFOMC議事要旨や連日の強い米経済指標結果を受け、米金利上昇とともにドル買いが継続。月末に発表されたタイ経常収支は、20億ドルの赤字だったこともあり、ドルバーツはストップロスを巻き込みながら一時35.30台後半まで上昇し、結局35.30近辺で越月となった。

(2)(金利動向)
2月のバーツ金利は、全年限で上昇する展開となった。月初、注目のFOMCにてインフレ鈍化に関する指摘がハト派と受け止められ、世界的にに金利が低下。しかし、その後の米雇用統計やISM非製造業指数の強い結果を受け、米金利の上昇とともにバーツ金利も長期ゾーンを中心に上昇。発表された1月のタイ消費者物価指数(CPI)は前年比+5.02%と市場予想を小幅に下振れ、伸び率は9ヵ月ぶりの低水準となったものの、強い米経済指標に引っ張られる形でバーツ金利の上昇圧力は継続する展開となった。中旬、米消費者物価指数(CPI)の強い結果や、FED高官のタカ派な発言も金利上昇を後押しし、グローバルな金利上昇圧力は継続。途中、タイ中銀のマティー副総裁は、インフレ率が今年減速する可能性が高いとし金利上昇圧力が弱まる場面が見られるも、月末にかけて発表された強い米経済指標の結果を受け、インフレ再加速への懸念によるFEDの更なる引き締めへの思惑が意識される中、世界的に金利が上昇し、月末のタイ10年物国債利回りは2.58%台、同5年物利回りは2.19%台、同2年物利回りは1.89%台と、それぞれ前月末より+0.06%、+0.11%、+0.10%の値動きとなった。

(3)〈今後のイベント・見通し〉
先月は、連日の強い米経済指標の結果を受けソフトランディングあるいはノーランディングの可能性が台頭し、米金利の上昇とともにドルバーツは年初来高値を更新する展開となった。米国の利上げ長期化はある程度織り込まれてきている中、年始からの下げを全て戻したこともあり、今後ドルバーツは足許の上昇がどの水準で落ち着くかを探る展開となるだろう。なお、今月はFOMCおよびMPCの開催が予定されている。FOMCに関しては、25bpの利上げがマーケットコンセンサスであるものの、一部では50bp利上げの可能性も指摘されている。MPCにおいては25bpの利上げがコンセンサスであるものの、輸出額の減少が予測される中、政策金利を据え置く可能性も出てきている。かかる環境下、ドルバーツは下落しにくい地合いであり、引き続き下値の堅い値動きが継続するものと予想。ただし、中国経済の想定以上の回復によりバーツ買いが先行する可能性もあり要注意。


4.政治動向、その他
プラユット首相は、2月21日の閣議で3月初旬の下院解散の方針を伝えた。選挙は下院解散から45~60日の実施が憲法103条で定められており、先に選挙管理委員会が示していた5月7日が投票日となる見通し。ウィサヌ副首相が示した選挙日程によると、5月7日に総選挙、7月初旬に選挙結果公表、7月下旬に新首相指名、8月上旬に新政権発足となる。また、下院解散後は、新政権発足まで現在の内閣が選挙管理内閣として政権を担う。しかし新たに予算措置が必要となる事業の閣議承認等はできず、次期政権に委ねられる。



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タイ国経済概況(2023年2月)

1.景気動向
(1)タイ商務省の発表によれば、2022年の輸出額が前年比+5.5%の2,870.7億米ドル、輸入額は同+13.6%の3,031.9億米ドルで、いずれも過去最高を記録した。一方で、貿易収支は▲161.2億米ドルと大幅なマイナスとなった。2022年12月単月では、輸出額が前年同月比▲14.6%の217.2億米ドル、輸入額が同▲12.0%の227.5億ドルでどちらも3ヵ月連続前年同月比で減少した。また、タイ工業連盟は2023年上半期の輸出見通しを、世界的な景気後退が予想されることを理由に減速するだろうと指摘した。

(2)盤谷日本人商工会議所(JCC)は1月31日、2022年下期日系企業景気動向調査の結果を発表した。2022年11月29日~12月23日にかけて会員企業1,627社を対象に調査を行い、508社(回答率31.9%)から回答を得た。同調査によれば、2022年下期の業況感(DI値:業況が「上向いた」と回答した数から「悪化した」と回答した数を差し引いた値)見通しは21で、プラスは維持したものの2022年上期の27からプラス幅は縮小した。また2023年上期の見通しについては、インバウンドの増加による経済への好影響や原材料不足解消等の期待から28へと伸長した。

(3)タイ工業連盟(FTI)が1月24日に発表した2022年12月の自動車生産台数は、前年同月比+2.7%の15.9万台だった。7ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は国内向けが前年同月比▲5.1%の7.3万台、輸出向けが同+10.5%の8.6万台。新型コロナ前の2019年12月の生産台数13.4万台を上回った。また、2022年12月の国内新車販売台数は前年同月比▲9.0%の8.3万台で、輸出台数は同+10.2%の11.2万台だった。2019年12月の販売台数は8.9万台、輸出台数は7.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を大きく上回った。

(4)FTIが1月24日に発表した2022年12月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+1.4%の22.0万台で、6ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+7.5%の18.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲19.6%の4.0万台。2019年12月の生産台数は21.9万台であり、新型コロナ前とほぼ同水準だった。また、2022年12月の国内販売台数は前年同月比+4.4%の14.4万台、輸出台数は同+45.1%の5.1万台だった。2019年12月の販売台数は11.4万台、輸出台数は3.6万台であり、ともに新型コロナ前の水準を大きく上回った。


2.投資動向
1月23日、タイ投資委員会(BOI)は2022年の投資奨励申請が合計2,119件の6,646億バーツ(約200億米ドル、前年比+39%)に達したと発表した。産業別の申請額では、首位が電子および電気機器の1,295億バーツだった。2位は自動車の1,054億バーツで、うち540億バーツはEV、PHEV、HEV等電気自動車およびバッテリーを含むEVサプライチェーン関連だった。なお、データセンターへの投資も425億バーツあった。投資申請のうちFDIは前年比+36%の4,339億7,100万バーツだった。国別申請額では、首位が中国の774億バーツ(158件)、日本の508億バーツ(293件)、米国の503億バーツ(33件)、台湾の452億バーツ(68件)、シンガポールの443億バーツ(178件)が続いた。EEC(東西経済回廊)への申請額は前年比+84%の3,588億バーツだった。また、BOI理事会はHQBizPortalと呼ばれるワンストップサービスの設置を承認した。地域本部の設立を検討する企業に対するコンサルテーションおよび円滑化サービスのリストを提供する予定。企業が地域本部設立に係るライセンス取得のための時間を短縮し、タイの国際ビジネスセンターと地域貿易ゲートウェイとしての地位を強化することが狙い。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2022年の12月末時点で金融機関預金残高は24兆5,735億バーツ(前年同月比+4.6%)、貸金残高は28兆6,195億バーツ(同+4.1%)といずれも増加。また、1月25日にBOTは政策金利を1.00%から1.50%に引き上げた。

〈1月の回顧〉
(1)(為替動向)
1月のドルバーツは上値重く推移。月初、ドルバーツは34台半ば近辺でオープンし、中国のゼロコロナ政策撤回で観光産業が活性化するとの見方からバーツ買いが進行。米消費者物価指数(CPI)が前月比▲0.1%、コアは前月比+0.3%とインフレがやや落ち着いてきている結果となったことに加えて、Fedのハーカー氏より「今後は25bp利上げが適切になるだろう」との発言が伝わるとマーケットは再度金利低下、ドル売りに拍車がかかる展開となり、ドルバーツは33を割り込んだ。その後の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が決定され、日銀が大規模な景気刺激策を段階的に縮小するのではないかという織り込みが剥がれ、ドル円は2%近く急騰。ドルバーツも一時的に33台を回復する場面が見られるも、米経済指標のさえない結果や、中国経済回復期待による根強いバーツ買い圧力が続き、下旬にかけてドルバーツは一時32台半ば付近まで下落した。月末にかけて、タイ中銀金融政策委員会(MPC)を通過後もドルバーツは方向感が定まらず概ね32台後半で上値重く推移し、結局33ちょうど近辺で越月となった。

(2)(金利動向)
1月のバーツ金利は、短中期ゾーンは前月末対比上昇、長期ゾーンは下落する展開となった。上旬、グローバルに金利低下圧力がかかる中、バーツ金利に関しても全年限で下落。さらに、米ISM非製造業指数や米CPIの弱い結果により、金利低下圧力は継続し、タイ10年債利回りは一時2.38%台まで低下した。ただ、2022年中国GDPの伸び率が通年で+3.0%と新型コロナ禍当初の2020年に記録した+2.2%を除けば1976年以降で最低となったこともあり、リスクオフムードから新興国アセットは下落。加えて、タイ中銀金融政策委員会(MPC)では政策金利を0.25%引き上げ1.50%とすることを決定し、短中期ゾーンを中心にバーツ金利は上昇する流れとなった。月末にかけても、米国の10~12月期GDPが市場予想を上回り、他の経済指標も概ね良好だったことから米金利の上昇につれてバーツ金利も上昇し、結局タイ10年物国債利回りは2.52%台、同5年物利回りは2.08%台、同2年物利回りは1.79%台と、それぞれ前月末より▲0.12%、+0.12%、+0.16%の値動きとなった。

(3)〈今後のイベント・見通し〉
先月は、中国のゼロコロナ政策撤回に加えて、米経済指標の悪化によりドル売りバーツ買いが優勢となるも、月後半にかけてドルバーツは32台後半での狭いレンジ内で推移する展開となった。なお、今月に入り発表された注目のFOMCでは、利上げ幅を0.25%に縮小したものの、一部で期待されていた声明文中での金利政策の変更を示唆するような変更はなく、まだ利上げが続く余地があることを強調した。さらに、米雇用統計では労働市場の堅調さが再確認され、ISM非製造業景況感指数では2020年6月以来の大幅な伸びとなり、ドルバーツは33台後半まで上昇した。今月は米国やタイの中銀イベントの予定はないものの、経済指標の結果や要人発言によってドルバーツは上下に振れる可能性もあり、引き続き方向感のない展開を予想。ただし雇用・所得環境やインフレの落ち着きがFRBの想定よりも遅れていれば、もう一度インフレ警戒への姿勢を強める可能性もあり、その場合ドルバーツはまだまだ下値の堅い値動きが継続しそうだ。


4.政治動向、その他
観光・スポーツ省は1月23日、2022年の訪タイ外国人旅行者が前年比26倍の1,115万3,026人だったと発表した(新型コロナ前の2019年は3,980万人)。国別ではマレーシアからが最多で、2位がインド、3位がシンガポールだった。日本は13位。また、2022年12月の訪タイ外国人旅行者は224万1,195人だった。今年1月に中国がゼロコロナ政策による制限を撤廃したことにより、2023年はさらなる外国人旅行者の増加が見込まれる。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。ンコック支店 SBCS CO., LTD.



 
 
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タイ国経済概況(2023年1月)

1.景気動向
(1)国際協力銀行は、第34回目となる「2022年度わが国製造企業の海外事業展開に関する調査報告」を12月16日に発表した。本調査は同年7月から9月にかけて行われ、531社から回答を得た。中期的な有望事業展開先国・地域(今後3年程度)では、タイはインド、中国、米国、ベトナムに次ぐ5位で、昨年と同順位だった。「現地マーケットの今後の成長性」や「産業集積がある」点が引続き評価されたほか、「第三国輸出拠点」としても有望との評価だった。一方、回答企業の50%近くが、課題として「労働コストの上昇」を挙げたほか、多くの企業が「他社との厳しい競争」も課題として挙げた。

(2)世界銀行は12月14日、2023年のタイの経済成長率見通しを3.6%と発表した。また、タイ中央銀行(BOT)は同日、同じく3.7%との見通しを発表した。BOTは、この回復を支えるのは外国人観光客の増加に伴い観光セクターが牽引することだと述べ、航空座席数の増加や海外旅行規制の緩和を期待。また、外国人観光客は2023年は2,200万人、2024年には3,150万人に増加する見込みだと発表した。またサービス業を中心とした経済活動の改善により、労働市場が改善しつつあることを指摘した。新規失業給付申請者の割合が新型コロナ前の水準を下回る等、所得の増加も期待される。

(3)タイ工業連盟(FTI)が12月20日に発表した2022年11月の自動車生産台数は、前年同月比+15.0%の19.0万台だった。6ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は国内向けが前年同月比+10.1%の8.3万台、輸出向けが同+19.1%の10.7万台。新型コロナ前の2019年11月の生産台数15.4万台を上回った。また、2022年11月の国内新車販売台数は前年同月比▲4.8%の6.8万台で、輸出台数は同▲11.0%の8.8万台。2019年11月の販売台数は7.9万台、輸出台数は7.5万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが12月20日に発表した2022年11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+2.8%の23.8万台で、5ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+0.3%の18.9万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+13.6%の4.9万台。2019年11月の生産台数は20.3万台であり、新型コロナ前を上回った。また、2022年11月の国内販売台数は前年同月比+4.4%の15.1万台、輸出台数は同+5.0%の3.9万台だった。2019年11月の販売台数は13.5万台、輸出台数は3.0万台であり、ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2.投資動向
12月26日付のタイ商務省の発表によると、2022年11月の新規企業登録件数は前年同月比+2.33%の5,773社だった。また、登録資本金総額は同+18.17%の200億6,948万バーツだった。業種別では不動産が492社(全体の8.52%)、建設が486社(同8.42%)、飲食が252社(同4.37%)の順で多かった。年初11ヵ月では、前年同期比+4.66%の72,480社だった。一方で2022年11月の企業登録抹消件数は、前年同月比▲7.19%の2,684社で、年初11ヵ月では前年同期比+18.21%の16,096社だった。


3.金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2022年の11月末時点で金融機関預金残高は24兆5,605億バーツ(前年同月比+5.4%)、貸金残高は28兆5,489億バーツ(同+4.7%)といずれも増加。また、11月30日にBOTは政策金利を1.00%から1.25%に引き上げた。

<12月の回顧>
(1)(為替動向)
12月のドルバーツは34台後半を中心に狭いレンジ内で推移。月初、ドルバーツは前月末夜間のパウエル議長講演を受け、過度な金融引き締めへの懸念が後退し35.10近辺でギャップダウンしてオープン。上旬、11月米非製造業景況指数が市場予想を大幅に上回りドル買いが進行する場面が見られるも、中旬以降は中国でコロナ規制緩和期待や11月米CPIの弱い結果を受けドルバーツは34台半ば近辺まで下落した。しかし、14日のFOMCでは全会一致で政策金利の50bp利上げを決定し、ドット中央値を上方修正する中、ドル買いが進行。ドルバーツは再び35台に乗せる場面があるも、その後の日銀の金融政策決定会合で従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.50%に拡大すると発表したことを受けドル売りが再開。下旬にかけては、米経済指標の強い結果によりドル買いに振れる場面があるも、中国で新型コロナ対策の規制緩和が進んでいることがバーツの支援材料となり、バーツ買いが進行。ドルバーツは上下を繰り返しながらも上値を切り下げる展開となり、結局ドルバーツは34.50台後半近辺で越月となった。

(2)(金利動向)
12月のバーツ金利は短中期ゾーンを中心に全年限で前月末対比低下する展開となった。上旬、11月米ISM製造業景況指数が市場予想を下振れる結果となったことに加えて、11月タイ消費者物価指数(CPI)は前年同月比+5.55%の上昇と、3ヵ月連続で前月を下回る結果となりバーツ金利は中長期ゾーンを中心に低下。更に中旬に発表された注目の11月米CPIは10月に引続きインフレの鈍化が示唆される内容となると、債券買いが進行し、バーツ金利は全年限で大幅に低下した。その後、FOMCのタカ派な結果や日銀のイールドカーブコントロールの運営を一部修正するサプライズを受けて、バーツ金利は長期ゾーンを中心に上昇に転じるも上昇幅は限定的にとどまり、下旬にかけてはクリスマス休暇に向けてマーケットは閑散。バーツ金利は動意に欠ける展開となり、結局タイ10年物国債利回りは2.64%台、同5年物利回りは1.96%台、同2年物利回りは1.63%台と、それぞれ前月末より▲0.08%、▲0.28%、▲0.13%の値動きとなった。

(3)〈今後のイベント・見通し〉
先月は、米CPIに加えてFOMCや日銀政策決定会合等注目のイベントをこなし、ドルバーツは上下に振れる場面があったものの、中国でのゼロコロナ政策緩和発表が相次いでいたこともあり徐々に上値を切り下げる展開となった。また、発表された日銀政策決定会合では、政策金利の変更はなかったものの10年国債の許容変動幅を従来の±0.25%から±0.50%程度にすること、日本国債の各年限で更なる買い入れ額の増額や指値オペをする等、イールドカーブコントロールの運営を一部修正することが公表され、日本金利に連れて米金利やバーツ金利も上昇。為替はドル売りの流れに沿ってドルバーツも下落した。今月は25日にMPC、31日にFOMCの発表が予定されており、FOMCでは次回の利上げペースを減速させる可能性はデータ次第とし、引続き各経済指標には要注目となる。また、ドルバーツは引続き落ち着きどころを探る展開が予想され、レンジブレイクした際の値動きには要警戒。


4.政治動向、その他
2022年11月30日から12月11日にかけて開催された第39回MotorExpoでの購入予約台数は自動車が36,679台、バイクが6,089台だった。車種別の割合ではSUVが53.9%、セダンが30.3%、ピックアップトラックが11.8%、その他が4.0%だった。イベントで予約された自動車の平均価格は135.0万バーツで、バイクは25.4万バーツだった。また、イベントでの売上高は約510億バーツで、来場者数は133.6万人だった。



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タイ国経済概況(2021年6月)

1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は5月17日、2021年第1四半期の経済成長率が前年同期比▲2.6%であったと発表。新型コロナウイルス感染症の影響から民間消費支出とサービス輸出がマイナスであった一方、物品輸出および民間投資はプラスに回復、さらに公共投資の拡大が寄与し、前期(2020年第4四半期)の同▲4.2%から下げ幅は縮小した。また、同期の失業者数はおよそ76万人で失業率は2.0%、前期の1.9%からわずかに、前年同期比の1.0%からは大幅な上昇となった。なお、2021年通年の経済成長率に関しては、2月時点の予測値である前年比+2.5~+3.5%から、同+1.5~+2.5%へと下方修正した。ただし、輸出および政府支出の拡大に加え、前年の成長率が低水準であった反動でプラス成長は維持となる見込み。

(2)タイ工業連盟(FTI)が5月20日に発表した4月の自動車生産台数は、前年同月比+322.3%の10.4万台だった。前年同月の生産台数が新型コロナウイルス感染拡大による打撃のため低調だったことから大幅に増加した。内訳は国内向けが同+306.2%の4.5万台、輸出向けが同+335.2%の6.0万台だった。一方で、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年4月の生産台数は15.0万台であり、コロナ前の水準までは回復していない。1~4月の累計生産台数は、前年同期比+19.2%の57.0万台となった。また、4月の国内新車販売台数は前年同月比+93.1%の5.8万台、輸出台数は同+160.2%の5.3万台。2019年4月の販売台数は8.6万台、輸出台数が6.7万台だったことから、こちらもコロナ前の水準までは回復していない。1~4月の累計国内新車販売台数は前年同期比+9.6%の25.2万台、累計輸出台数は同+14.9%の31.1 万台だった。

(3)FTIが5月20日に発表した4月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+93.0%の16.0万台となり、4ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+106.9%の13.1万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+47.8%の2.9万台。2019年4月の生産台数は16.9万台であり、こちらはコロナ前の水準まで戻りつつある。1~4月の累計生産台数は、前年同期比+17.8%の83.5万台となった。また、4月の国内販売台数は前年同月比+69.8%の13.4万台、輸出台数は同+77.8%の6.0万台だった。2019年4月の販売台数が12.0万台、輸出台数が5.9万台であったことから、こちらはコロナ前の水準まで回復しつつある。


2.投資動向
5月5日付のタイ国投資委員会(BOI)の発表によると、2021年第1四半期(1~3月)の投資申請額は前年同期比+80%の1,233.6億バーツで、件数は同+14%の401件だった。このうち、海外直接投資(FDI)の新規申請額は同+143%の619.8億バーツで、件数は同▲17%の191件だった。国別申請額では、1位が韓国の104.8億バーツで、中国(103.6億バーツ)、シンガポール(102.8億バーツ)、ノルウェー(100.0億バーツ)が続いた。韓国企業とノルウェー企業による医療用ゴム手袋の大型共同出資事業が大きく結果に影響した。国別申請件数では、1位が中国の37件で、日本(33件)、シンガポール(28件)、香港(16件)の順となった。重点産業への新規申請額は748億バーツで、そのうち医療分野への投資が184億バーツ(29件)で前年同期比100倍以上と大幅に拡大して首位であり、2位は電気・電子分野の174億バーツ(34件)だった。 東部経済回廊(EEC)への新規申請額は前年同期比+39%の644億バーツだった。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2021年の4月末時点で金融機関預金残高は22兆796億バーツ(前年同月比+3.9%)、貸金残高は26兆5,188億バーツ
(同+3.7%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈5月の回顧〉
(1)(金利動向)
5月のバーツ金利はすべての年限において小動きに留まったが、短期および長期金利が小幅上昇となった一方で中期金利は幾分か低下。タイ国内でのコロナ感染拡大第3波が収束の気配を見せず、抑制措置が継続していることや観光業再開が遅れていること等からタイ経済の回復への懸念がバーツ金利の重しとなったが、一方で国債増発懸念が特に長期金利を押し上げる要因となった。政府による5,000億バーツの追加景気パッケージの発表後にはバーツ長期金利が顕著に上昇となった。そのため、多くの市場参加者がバーツ国債の平均残存年限を短縮。5日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)は大方の予想通り政策金利は全会一致で現行の0.50%に据え置かれた。声明文では、コロナワクチンの適切かつタイムリーな調達および供給がタイ経済にとっても最も重要な問題であると指摘したほか、十分に低い水準にある政策金利を引き下げるよりも信用政策(信用緩和)や債務再編の方が現状の経済に対してより適切な手法であると強調。また従来通り、最適かつ最大限に効果が出るタイミングで利下げカードを切るために政策余地は温存するとした。タイ10年物国債利回りは1.84%台、同5年物利回りは1.07%台、とそれぞれ0.02%、0.01%金利上昇、同2年物利回りは0.52%台と0.01%金利低下となった。

(2)(為替動向)
5月のドルバーツ相場はおおむね31台前半を中心としたレンジ内での推移に留まった。米国の金融政策がマーケット参加者の最大の注目となっている。そういった中で発表された米4月雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが市場予想を大幅に下回る伸びに留まったが、失業率、時間当たり賃金ともに改善。NFPに関しては、手厚い失業保険やコロナ禍で育児のために在宅を強いられているケース等さまざまな原因が指摘されている。米4月消費者物価指数(CPI)は予想を大きく上回ったが、米金融当局者からは供給サイドの問題によるもので一時的との見方が多く示された。米金融当局者の発言からはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を中心に、インフレ上昇は一時的なものに留まり景気回復がまだら模様である中では緩和的な金融政策を維持とのスタンスが示されていたが、一部の当局者からは今後の会合において債券購入プログラム縮小の議論開始が可能になってくるとの見方が示され、米金融当局内で意見は分かれていそうだ。タイ国内では、5日にタイ中銀が金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を現行の0.50%に据え置きと決定。声明文では、コロナワクチンの調達と供給をいかに適切にタイムリーに行えるかがタイ経済にとって最も重要な問題だと指摘。また、十分に低い政策金利の引き下げよりも信用緩和の方が有効であることを強調した。米国のインフレ期待、それに伴う米長期金利の上昇、米金融政策変更への期待は引続き根強いものの、経済データがまだら模様であることがドルバーツの重しとなっている。一方でタイ国内でのコロナ感染拡大第3波が、内需や観光業に与える影響への懸念がドルバーツのサポート材料となっており、両方の要因からレンジ内での推移となった。

〈今後のイベント・見通し〉
6月は15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、23日にタイ中銀MPCが予定されているほか、欧州中央銀行(ECB)、日銀、英中銀と主要国の金融政策会合が多く予定されている。米FOMCでは金融政策の現状維持がコンセンサスながら、債券購入プログラム縮小開始に関しての議論の有無や四半期ごとに示される景気・金利見通しが注目されている。タイ中銀MPCは国際通貨基金(IMF)が利下げを推奨したものの、現段階でのコンセンサスは依然現状維持。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は5月8日付の官報にて、個人情報保護法の複数の条項について適用時期の再延長を告示した。本法は2019年5月に一部条文が施行され、2020年5月27日より完全施行が予定されていたが、政府は新型コロナウイルス感染症の流行ならびに政府機関および民間企業への準備期間への配慮を理由に、同年5月19日の閣議において延長を決定。完全施行は2021年5月31日より後になるとされていた。しかし、タイの経済・社会は引続き新型コロナの影響を受けており、適用準備が十分に整っていない状況にある等の理由から、再延長が決定された。これにより、罰則規定等を含む本法の完全施行は2022年5月31日より後となる。

(2)タイ政府は5月27日付の官報にて、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を2021年7月31日まで延長する旨を決定した。非常事態宣言の延長は12度目となる。



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